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エッセイ集 「紅塵故事」より〔矮子〕
94年に発売された散文集「紅塵故事」より。「矮子」とは「背が低い人」という意味ですが....。ちょっと切ないお話し。 |
〔矮子〕 |
少し前、こんな話があった。 矮子の家は裕福で、生活も豊かで、才能もあり、友だちも多い。これは幸福な人と言えるだろう。ただ、ひとつだけ問題があった。いつでも彼を悩ませないことがないのは、それは___彼は背が低いということ。 子供時代、彼は無数のおもちゃを持ち、遊び相手もいた。でもほとんどの時間を、彼は裏庭の古い松の木のそばで過ごした。そこで、彼は自分の身長を木の幹に刻みつけていた。ほとんど変わらなかったが。 青年時代、友だちはみな外に遊びや食事に出て、自由きままにしていた。でも彼は幹につけた傷跡とともに成長し、天にとどかんばかりの思いで、感慨にふけっていた。 ある夜、雷が鳴り、目覚めてみると、矮子は裏庭の松の木に雷が落ち、暴風雨の中根っこごと倒れていると聞いた。彼は走って裏庭に行くと、家族が木の周りに集まって、喜んでいるのを見た。___なんと、彼らは宝物を見つけたのだ。みんなはとても興奮していた。矮子を除いては。彼は松の木を見つめ、一人涙していた。「これから、僕はどうやって身長を測ればいいんだ?」 時間が過ぎ去り、矮子の子供時代の友だちはみな大きくなり、それぞれの道を進み、青年時代の友だちもそれぞれ婚期を迎え、自分たちの道を歩んでいた。矮子は?あの松の木のそばで宝物が見つかって以来、財産は千萬にのぼったが、彼は全然嬉しくなかった。最近になって、一本の名前も知らない小さな木が泥の中から生えてきて、少しづつ大きくなり、彼は生き甲斐を半分取り戻したような気分だった。実際、この小さな木は彼に刻み終わらない想いを改めて刻みつけさせただけに過ぎない。本来、少しの瑕もなかった。傷跡は矮子が自分で刻んだものだった。おそらく傷跡は木ではなく、彼の心の中に刻まれているのだろう。何を苦しんでいるのか? 僕はこの話を知った。誰でも自虐性を持っているもの。悔いなどを見つけては自分の骨に刻み、自分の心に銘じたがるものだ。 |
在不久以前、有一個這樣的小故事。
矮子家境富裕、生活豊足、天資聰敏、人縁也好、可以説是個幸福的人、他自覺也是。只是、有一個問題、無時無刻不在困擾著他、那就是__他矮。 童年時期、他擁有無數的玩具和玩伴、不過、大部分的時間、他都守在後園的老松樹旁邊。在那裡、他把自己的高度刻在樹幹上、雖然總沒有多少進度。 青年時期、朋友都出去吃喝玩樂、逍遙自在、他卻因為昔日刻痕逐漸随著樹幹的生長而參天入雲、深感遺憾。 一夜、雷電交加、一覺醒來、矮子驚聞後園的老松樹被閃電撃中、在狂風暴雨中連根抜起、他[足包]到後園去、看見家丁都圍著樹旁一個地洞雀躍歡呼___原來、他們發現了一個寶藏。衆人都很興奮、除了矮子之外。他望著老松樹黙然垂涙:「以後、我怎樣量高0阿?」 時光流逝、矮子的童年友儕都已長大、各有發展、青年時代的朋友亦都一一婚嫁有期、走上各自的康莊大道。矮子0尼?自從在後園的老松樹旁邊發現寶藏之後、家財更近千萬、不過、他從未享樂過。直至最近、一[木果]不知名的小樹從泥裡鑽了出來、逐漸長高、他才拾回半點生趣。其實、小樹不過是讓他繼續重複刻劃他刻不完的遺憾罷了。本來沒有半點傷痕、刻痕都是矮子親手刻上去的。刻痕也許不在樹上、而是給刻心上去了。何苦? 我知道這個小故事。毎個人都有自虐狂、喜歡找些遺憾來刻自己的骨、銘自己的心。 |