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コンサートレポート

concert report


[コンサートレポートその6]

港樂X黄凱芹 一夜情弦演唱會 2006.10.20




6月にカナダ・バンクーバーで初めてオーケストラとの共演公演を行ったクリスが香港でも同じ形式のものを開催。香港の方がオーケストラの人数が多かった(100人近い)らしいです。今までにも香港管弦楽団と共演した歌手はいますが、基本的に「実力派」と呼ばれる歌手ばかり。歌が上手でないととてもオーケストラと合わせることができないからだ(と思う)。
今年はクリスがEP♪再遇でデビューしてからちょうど20年ということもあり、本来なら「20周年記念公演」をやりたかったそうですが、諸事情で開催できなかった代わりに、この公演を20周年記念公演とすることにしたそうです。特別、公演タイトルやプロモーションでも「20周年記念」と謳ってるわけではありません。
話題作りにはこのぐらいやらなくちゃ!と思ったらしく(?)、記者会見でいきなり金髪姿で登場したクリス。ポスターも
金髪でみな驚き!でもよく似合ってると思います。(公演終了後、赤毛にし、その後黒髪に戻しました)
指揮は石信之、音楽監督及びアレンジは趙増熹、衣装はクリス本人が担当。衣装は全部で4着。本人はインタビューで「宝石王子みたい」と言っていたが....。
曲目や曲順に関しては香港ファンと新聞報道で確認しました。他人の楽曲などクリスの歌以外はほとんどわからなかったので。写真撮影は一切禁止だったので写真も新聞などから拝借しました。

会場に入るとすでにオーケストラの楽士たちが音合わせをしていた。100人近くいるオーケストラに圧倒されてしまった。事前に「演唱會は8時ジャストに始まり、遅れると1曲目が終わるまで中には入れない」と聞かされていたが、通常クラシックのコンサートでは遅れたら曲間入場が当然のことなので、驚きもしなかったけど、とにかく絶対に遅れてはいけないという思いで会場に行った。

1曲目はオーケストラ演奏のみでクリスはいない。7ー8分はあったかと思われる。2曲目にやっとクリスが登場し、ジャズ風アレンジの♪星に願いを(When I wish upon a star)(英語)。これがとっても良かった。やはり英語が堪能なクリスの英語曲は素晴らしい。衣装は上着がピンクで他は白のタキシード。ベストには刺繍のようなものが施されてあった。英語曲とタキシードというだけでいつもの演唱會とは違う雰囲気。挨拶をした後、クリスのデビュー曲である♪再遇。そして♪誰明白愛〜彌月酔巴黎〜我從未記起イ尓の初期のヒット曲をメドレー。MCのあともしかして私は生で聞くのが初めてかもしれない♪翡冷翠之戀。曲のあと花束を受け取ったクリスは「君(ファン)のこと覚えてるよ」と言うと、そのファンは「え?覚えてくれてるの!」ととても嬉しそうに答えていたけど、その後クリスは「あ、僕たち(の間に)は何にもないからね(笑)」とジョーク。そして王菲の♪静夜的單簧管。今回の演唱會ではクリスはかなり他の歌手の曲を歌っていた。

今回の演唱會ではオーケストラと一緒ということでクリスの立ち位置はほとんど下手(ステージ向かって左手)のピアノの前に固定されていた。中央より若干右サイドで見ていた私にはちょっと遠いなと感じてしまった。もちろん時々クリスはステージの前の方に出てきて、動き回っていましたけど。

ここで最初のゲスト、香港出身のオペラ歌手、柯大衛(David Quah)が紹介されて登場。二人で♪Perhaps Love(英語)をデュエットしたのですが、いや〜歌のうまいクリスもやはりオペラ歌手の発声には適わないかも。デビッドの歌は素晴らしかった!クリスも負けじと一生懸命歌っていたけど、手を前に組んでオペラ風なポーズを取ったりとちょっとおどけていた。でも二人のデュエットはとても良かった。デビッドはクリスの演唱會の少し前に香港で行われたオペラ<蝶々夫人>に出演していたそうです。クリスが衣装替えのために一旦ステージに下がり、デビッドによるイタリア語(?)のオペラ曲。クリスとデュエットした時は普通(?)にマイクを使って歌っていたけど、この曲の時はマイクを腰のあたりまで下げマイクを使わずに歌ってました。オペラなんて生で聞いたことがなかった私には本当の意味での(PAを使わない)生歌を聞いて感動しました!デビッドの歌の後は第一バイオリンによるバイオリンソロ。すばらしい演奏でした。

