21 射撃訓練 |
64式自動小銃での射撃。 高校を卒業して間もない僕らにとっては誰もが初体験。 エアガンやモデルガンで遊ぶのとはワケが違う事ぐらいは誰にでも分かる。 実弾射撃はおろか…本物の銃『リアルガン』を手にする事だって初めてに決まってる。 でも中には気違いが居て、同い年でありながらも「俺は熱い国で傭兵(雇われ兵士)をやっていた!」 「銃を撃った経験がある!」と豪語してる戦争マニアの隊員も居た。 まぁ、なんでも言った者勝ちという傾向は…最初に顔を合わせた時からありましたがね。 自衛隊の射撃訓練は僕的には憩いの時間でした。 射撃には『寝撃ち』と『膝撃ち』の2つの姿勢があります。 『寝撃ち』とは腹ばいになって両足を広げて体を安定させ…さらに45度体をクネらせ、両肘を立てて狙いを定めて撃つ方法。 『膝撃ち』とは片足立てて、左肘を立てた膝小僧の上に置いて撃つ射撃姿勢。 『寝撃ち』は自衛隊ではポピュラーな射撃方法で、射撃姿勢が安定するので命中しやすい。 戦争映画でもよく登場しますね。 対して『膝撃ち』はどうしてもフラフラしちゃいますね。 どちらにしても動かなくてもイイし、頭も使わなくてイイ! ちゃんとした姿勢をとって、照星(銃の先に付いた照準器)と照門(手前に付いてる照準器)で狙いを定めて、ちゃんとした引き金の引き方をすれば当たるそうです。 班長が「引き金を引く時はゆっくり引く事!」と執拗に言われた。 バンバン撃つのではなく…一発ずつ確実に優しく撃つ。 そうすれば銃も安定して確実に的を撃ち抜くらしい。 小さな声で付け加えるように囁いた「息を止めて引き金を引くように」という言葉を僕は聞き逃しませんでした。 練習用の的は25メートル用。 手のひらぐらいの的を25メートル離れた所から狙って、一通りの練習をします。 実際の実弾射撃は300メートル先の的(ポスターサイズに近い大きさ)を撃ちます。 練習では登場しません。 なので狙う練習よりも正確な姿勢と正確な操作の練習に重点を置いてましたね。 射撃姿勢をとる時はもちろん、常に銃口は人に向けてはなりませんでした。 持ち運ぶ時は常に銃口を上に向け… 射撃姿勢をとる時は常に射撃方向もしくは上に向けてなければなりません。 これが意外と難しく、実弾が入ってないからと気が緩んで銃口をフラつかせれば速攻で殴られます。 射撃練習でも鉄のヘルメットを被っていたので、ヘルメットを銃尾でガンガン叩かれる隊員もいました。 射撃姿勢をとっての練習は二人一組。 後ろに立ってスライド(弾を装填した状態にする)を引いて撃てるようにする役が必要だからです。 その役が居なかったら面倒だし、練習になりません。 射撃の練習は一度姿勢をとってしまえば、後は暢気に人差し指だけ動かしていればOK。 適当に引き金引いてれば給料が貰える仕事でしたね。 スライド係りと上手く手を組めば、お互いにコッソリ仮眠できたし♪ こんな練習をする頃には自衛隊生活にも慣れてました。 時間の使い方も隊員同士の結束も上手くできるようになってましたよ。 優等生・劣等生の溝も体力以外は埋められ…いつの間にか強固な集団ができてました。 実弾射撃はもちろん、射撃練習もお互いの意思の疎通がなければ危険です。 陸上自衛隊の教育メニューの段取りは凄くよく考えられたモノだと思いましたね。 だって… もし… 入隊して直ぐに実弾射撃があったら… 何人撃ち殺されていたか分かりません。 ストレス溜まった隊員が乱射してたか分かりません。 頭は鉄のヘルメットを被ってるけど、7.62mmNATO弾なら近くから撃たれれば鉄のヘルメットぐらい貫通します。 もちろん目よりも下は燃えにくいだけの薄い戦闘服。 そりゃあ教育隊長・区隊長が神経ピリピリした顔してるはずですよね! 射撃練習は毎回ワンパターン。 空撃ちの連続。 Hな事を考えながら空撃ちの練習。 仕事が終われば体力余ってるからトイレの個室で実弾発射! これもワンパターン♪ by606 |