121 演習の思い出 其の六 |
装甲車1台分の修理費がいくらするのかは分からないけど… これが親方日の丸自衛隊! 同期の隊員で5億円するレーダーをぶっ壊した桁外れなクラッシャーが居た事を思えば気が楽になります。 もちろんその隊員は普通に生きてましたがね♪ 【エピソードD】 塀の中と塀の外 駐屯地や演習場の中と外では世界が全然違います。 塀の外にある普通の世界から見たら、塀の中にある狭い空間に生きる隊員たちに守られている感じを受ける人も少なくないと思う。 普段は自衛隊なんて気にも留めない人が殆どだろうし…。 逆に塀の中の自衛官は、シャバとの境界線をたった1本の針金と支柱だけで仕切られ… 演習場では一般道を境に仕切られているだけ。 簡単に言えば動物園みたいなモノでしょう。 一般の人が興味本位に式典や観閲式に訪れるような感じ。 だけどその『中間』という『時』が多々ある。 その中間の時を一番強く感じるのが駐屯地から演習場、演習場から駐屯地に移動する時。 演習は個々の隊員が状況下に入ったような催眠作用を作られてから始まる。 だから頭の中では『戦争中』というわけ。 『赤の国』(ソビエト連邦)が敵として状況下に置かれる演習でした。 ミグ29やハインドDなどを敵機とみなして戦う状況下。 深くのめり込めば殺すか殺されるかという切なくも悲しい自己暗示にまでかかってしまう。 母国の為、家族の為… 装甲車に乗って駐屯地を出る。 戦場に向かう。 もし僕が死んだら家族はどう思うのだろう? そう思うとなんとなく目頭が熱くなる。 夜の高速道路に上がって流れ移る夜景を、装甲車の荷台で64式小銃を抱きながら見る。 生きて帰りたい。 長距離を走っている途中でトイレ休憩のためにSAかPAに入る。 64式小銃を助手席に置いてドライバーに見張っておいてもらい、トイレに向かった。 迷彩服を着て、顔は迷彩色にカモフラージュ。 そんな自衛官一個中隊(40人前後)が一斉にSAだかPAのトイレに向かう。 滑稽だった!! 一気に状況下の催眠作用は消える。 チビは怖がって泣くし、使い捨てカメラでバシバシ撮られたりする。 だいたい明るいトイレの中で大勢の迷彩野郎が横一列になって一斉に用を足している。 普通にお菓子とか買い物してる隊員までいるし! 変だろ!その格好でレジに並ぶのは! カモフラージュした顔で普通にソフトクリームを食ってる奴もいるし! 紛れもなく非日常と日常の中間の時。 どっちの世界が本当なのか分からなくなるだけでなく、今やってる事が非常に無意味なんじゃないか?とまで思える中間の時でした。 これがまた昼間だとか演習帰りだともっと変なんだよなぁ。 3日間風呂に入らず、歯も磨かずの状態で立ち寄るSA・PA… 想像を絶するでしょ? 再び装甲車に乗って演習場に入るまでにモチベーションを上げなくてはなりません。 ソフトクリームを食べてるような奴は永遠に状況下には入らないだろうけどね。 皆さんも何処かで自衛隊さんに会った時は『場違いな奴』だとか思わないであげてください。 それなりに頑張っているのですから…♪ by606 |