バイオリンソロのあと、黒のスーツに衣装替えをしたクリスが登場して♪傷感的戀人。クラシックコンサートでは考えられないけど、手拍子が起こりました。歌の途中で年配の女性から花束を受け取り、クリスは彼女にハグをしていた。サビのあたりで会場の一部のファンが合唱を始めたので、最初はクリスの大ヒット曲だったのでファンが歌い出したのかと思っていた。ところがその後クリスにティッシュを差し出した人がいて、初めてクリスが泣いていることに気が付いた。まだコンサートの前半だというのにもうクリスは泣き出したのか?とちょっと不思議に思っていた。涙で声がつまりそうになったのをファンがいち早く察知して歌い出し、途中歌えなくなったりしていたのを最後までファンがフォローしていた。歌の後クリスはさっき花束をくれたのは阿姨(お母さんの妹)だと説明していた。どうりで親しげだったわけだ。久しぶりに叔母さんに会って思わず泣いてしまったのかと思っていたのですが、実はそうではなかった。翌日友人から聞いたり、新聞を見て知ったのですが、クリスのお母さんが今年の初めに亡くなったらしく、10年ぐらい前に他界したお父さんやお母さんのことを思い出してつい泣いてしまったとのこと。オーケストラとの特別公演であり、デビュー20周年を記念したものであるこの公演を両親に見てもらえなかったことがとても残念だと言ってました。この話をしていた時、客席から「聞こえてるよ!」という声があったのですが、きっと天国でご両親は見守ってくれていたと私も思います。

気を取り直して2回目のメドレーで♪伴侶〜焚情〜曲中情。そして♪最佳男配角をオーケストラアレンジで歌ったのですが、これが実に良かった!!元々私はこの曲がすごく好きというのもあったかもしれないけど、本当に素晴らしかったです。ここでオーケストラは一旦休憩に入り、バンド(リズムセクション)のみの伴奏でクリスの歌だけは続いた。デビッド・タオの♪愛、很簡單(国語)と♪相愛很難(オリジナルは張學友と梅艶芳のデュエットしたもの)。私はこの時クリスが「愛することはとても簡単、でも愛し合うことは難しい」と言ったのは聞き取れたんだけど、もしかして単にこの2曲の曲紹介だったのかも。それとも曲名にひっかけてこう言っていただけなのか?折しもクリスのファン代表のような存在のファンが結婚したばかりということもあり、クリスはステージから彼女にお祝いを言っていたらしい。これは彼女へのはなむけの言葉だったのかもしれない。

このあたりのコーナー(?)では他人の楽曲が続き、今注目の新人、藍奕邦(ポン・ナム)の♪快楽王子。ポン・ナムはまだデビューして2年ぐらいだけど、そのソングライティングのセンスを買われ、劉徳華などの歌手に楽曲を提供してます。この曲の前にクリスが話していたことは聞き取れなかったけど、クリスは目隠しをして指揮台の上で歌い、間奏のところでは目隠ししたまま台から下り、空気を相手に一人でダンスを踊っていた。ステージから落ちるんじゃないかとちょっとドキドキした。最後にはその目隠ししていたスパンコールの付いた赤い布を客席に投げてしまいました。どうして目隠しをしていたのか香港の友人に聞いたところ、「おそらく目で見るのではなく、心で感じて欲しいという意味を込めていたのではないか」ということでした。なるほど!♪快楽王子はとてもいい曲でした。クリスはポン・ナムの音楽的な部分がデビュー当時の自分のそれと似ている(見かけは全く似てません!)と言ってました。

ここでオケ再登場。オケの準備が整う間にバンドのメンバーなどを紹介してました。オケが戻ったところでクリスの紹介で二人目のゲストのヴィヴィアン(周慧敏)が登場。おそらくヴィヴィアンのファンも来ているのでしょう。すごい声援。かつてクリスとDJパートナーを組んで番組をやっていたので、クリスファンにもとってもお馴染みのヴィヴィアン。二人のデュエットの曲もあるので、それを歌うのかと思いきや、♪日與夜(オリジナルは張學友と林憶蓮)。どうやら二人のやり取りは楽しかったみたいで会場で笑いが起こっていたけど、私にはほとんどわからず。ただ、ヴィヴィアンが「またカナダに帰るの?友だちや観客(ファン)を置いてくの?」みたいなことを言っていたのだけはわかりました。そう!ファンを置いてカナダに帰らないでね、クリス!カナダは中国語で「加拿大」。それでクリスは「"加拿大"であって"加拿細"じゃないでしょ。カナダは大きいんだよ」とダジャレを言って話をはぐらかしていた(笑)

