HOME TOP

言葉世界

Chris' words


エッセイ集 「離家出走《完全本》」より〔真愛〕



2003年8月に発表されたエッセイ「離家出走《完全本》」より。
知り合いの孫を見て、もし自分が子供を持ったとしたら?という思いの中で書いたものかな。
クリスが子供を持ったら、どう愛するのだろうか。


〔真愛〕

LarryとBethは僕の内装工事上のパートナーで、仕事の合間に彼らは孫のJamesの話しになると、目を細めてしまうんだ。

彼らが言うには、Jamesは家電が大好きな子供。他の子供たちがおもちゃを好んでいるのに反して、Jamesはちっとも興味を示さず、家電ばかりが好きみたいだ。
3歳にして、Jamesは家の中で掃除機を押して走り回り、冷蔵庫のドアを開け、洗濯機を覗いては研究していた。

Larryが言うには、彼らがある日デパートに行った時、Jamesは家電売り場を大喜びで見てまわり、興奮しておじいちゃんを引っ張って自分の大発見---最新型の乾燥機---を見せに行った。"Oh...!" "aah....!"と絶えず声をあげ、この機械はあれができる!これができる!とおじいちゃんに説明さえしていたことがあったそうだ。

Larryはまた、今年Jamesが誕生日プレゼントに一番欲しいものは新型の吸塵機だと言っていた。

広東人にはこういう言葉ある。「三歳定八十」(三つ子の魂百まで?)

おじいちゃんは優秀な現場監督であり、木工であり、配水配電の専門家だ。孫が機械方面の細胞を受け継いでいたとしても何ら不思議はない。
でも同様に、もし彼が全くそういう方面の才能がなかったとしても、これもまた不思議ではない。
3歳で(人生が)決まるなら、それは彼個人、彼自身の「運命」だろう。

でも人生がおそらくこんな風に運命が決まってると想像したら、どうしようもないと感じはしないか?
人は、生まれた後の教えや、培うものによって、万人に尊敬されるような偉人に成ることもできる。又、後天的な誘惑、害毒などで、どうしようもない人間になることもある。
しかし、ある天性の才能は自然に生まれ持ってきたもので、悪くもできないし、良くもできない。

Jamesの家電に対する興味というのは天賦のもので、無理に持つこともできないし、捨てることもできない。正に僕らはどんな興味が生まれるかは無理にはできない。京劇が好きとか、ドリアンを食べるのをやめるとか、突然犬を飼いたくなるとか、ダンスを辞めるとか、すぐにアクティブになるとか、黒が好きでなくなるとか、突然台所で料理をするとか、突然料理をしなくなるとか、すごくキスが好きとか、特にキスが好きではないとか、あるいは、、、あるいは、、、あるいは、、、あるいは、、、、。たくさんのあるいはがある。

この道理がわかった。僕はここに一つの約束をしよう。

将来、僕の子供が生まれつき左利きでも右利きでも、そのままでいい。
生まれつき外向的でも、内向的でも、それは問題ではない。
生まれつき辛いものが好きでも、甘いものが好きでも、それは彼の天性。
生まれつきロックが好きでも、クラシックが好きでも、気にしない。
生まれつき異性愛者でも、同性愛者でも、バイセクシャルでも、心から彼を祝福し、彼が最愛の人を見つけるのを喜ぶ。

何であれ、結局のところ関係ないんだ。
ただ、彼が健康で、幸せで、たくさんの愛に恵まれていれば、それでいい。
成功、失敗はなおさら問題外だ。

僕は心から、無条件に彼を愛する。
ただ、彼が悪い人間にならず、他人を傷付けなければ、それでいい。