■8月2日(日曜日) ドシャ降りのち晴れのちのち夕焼け■

 過去を振り返るのは好きじゃないけど、振り返りたい過去があるのってスッゲー素敵な事だと思う。


 これまで美浜サーキットでの90分耐久レースを6回。  そして昨年も参加した9時間耐久レース。  整備し続けてくれるナイツブリッヂさんの努力&苦労のおかげもあり、いずれも100%の完走率を維持。
 そんな努力&苦労を知ってか知らずか…「ミニって丈夫だなぁ!」と関心し続けてきました。  実際、チキチキミニが完成して1年は全くオイル漏れがなかったし、昨年の9時間耐久レースを走り終わってもオイル漏れどころか滲みすらなかった。


 昨年の9時間耐久の後で鈴鹿サーキットの走行会を走り、90分の耐久レースを1回耐えたチキチキミニ。
「今年はこれでヤメよう。」  そう思ってTWO&FOURさんから届いた9時間耐久レースの案内封筒を開けずに破り捨てるつもりだった。  しかし何か妙な胸騒ぎがして開封。  目に飛び込んできたのはサインボードを高々と上げている僕らの画像が使われていた広告でした。


 「もう1回やってみるか♪」  単純かも知れないけど…「やってみよう!」と思えた気持ちが自分なりに嬉しかった。


 そう思ってナイツブリッヂさんに連絡したのがレース1ヶ月前。
6月7日の90分耐久レース以降、オブジェと化して蜘蛛の巣だらけになったミニを見て萎えた自分が悲しかったし…  ヤル気になった事を後悔した。
 

 今回はチキチキミニにスタビライザーを奢る計画。  あとはレースに備えての整備だけ。  速さよりも耐久性重視のチキチキミニ。  結局、時間が無くてスタビライザーは装着を諦めました。  その代わりにドライバーの暑さ対策を創意工夫して耐久性に加えて快適性を追加。
 ナイツブリッヂ店主さんは前日まで整備し続けてくださいました。


 さてさて今年のメンバーはナイツブリッヂ店主さんを筆頭に△10さん御夫婦・Hage73さん・#19さん・アダムさん・UTENさん・808さん・606という9人体制に決定。
 応援&お手伝いに96さん・909・kjさんという3人。  本当はもう2人来てくださる予定でしたが都合で来れなくなりました。


 RAC様からお揃いのユニフォーム15着を協賛していただき…  「完走とクラス優勝したら飲んでもいいよ♪」という但し書き付でプレミアムモルツ(606の大好きなビール)がたくさん届きました。
 もちろん完走もクラス優勝も両方したいよ♪


 耐久レースの申し込みは7月10日に提出。  チーム名:(有)ナイツブリッヂ  車名:RACナイツミニ


 いろいろ決めたり、じわじわ準備したりする一方でなかなか全員が集合して話し合う事ができませんでした。  それもこれも梅雨明けしないが為にツーリングが延期になったり、雨で中止になるはずが嬉しい事に実行できたりで…  耐久レースの打ち合わせが自分の勝手で出来なかった。  机上での打ち合わせは面倒だし話がズレたりするので好きじゃなかったのですが、最後まで電話連絡での打ち合わせとなってしまった。
 もっとも集まれば飲んで飲んで飲んで盛り上がるだけだったのかも知れないから、それで良かったのかな?  それは僕だけ?  言い訳かな??


 結局、前日まで電話での打ち合わせは続きました。(携帯電話の請求書が怖い)
 それでも一通りの段取りは決まりましたが…  初めてセントラルサーキットを走る△10さん御夫婦とHage73さん・アダムさんにコース説明は出来ず終い。  アドリブで走ってもらう事に相成りました。


 前夜は缶ビール2本飲んで午後8時に消灯。  仕事が終わってから持って行く荷物を配達号に積む作業でヘロヘロに疲れてしまったので酔いが回るのが早くてすぐに寝ちゃったなぁ。


 そして8月2日の午前0時に起床。  元旦のノリだ!
 身支度を済ませて0時40分に出発。  肝心のミニはナイツブリッヂさんから#19さんに車に牽引されて出撃だから配達号の背中は軽いです。  天気予報通りで雨が降っています。  本降りでした。


 午前1時40分に集合場所の御在所SAに到着。  燃料補給をして長距離移動に備えます。
UTENさんと808さん以外のメンバー全員が集結して午前1時55分に御在所SAを仲良く3台の車で出発しました。  がっ!  僕はSA出口付近で待っていたのに、いつの間にか他の2台は出発していて配達号は一生懸命追いかける事になってしまった。


 必死で追いかけても全然追いつかない非力&プチ過積載の配達号の悲しい定め。  蒸し暑かったからエアコンも効かせていたし…  前を走る車から連絡がきたのは新名神に入って間もなくでした。  「店主さん新名神に進まずに真っ直ぐ行っちゃったのでUターンして来るそうです。」と…。  難儀やなぁ。