クリスの衣装替えの間にヴィヴィアンがソロで2曲。でもヴィヴィアンの持ち歌ではなく、林憶蓮の♪哭と王菲の♪愛與痛的邊縁を披露。ヴィヴィアンごめん!開演前にトイレに行く時間がなかった私はどうしても我慢ができずに、ヴィヴィアンのソロ1曲目の時にトイレに立ってしまいました!今まで映画やコンサートの途中で席を立ったことなんて一度もなかったのに。ただ正直言ってヴィヴィアンの歌はイマイチだった。元々特に歌がうまいという歌手ではないことは知っていたけど、クリスと一緒に歌うとそれが余計に見えてしまう。オーケストラと一緒に歌うには声が細すぎ、また声があまり出ていないように感じた。選曲ミスもあったかな。風邪をひいていたということもあったかもしれないけど。

ヴィヴィアンが去ったあと、フラメンコ風の軽快な音楽に乗って、クリスが登場!この3着目の衣装がなかなかすごかった。白のシャツに黒のパンツ姿だったのですが、白のシャツにはキラキラしたものがすだれのように何本も下がっていた。背中にもスパンコールらしきものが放射線状に飾り付けてあった。このフラメンコ風にアレンジされた♪情深縁浅は本来はバラード風の曲。最初何の曲かわからなかったぐらい。ファンからバラの花束を受け取っていたけど、そのバラがなぜか茎の部分がしなっとしてしまい、会場は大爆笑。クリスもかっこ良くバラを持ちたかったけど、苦笑。間奏の部分ではフラメンコ風に手を高くあげて手拍子(パルマというやつですね)。とっても派手で楽しい♪情深縁浅でした。実際には悲恋の曲なんですけど。

本来ならクラシック公演では客席を立つとか途中で花束を渡すということはあり得ないと思うのですが、最終日だったからか、クリスは「花束も握手もOK!」みたいなことを開演早々に言っていたので(私が聞き間違えていなければ、ですが)、歌の途中で花束やプレゼントを渡す人が結構いました。♪情深縁浅の後だったかな。ハロウィンが近いということもあり、カボチャの形のバケツと熊手みたいのをクリスにあげ、クリスも苦笑い。「悪いけど、これはもう置いちゃうね。次の歌にいかないといけないから」と受け取ってすぐにフロアに置いてしまいました。そしてちょっと疲れたのか椅子に座り♪没結果的一些感情。この曲はじっくり聞きたいし、クリスもじっくり歌いたかったことと思います。歌い出しはバイオリンをバックにクリスの歌声が会場に響いてステキだった。梁静茹(フィッシュ・リョン)の♪勇氣(国語)と林憶蓮(サンディ・ラム)の♪没有イ尓還是愛イ尓と続けてたっぷりと聞かせてくれました。♪勇氣は初めて聞いた曲だけど、とてもいい曲だった。そして私自身がサンディのファンで♪没有イ尓還是愛イ尓が好きだったからというのもあるけど、この歌はとても良かった。この曲は歌い上げるタイプの曲だったせいもあり、クリスもかなり歌い上げていて、最後の方は相当入り込んで歌ってたのでジェスチャーも多かった。あまりのすごさに私も唖然。隣にいた友人が私の顔を覗き込むので、ついつい笑ってしまいそうになりました。この時は本当に感情がこもってました。

クリスの演唱會では毎回やってることですが(華仔の演唱會ではやらないけど)、ここでスポンサーなどを紹介して関係各位にお礼。クリスはいつもメモを見ながら言ってます。お世話になってる人たちのことだから間違っちゃいけないですもんね。最後は中華な雰囲気たっぷりの林子祥の♪毎一個晩上。クリスに促され会場は手拍子。どうせなら古装姿で歌って欲しかったなあ。バンクーバー公演では古装で♪劍仙李白を披露したから今回もやるんじゃないかと期待してただけに残念。

アンコールでなかなかクリスが出て来なかったので、先に指揮者が出てきてクリスが出てくるのが遅い理由をジョークで説明してましたが、マイクなしでしゃべっていたのでほとんど聞き取れず。「シャワー浴びてる」というようなことを言ってるのだけ聞こえました。どうやら「衣装を繕ってる」と言っていたらしい。これは前日の公演でヴィヴィアンが「クリスったら楽屋で衣装の繕いをしていたのよ!」と暴露をしてしまったことにひっかけて言ったのでしょう。

