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エッセイ集 「離家出走《完全本》」より〔觀鳥〕
8月に発表されたエッセイ「離家出走《完全本》」より。 つがいの鳥を見て(?)書いたエッセイ、「觀鳥」。 クリスと情鳥になるひとつしか翼のない鳥はいつ見つかるのでしょうか。 |
〔觀鳥〕 |
毎年春になると、あの一羽のCardinal(ベニスズメ)が飛んで来て、数日間このあたりに出没する。彼を見たら、そう遠くないところに、彼の片割れを見つけるだろう。 Cardinalは情鳥だ。いつ見ても彼らは、二羽一対でいる。だから毎回あの美しい雄鳥を見ると、僕はまわりを見渡し、雌鳥の影を探すんだ。もし見つからなかったら、僕はちょっと心配になるだろう。しかし、毎回、まもなく、彼は現れると、伴侶の元に行くのだ。 これらの鳥がいつも一緒で、決して離れないのは一体なんだろう? 町中でよくハトの大群を見かける。 ハトは最も忠実な情鳥だ。 彼らは理想の相手を探し、そのあと求愛し、そのあと結合し、そのあとは一生永遠に一緒だ。 これらの鳥の一生一心、永遠に愛するというのは何だろう? たとえば、人が鳥のように、翼があれば、飛べるだろう。僕は、自分は飛べない鳥になると思う。僕にはひとつしか翼がない孤独な鳥で、もう一羽、ひとつしか翼のない孤独な鳥が現れるのを待っているんだ。僕らがお互い知り合い、それにちょっと運があれば、おそらく僕らは情鳥になって、翼を並べて一緒に飛べるかもしれない。 残念ながら、僕は一人の人間、あのひとつだけの翼の印もなくて、もう1人はどうやって僕を探せるというのだろうか? |