 3台が無事に合流できたのはウルトラどしゃ降りの西宮名塩SAでした(^-^)  ここで合流を兼ねたトイレ休憩をするつもりでしたが、あまりに激しい雨のために外に出られず!  さらに駐車場も混雑していたので赤松PAまで移動する事にしました。


 赤松PAでようやく全員が合流できました。  セントラルサーキットに最寄のICである滝野社ICまで15kmのPAです。  こんな事なら赤松PAか滝野社ICを出た所で集合でも良かったですね。


 そんなこんなでセントラルサーキットに到着したは午前5時。  1時間以上仮眠できる。  雨は止んだけど暫くはセントラルサーキット名物の午前中はウエットコンディションを覚悟せねば!
 仮眠したくても落ち着いて休んでいられないA型の悲しい定めで…全く休めなかった。  むしろ歩き疲れたし、BKMの皆さんや知り合いの方々と喋り疲れちゃいました。  前泊された方々はスッゲー元気そうだったなぁ。


 6時半にセントラルサーキットのゲートがオープン。  待機していた積載車やら乗用車が流れ込みます。  しかし急な坂道を登った所にある入場料(一人¥2000)を払う料金で渋滞。  これもセントラルサーキットの名物ですね。
 最前列に近い位置で待機していた僕らはスムーズに割り当てられた11番PITまで進む事ができたけど…  これから決勝スタートまでの1時間ぐらいで受付・車検・ドラミ・予選をこなさなければなりません。  これも名物なので、どのPITも戦々恐々としています。


 受付は免許証を一括で預かって一人が受理書持参でOK。  車検は飛散防止がメインで検査されてゼッケンにサインされて終了。  ドライバーズミーティングは誰か一人が参加すればOK。  予選は練習(初走行)を兼ねて△10嫁さんが走ります。


 そんな△10嫁さんが走る予選ですが…  9時間耐久レースは25台が参加する中でRACナイツミニが1300ccで一番低い排気量。  その上となると1600cc以上になるので、どんなに頑張っても最後尾必至。  「決勝スタート前に練習したい!」という△10嫁さんの意見も酌んでの抜擢です。
 僕が受付に行ってる間に△10嫁さんはピッカピカのレーシングスーツに変身!  キューティーハニーかっ?
レーシングシューズもヘルメットもピッカピカ!!  @RAC様


 路面状況はウエット。  20分間の予選。  いくら頑張ってもPPは無理だし、9時間の耐久レースだから1周5分ぐらいかけて回って来てもOKというノリでした。  簡単に言えば予選なんて関係ない!みたいな♪
 「本当、初めてだからゆっくり走ってくるね。」  「コース覚える感じで走ってくるね。」と不安と心配で頭の中がいっぱいの△10嫁さん。  予選の為に並んだPITロードは超ヤル気の先頭集団。  
 予選間際にコース説明とPITに戻る時の手順を教えただけで初めて走るサーキットにコースインしました。


 △10嫁さん即スピン(^0^)  だって1コーナーは逆バンクになっているし路面はウエット!  しかも複合する2・3コーナー手前には激しい雨で流された砂も上がっている状態でした。
 焦っただろうね。

 「2周ぐらいで帰っておいで。」と冗談で言ったら、本当に2周しただけで帰って来ちゃった。
しかも立体交差手前でもスピンしたそうで…。  濡れた路面では危険だから帰って来て正解だったかな?  そんじょそこらの女性だったら絶対嫌がる事を先頭切って出て行った△10嫁さんに拍手を送りたい!!


 時間が余っていたので、僕も乗ってみました。
 ミニ…  スッゲー吹け上がりが良い♪  アクセルというか加速が軽かったので驚きました。  驚いたのは恐ろしいほどよく滑る事。  △10嫁さん…こんな状態でよく走ったわ!
 僕も2周走ったところでチェッカーを受けたので、3周目で予選を終了。  もちろんタイムアタックなんてしてません。  もちろん予選順位は最下位です。  もちろん想定の範囲内です!  それでイイのです!!


 決勝は午前8時から始まります。  予選から帰還して水を飲む暇もなくグリッドに並ぶように指示を受けました。
トップバッターは、どうせ誰もやりたがらないだろうと思ったので606です。  一番最後尾だから一番最後にPITを出てもイイだろうに、オフィシャルの指示に従って25番グリッドに進みました。
 ここからが早かった!  昨年は記念写真を撮ったりする時間があったのに、即1分前のアナウンスでコースから応援団は排除されました。  グリッドスタートじゃないから特に緊張はありませんでした。  ツーリングではいつも先頭なのに、なぜレースではいつも最後尾なんだろうね。


 グリーンフラッグが振られてローリングが開始。  どのマシンもジグザグ走行でタイヤを温めます。  路面が濡れているからどのマシンも念入りにジグザグさせているけど…  RACチキチキミニは1コーナーの突っ込みよりもタイヤの温存と燃料の節約重視のエコ走行。  これでイイのです♪  
 バックストレートでは急発進してまでもタイヤを温めているマシンがいました。


 ヘアピンコーナーではフォーメションランでもスピンしそうになった僕。  「こりゃ1コーナーで何が起きるか分からないぞ!」と集中力を高めながら(遅っ!)立体交差手前を下っていたら、上のメインストレートを走る先頭集団はペースカーが抜けて全開走行ではありませんか。  立体交差から最終コーナーまでの渋滞で苛々したあたりはモチベーション満タンの証拠だ!