で、その問題の最後の衣装ですが、白のスーツにグリーンのスカーフだったんですが、ジャケットもパンツにも全身にうろこなような飾りが付いていた!タイに発注した手作りらしいんですけど、実際に衣装を着る時に飾りが取れていることに気付き、クリスは自分で付け直していたらしいんです(笑)クリスが事前に言っていた「宝石王子」の衣装がこれなのかな。とにかくきらびやかでクリスが登場したら、会場中から「わあ〜!」って声が聞こえました。私も思わず言っちゃいました。その派手な衣装でアップテンポな♪イ尓留我在此(オリジナルはクリスが大好きな葉徳嫻)で会場は興奮。前の方の席の人がステージに近寄り握手をし始めたから、他のファンもステージに駆け寄りました。はい、もちろん私もです(爆)プレゼントを渡したいからどうにかしてステージの前に行こうと途中から思い始めたけど、なかなかタイミングがつかめずにいたので、この計らずも「握手タイム」になった機会を逃す手はないと思い、思わず飛び出してしまいました。私の隣の隣にはアメリカから来た熱いファンもいて、彼女と一緒にステージに走りました。着物で走ったのですごく恥ずかしかったけど、出て良かった。端から握手をしながら移動してくるクリス。マイクを持っているので、プレゼントを渡すと握手することができなかったのですが、私もなんとかプレゼントを手渡しました。受け取った時はクリスは手元だけ見ていて私のことは全く気付かず。受け取った後、ふと顔を上げて私の方を見たら、一瞬「あっ!」という顔して動きが止まってました。おそらく着物を着ていたので驚いたのではないかと思います。普通の格好なら別に私の顔を見たからといって、そんなに反応することはないでしょう。でも着物姿に気付いてもらえて嬉しかった。この1曲が終わるまでステージのところにいて、なんとか握手をしてもらえました。

着物は目立つし、ステージ前に立っているのは後ろの人の迷惑になると思ったので、私は1曲のみで席に戻りました。次の曲でもまだステージ前にいたファンも結構いましたけど。友人には「握手してもらったのが見えたよ!」と言われました。席に戻る時のMCは全く聞いていなかったけど、席に戻ると友人が「レスリーの♪最愛だよ」と教えてくれた。クリスが大好きなレスリーの曲を今回もやはり歌うのね!とてもすばらしかったです。この曲は9月に日本で行われたポップス・オーケストラの公演でゲストのアンディ・ホイも歌っていた。この時もいい曲だと思ったけど、本当に良い曲でした。クリスもアンディも歌がうまいのでなおさら良かったんだと思います。

ラストはがんがん飛ばし、「知ってたら一緒に歌ってね!」と♪雨中的戀人們。これは中村雅俊の♪恋人も濡れる街角のカバーなんですが、香港でヒットしたらしくいつも演唱會で歌ってます(クリスも気に入っているのだろうか?)。最初は違和感を感じた私ですが、今ではすっかりクリスバージョンの方が馴染みがあるぐらい。そして最後の最後は♪五月過後。これは名曲よね。作曲が日本人なのでおそらく日本の歌のカバーだと思うけど、オリジナルを知らない私にはクリスの歌という認識しかない。元々ストリングスの入った曲なのでやるんじゃないかと予想してました。大好きな曲です!終演の時にはスタンディング・オベーションになり感動。カーテンコールのようにもう一度ヴィヴィアンなども登場してクリスと手を繋いで挨拶。クリスたちが去ったあともしばらく拍手は続いていた。

バンクーバー公演が見られなかった私はこの公演をどんなに待ち望んでいたことか!3公演のうち1公演しか見られなかったのは残念でもあるけど、1公演だけでも見られたことを幸せに思いたい。こういう形式のコンサートはとてもクリスには合っていると思うので、またやってくれるといいんだけど。クリス本人も好きな歌を歌えてとても楽しそうに見えた。公演のあとまたカナダに戻ってしまうらしいし、今後どんな活動をしてくれるのか全くわかりませんが、来年本当の「20周年記念公演」をやるかもしれないって噂があるので、是非やって欲しい。その時は例え1公演しか見られなくてもまた駆け付けま〜す。又、今回の公演は初日と2日目は撮影をしたそうなので、DVD発売の予定もあります。楽しみだけど、自分が見たこの最終日(3日目)が収録されていないのはちょっと残念かな。

今後もまた演唱會を見る機会がありますように!