夏のウルトラ9時間耐久レース 完結編
 つづく…  続いてスッゲー展開になった例がない報告書。  「またか!」  「大した事ないんでしょう?」  と、お気づきのかたは95%ぐらいだと思います。  大丈夫!  刑事ドラマ『太陽にほえろ!』で街中を無意味に走り続けるシーンのような展開には持ち込みません。  走っても走っても背景だけが動くような報告書にはしません。


 909さんが笑顔半分、真顔半分で必死で計算している僕に聞いた事… 『これでお昼休みだね♪ みんなで焼きそば作って、ゆっくり食べれるね♪ 1時間ぐらい休憩時間あるの?』 って!  午前8時から午後5時まで休憩時間なんてありません。  一気に気が抜けたけど笑えた。  一応、強烈なツッコミは入れておきました。
 まぁ…たった一人のサポート要員なので一生懸命な気持ちは理解しときます。


 twinsさんにPIT INのサインボードを出して戻って来るまでに左側のタイヤ2本を新品タイヤに交換する準備を始めました。
予備のタイヤは808さんが提供してくださり…  4本準備完了でした。  ところが大きな問題が!  現在使っているチキチキミニのホイールナットは袋状のナットです。  808さんが持って来てくれたのも袋状のナットが使えるホイールらしい。  確信は無かった。  予選の前に確かめたかった事なのに、ゼッケン貼ったり計測器を貼り付ける時間さえ無かったアノ時。  ホイールの点検までは届かなかった。


 もしこのホイールが付かなかったら、新品タイヤは諦めて…左側の前後ローテーションのみで残り5時間弱走りきる事にした。
既に隣のtwingoはタイヤ交換をしてる。  その間に周回差を縮める事ができた。  PIT作業も長時間の耐久レースとなれば名物みたいなもの。  チームが一丸となって役割を配分。  そして定位置についてtwinsさんを待ち構えた。
 次は僕が2回目の走行だけど、サポート要員の少ない我がチームはタイヤ交換に時間がかかるので燃料補給を手伝う事にしました。


 twinsさんが戻って来た。
待ち受け体制は『コの字型』です。  コの字の中にミニがスッポリ納まって、雨天中止さんが用意してくださった本格的なジャッキとエアーインパクトレンチでタイヤ交換の作業が始まった。  まるでF1レースのPIT作業そのもの!!  エアーインパクトレンチの小気味良い音が唸る!!  o(>。<)oかっこいい!!


 予定通り新品タイヤを装着しようとしたら… やはりナット形状が違ったので808さんの準備してくださったホイールは装着できず。  仕方なく後者の作業(前後ローテーション)をしてトルクレンチで締め付け… 「GO!GO!!」の合図を受けてコースインしました。


 今まで以上にタイヤを温存する走りを強いられたミニ。  1回目に走った時の感覚とはまるで違ったタイヤのグリップ。  1回目はキュキュキュキュというグリップだったのに、今はゴリゴリゴリゴリという感じで1コーナー&2コーナーの複合コーナーを抜ける。  セントラルサーキットには多い右コーナーではゴリゴリゴリゴリゴゴゴゴゴの連続。

 どのマシンもタイヤは酷使している。  それは1周走って分かった。  コース上至る所にタイヤカスが散乱している。  スッゲー勢いで追い越された後はタイヤカスがバンバン飛んでくるほど。  自分も前輪でタイヤカスを拾ってミニの腹にタイヤカスが当たる音を何度も聞けた。


 ここまでに潰れたマシンは両手近い。
その度に赤旗。  そしてセーフティーカーが入ってローリングが繰り返された。  コース脇には潰れたマシンのパーツや接触による破片が多く見られました。  『楽しい耐久祭り』だった1本目のサーキットは、半分過ぎた2本目は『戦場』みたいだった。

 元気に走ってる各マシンも予選前の美しさは無い。  フロントバンパーを大破させたついでに取り外して走り続けるマシン。  側面はサイド・バイ・サイドを思わせる凹みかたのマシン。(西部警察かっ!)  マフラー落としたまま走り続けるマシン。  どのマシンも力尽きるまで走り続けている。


