606の息抜き 其の弐拾九

 ■5月30日 (日曜日) くもり/はれ■

 朝早く、大好きな伊良湖岬に向かって606号を駆る。

 ステアリングを南に向け…

 顔に当たる乾いた街の風がだんだん湿気を帯びた潮風になると景色もガラっと変わる。

 大好きな恋路ケ浜までは家からゆっくり走って1時間半。

 お気に入りの場所に606号を停めて下車。

 お気に入りのベンチに座って砂浜から遠州灘… そして太平洋を眺めて『無』を味わう。

 安くて広いリラグゼーション空間だ!

 心身ともにリフレッシュできた!

 心身ともにリフレッシュできたら腹が減る。

 分かりやすい腹だと自分でも思う。

 再び606号に乗り込んで、近くにある大浅利屋さんにステアリングを向けて出発。

 この歳になりゃあ誰にだって1つはある懐かしくて落ち着く店。

 それが大浅利屋さん。

 2年前の夏に亡くなった大将の後は女将さんと仲間が頑張っている。

 口数の少なかった大将。

 爽やかな口調の女将さん。

 この二人と出会っていなかったら、今の僕は存在していなかったかも。

 10年以上、いや…20年近くのお付き合い。

 だけど一年に会えるのは片手にも満たない。

 癒されて…

 喰って笑って鋭気を養う。

 何も予定のない日曜日は、また此処に来よう。  そう思える場所が伊良湖岬。

by606