135 ホークミサイル実弾実射訓練 其の壱拾

 到着した翌日は制服で射撃場の視察。  めちゃめちゃ広い射撃場。  射撃場というよりも荒野の大草原!  生まれて初めて地平線っていうものをこの目で見た。
 半径20mぐらいに僕らが居るだけで、誰も居ない大草原。  制服を脱ぎ捨てて、全裸で全力疾走したくなるほど自然に囲まれていた。

 点々とある見覚えのあるレーダー。  そして発射機に発電機。
 僕達は万が一、ミサイルが暴発しても安全なコンクリート壁の後ろで、米兵から説明を受けてました。  その米兵…  二十歳過ぎた僕の事を「BOY!」と呼ぶ。  まぁ別にいいけど…ね。


 その米兵の説明が終わって、初めて軍の食堂に案内されました。
 体格に良い米兵に囲まれながらトレーを持って列に並びます。  箸は無く…  スプーンとフォークを取って食べたいモノを指差して注文。  自衛隊みたいにメニューが決まってないのが凄いですね。
 僕はまずライスをもらって、美味しそうなポテトサラダがあったので、指差してお願いしたら「I make it a potato or either one of the rice and am nerdy!」  「Do you understand English? 」  「Do you make it potato or which of the rice?」  おたまでテーブルを叩きながら機関銃のように怒られた。  意味わかんないよーっ!
 どうやらライスとポテトを一緒に頼んではダメみたい。  ポテトサラダだと思ったら、サラダのないポテトだそうで…  食事の前に怒鳴られて、もの凄く嫌になった。


 結局何をどう注文していいのか分からなかったので、前の米兵が注文したモノを「same thing!」と笑顔で注文。  これが意外にスムーズだった。  でも…  食べたくないモノまでトレーに載っちゃう。  それに自分と同じモノばかり注文する僕を米兵が変な顔で睨むし…  日米共同とか日米安保理とか嘘だ!と僕は感じたね。  僕の戦闘服もどこでどうなっているのかサッパリ分からないし!


 風呂なんてプールに備え付けのシャワーと同じで、ビニールで囲まれているだけのモノ。  夏場だったからまだ良かったけど…冬だったら風邪ひいてたよ。


 アメリカも夏は日が長いのかな?  すっげー夕焼けが綺麗だった。  暑いけど空気が乾いているから汗が出ない!  汗が出ないのではなく、汗が出てもすぐに乾いちゃう♪
 デカイ冷蔵庫には缶ビールがこれでもか!というくらい冷やされていた。  好きなだけ飲んでOK♪  夕方からガンガン飲んだよ。  日本じゃ手に入らないバドワイザーのDRY。  通称BADDRY(バドドライ)ってやつですね。  辛口のバドワイザーの旨かった事といったら…  どんだけでも飲めた。


 小屋の前で酔っ払っていたら、女性二人が僕に戦闘服を届けに来てくれていた。  全然知らずに戦闘服の事を気にしながら飲んでいたので、イマイチ素敵な酔いを感じず…。  二人の女性は帰っちゃったし。
 クリーニング屋さんで洗って仕上げられた戦闘服の上にはキチンと請求書が置いてあった。  誰に払うの?  一難去ってまた一難!  新たな悩みを抱きながら酔い潰れて寝ました。


 酷い二日酔いで目覚め…  また「same thing!」な朝食を食べ…  戦闘服を着て国旗掲揚を済ませて射撃場に行く車に乗ろうとしたら、見覚えのある女性二人がクリーニング代を取りに来た。  ちょっと怖かったけど、8$の請求書だったので、礼儀正しく10$紙幣を1枚渡したら2$返してくれた。  でもそこはアメリカ合衆国。  チップという習慣があると思ったので、1$ずつ手渡したら苦笑いしながら手を振って帰って行きました。  1$1枚なんてケチ臭い日本人だと思われたのかな?

 異国で初めて優しくしてくれた人達と、二日酔いで立ってるのもキツかった僕の記念写真です。   喧嘩したらたぶん負けちゃうだろうなぁ。
by606