 なのにチキチキミニはマイペースで淡々と周回を重ねる。  エンジンもしくは補機類の損傷で調子を落としてきたマシンを抜く事ができたのもこの頃から。  まるで『ウサギとカメ』 否、『ウサギとでんでん虫』かも。  タイヤの性能は周回を重ねる毎に確実に低下している。  酷な右コーナーはBKMのY本さんから教えられた通りにタイヤに負担をかけない走りに徹した。  
 タイヤの性能とは裏腹にエンジンは水温・油圧ともに安定を続けてる。  タフなエンジンだっ!  足回りも駆動系も違和感ない。  ココから先はタイヤ勝負。  最悪の場合は、これまたBKMのY本さんから秘策を聞いている。  絶対に9時間完走しなきゃ!
 
 
 正午からは5時間耐久レースも始まる。  今まで見た事もないマシンが次々と現れた。  同じようなミニ(998cc)も馬鹿っ速で抜いて行く。  ますます1300ccじゃなくて1000ccなのではないかと思えてしまう。  5台くらい注ぎ込まれたようだ。 

 赤旗表示。  セントラルサーキットはシグナルだけなので、よく見てないと見落とす。
2コーナー出口で長いことコースアウトしていたMG−Fを動かすのだろう。  スピードを落としてシグナルに従った。  そしたら998のミニが抜いて行った。  「あれ?」 と思ったら998のミニも気がついたのだろう。  恐ろしいほどスピードを落として僕を先行させようとしている。  赤旗なのに抜かれて…  ここでまた僕が抜いたらペナルティになるのかな??  暫く並行して走って、とりあえず何気なく前に出ておきました。

 1回目の走行では遭遇しなかったセーフティーカーが2回目の僕の走行の時に入った。   やはりMG−Fをコースに戻すみたいだ。  ゆっくりと隊列に並んでできるだけエンジンを冷やす事に専念しました。  しかし水温は100〜110℃のまま。  
 次は喉が渇いたので初めて水筒に直結したストローを口にしました。  吸っても吸っても水が口に届かない!  精一杯吸い上げ続けたら一気に喉に流れ込んで苦しかった。  慌ててストローを口から外したら、ストローは水を噴出しながら着地。  そのまま水筒の中身が全部放水された。  ミニのコクピットで逆サイホンの原理を見たのは、僕が初めてなのでは??


 2周ぐらいセーフティーカーに引っ張られてグリーンフラッグでレース続行。  赤旗での追い越し&追い越されは黒旗&ゼッケンを表示されなかったのでセーフ。

 そしてラスト2周からPIT INの合図を確認してPITロードに入りました。  左側に位置する各PITには整備中のマシンが多い事に驚いた。

 2回目の走行は各40分!  真夏の太陽が降り注ぐアスファルト&コンクリートジャングル。  走行中の水分補給は欠かせない状態でした。  僕は一口飲んだら全部こぼれちゃったけどね。

 
 shige1710さん ⇒ 雨天中止さん ⇒ トラふぐさんと順調にドライバー交代をしてる最中に、PITでは焼きそばを作って食べ始めました。
関西のI川さんを筆頭に909さんとtwinsさんが協力し合って作ってくれてます。  ソース焼きそばはもちろん、塩焼きそばも特製ソースを使って焼きました。  塩焼きそばはビールが飲みたくなる悪魔を呼ぶ笛に思えた。
 手の空いてる仲間から順番に食べました。  僕も頂きましたが、サーキットで焼いて食べると旨さ格別♪  嗚呼…ビールよ!


 と…  束の間の平和を味わってる時に限ってハプニングは起きるものです。
走行中のトラふぐさんが急遽PIT IN。  どうやらガス欠寸前らしい。  そう言えば既に100分以上給油してなかった。  大急ぎで携行缶の20リットルを給油してコースに復帰しました。  なんちゃって総監督は来年に向けて100パイの燃料計を装着しておきます。  燃料計には悩ませれ続けます。


 トラふぐさん ⇒ 808さん(1回目のロスタイム込みで50分走らせた) ⇒ 本当は関西のI川さんの番だけど、関西のI川さんにはチェッカーを受けて頂こうと思い、急遽twinsさんに走ってもらいました。


 この時点でライバルtwingoとの差は8周にまで広がってしまったいた。  不思議だぁ。  ベストタイムでさえ5秒しか違わないのに…  PIT作業は5秒の何十倍も速く行っているはずなのに…  ドタバタしてる僕らのPITに対して隣のPITは皆さん余裕でイスに座って寛いでいる。  本当に不思議だぁ。


 周回差も取り返しのつかない差になった。  関西のI川さんから「606君がチェッカーを受けなさい!」とのお言葉を頂いた。
皆さんからも同じお言葉を頂き…  3回目の走行&ファイナルランの準備を始めました。

 twinsさんから関西のI川さんにチェンジして見送りました。  関西のI川さんの走行は2周分早めにPIT INのサインボードを出してもらうように頼んでおきました。  ところがここにきてtwingoのPITが慌しくなった!  どうやらタイヤが悲鳴を上げているらしい。  しかもタイヤはもう無い。  残り時間は40分。  1周2分弱なので9回裏の大逆転… ジャイアンツのミラクル大逆転が期待できた。  しかもtwingoのメカニックさんがエンジンルームに頭を入れ始めた。  

 そしてtwingoは左右のタイヤを前後ローテーションという作戦に出た。  これはかなりの時間ロスだ!  野球で相手のチームがエラーをしてる最中に、監督が「走れ!走れ!」とグルグル右腕を回すが如く、僕は関西のI川さんにグルグル両腕を回して応援した。
 がっ!
思いの他時間を費やさずにtwingoはコースに復帰した(>。<)

 もっと時間がかかれば延長戦みたいな戦いになって面白かったのになぁ。  チェッカーまでPIT INさせなかったのになぁ。


 関西のI川さんにPIT INの合図を出す前に赤旗が出てセーフティーカーが入りました。  このままセーフティーカーに誘導されてチェッカーだなんて面白くない!  それに交代を与えてくれた関西のI川さんに申し訳なかったので、コースインできなくても(コースインさせてくれる事を信じて)PIT INのサインボードを出しました。  最後のサインボードでした。

 3度僕が乗り込みました。(乗り込ませていただきました)  オフィシャルに少しだけ停止させられましたが、問題なくコースインできました。  何周走れるか…  あと何分残っているのか分からなかったけど、おもいっきり走りました。  だけどコースアウトして墜落だけは避けたかったので無理な攻めはしません。  そのうちにセーフティーカーの列に追いつき、ゆっくりと周回を重ねます。


 僕の後ろには速いマシンが4台ほど見えました。  どんなフィナーレになるのか想像はできなかったけど、後の4台と絡むのだけは嫌でした。  セーフティーカーは早めに消えた。  速攻で後の4台に抜かれた。
最終コーナーから立ち上がってもチェッカーフラッグは出ていない。  もう1周か?  最後の最後まで一生懸命走ろう!  集中して走ろう!


 バックストレートの終わりでレッドシグナルが点滅しているのを確認しました。  先頭がチェッカーを受けた事を確認した。  

 『終わった』

 完走した喜びも強かったけど… 暑い。  夢中で走っていたので暑さなんて分からなかった。  ふと我に返ったらスッゲー暑いじゃん!
最終コーナー手前でヘッドライトを点ける。  一番最後にチェッカーフラッグを受ける事には慣れてる僕なので落ち着いてPITウォールの近くまでミニを近づけてチームの前で手を上げて喜びを分かち合いました。

 マシンも心臓も、自分の心臓もクールダウンしてPITロードに入ります。  大勢のオフィシャルが黄色い旗を2本グルグル上手に回しながら誘導してくれています。  全然知らないPITから拍手を頂いて感動。  すれ違う知らない人からも拍手を頂いたり写真を撮られたりして更に感動しました。  オフィシャル一人一人に頭を下げながらPITロードを進みます。  なにせコントロールタワーに一番近いPITまで戻らないといけなかったのでスッゲー時間がかかりました。  さっさと帰ってるPITでは既に記念写真大会が始まってるほど…帰宅時間は遅かったです。


 PITでは熱く迎え入れられてまたまた感動(T。T)  「お疲れ様!」 そんな一言で皆が感動。
僕達も他のPITに負けないくらい記念写真をいっぱい撮りました。  ミニをあーしてこーして…いっぱい撮りました。

 そして疲れて面倒な片付けも、全員『打ち上げモード』になれば速攻です♪  表彰式と片づけを同時進行して早期撤収・早期打ち上げという事でセントラルサーキットを後にしました。  レースは遅かったけど撤収から打ち上げに向かうスピードはファステストラップ(^0^)v 

 打ち上げはサーキットから程近い、今夜皆で泊まるホテルで行いました。  
生ビールを片手に乾杯!  クラス2位の綺麗なガラス製の楯を眺めながら…  豪華な料理を楽しみながら… 格式ある素敵な所だったけど、いつの間にか居酒屋モードになって、たくさん飲みました。   素敵な時間を過ごしました。


 今回の9時間耐久レースに参加して、本当にいろいろなハプニングや考えさせられる事がありました。

主催者側の…
 欧州車及びクラシックカーによる9時間耐久レースと5時間/3時間/1時間による耐久レースなお本イベントもユーロカップ同様、真剣勝負のレースをする為のイベントではありません。あくまでも草レースであり、走行会の延長くらいのレベルで主催運営されています。厳格なルールや車検、激しいレースを望まれる方にはむかないかもしれません。気軽に、楽しくモータースポーツを楽しみたい方だけご参加ください。但し、安全面に対しては車両・運転技術うを含めてしっかりした認識を持ってご参加下さい。熱くなり過ぎる方や、無謀な運転をするドライバーと、主催者が判断した場合、今後そのドライバーは勿論、ショップ印が押されている場合はそのショップも含めて一切のエントリーを拒否します。イベントの主旨をご理解頂き、永くこのイベントが開催出来ますように皆様のご協力お願い申し上げます。

 という素敵な考え方と『夏のウルトラ9時間耐久まつり』という題名の通り、とても楽しいイベントだった事は確かなのですが、赤旗でセーフティーカーが入ってる時にコースインできないのでは?  所変わればルールは複雑に変わると思いますが…

 始めの頃に勝ちに行くマシンがコースインできなくて暴走族の如く空吹かしをして、チーム員がオフィシャルに大声で文句を言ってました。  そんな大声で文句を言い続けてもルールが覆るわけがないと眺めていたら、オフィシャルは勝ちに行くマシンをコースインさせました。  その後はセーフティーカーが何度も入りましたが、止めたり入れたりの繰り返し。  安全を見計らってのコースインだとは思うけど、僕達には贔屓(ひいき)にしか見えなかった。

 ちょっと残念な光景を見たし…  これが関西流だとするのならば全然『まつり』なんかじゃないよね。


 そんな9時間のレース中で一番怖かったのが、僕らが設置したテントが風に煽られて舞い上がり…  真横に駐車してあった新車のベンツを直撃!!  …寸前だった事。  あと5cmで支柱がボディに刺さるところでしたわ!


 いろんな事があった8月2日。
いつまでも酒を飲みながら思い出しては大笑いできそうです(^-^)

 ミニを整備してくれたナイツブリッヂさん。
 スポンサーのRACさん。
 いろいろ教えてくれたBKMのY本さん。
 応援に駆けつけてくれた仲間。
 メールや電話、BBSなどで応援してくれた方々。
 そして7人のドライバーと1人のサポート。
 皆さんお疲れさまでした。  ありがとうございました!

by606
 
9時間走って壊れた箇所:センターミラーのみ。