 最終コーナーを立ち上がったら前のマシンにグングン離される。  アクセルとブレーキを間違えているのか?と思ったし…  サイドブレーキを戻し忘れてのかと思って確かめたほどパワーの差を痛感。
 コントロールタワーでは激しくグリーンフラッグが振られていました。  だ・か・ら…分かっているって!  アクセル踏んでますからっ!


 「慎重に入らなきゃ!」と自分に言い聞かせ続けた最初の1コーナー。  案の定1台がOUT側に流れながらスピン。  慎重に回避して2・3コーナーを抜けてバックストレートを進みます。  バックストレートエンドまでに確認できるマシンは2台くらい。  「焦らずマイペース」  「UTENさんに襷をつなげなきゃ!」とブツブツ言いながら4コーナーに進入。  前を走るマシンが綺麗にスピン。  そのまま最終コーナーまでに2台抜いてきたかの如くメインストレートに現れたRACチキチキミニでした。
 2台抜いて来たみたいですが…  2台のスピンを回避して来ただけの事でした♪  どうだっ!

 まっ…  その2台にはメインストレートで呆気なく抜かれたのは言うまでもありません。  どうだっ!


 それから暫くは平和でした。  静かなサーキットでした。  まるで田舎の無意味に広く作られた市道を走っている感じ。  今考えてみたら、この時だけミニの排気音が聞けたような??


 そんな静寂はすぐに突破られましたわ!  3周目ぐらいでバックマーカー状態。  白くカラフルなBMWがスッゲー勢いでミラーに映りました。  「さぁて今から抜かれまくられるぞーっ!」と…覚悟を決めて走り続けた。  覚悟しなくてもこの状況は与えらるのですがね。
 

 次々に抜かれる。  だけど昨年とは雰囲気が違う事が直ぐに分かった。  強引な抜き方や殺気を感じた抜き方ではない。  昨年もトップバッターだったけど、途中で怖くなったもん!  手を上げて抜いて行ってくれたり…  INを譲ったらハザードで意思表示をしてくれたり…  なんか気が抜けるけど嬉しかった。  抜かれても冷めた感じが残らず…妙に温かかった。


 PITロードではチームの皆が毎周回手を振って応援してくれてました。  エンジン絶好調だったので僕も余裕で窓から手を出して応援に応えてました。  RACナイツミニは機関上なんら問題はありません。  路面も少しずつ乾いてきているので走りやすくなってきている♪  とにかく次に襷を繋げる無理しない走りに徹して、淡々と周回を重ねました。


 ラスト2周のサインボードは思ったより早く出た。  それもそのはず!  だってフォーメションランがあったしね♪  しっかりVサインを窓から出してラスト2周を確認した意思表示。


 そしてPIT INのサインボードを確認して最終コーナーをインベタ走行しながらPITロードに入りました。  ここは制限速度60km/h以下です。  ちゃんとオフィシャルがスピードガンを構えて測っています。
 59km/hぐらいで11番PITに戻って2番手のUTENさんと交代。  「まだまだ路面は濡れている箇所が多いので最初の1周は超低速走行で行ってください!」と伝えてUTENさんがコースイン。


 雨上がりで太陽はそれほど出ていない状態だったので、走っていてもそれほど汗はかきませんでした。  心配していた喉の渇きも全然なし!  「真剣に走ったのか?」と聞かれそうですが…  真剣に走ったよ。  真剣に走らないと危険だもん!  抜かれる時が!!


 UTENさんは昨年も走っている仲間なので心配無用でした。  僕はやっと落ち着ける状態になれたのでイスに座って一休み♪  PITロードでは808さんを筆頭に応援旗を振って皆が盛り上げてくれてました。
 さぁ僕も応援するぞ!  と最終コーナーからメインストレートに立ち上がってくるRACナイツミニの姿を確認。
最終コーナーを立ち上がったのだけど…  メインストレートを立ち上がって来ない!!
 あれれれ(@。@)??  止まってる??  いや、少し動いてる。
 でも止まっているように見えるぞ。
 ん??
 あらぁ??  コースを外れて草むらに避難しちゃった!!
 止まっちゃったよーっ!!
 

 僕達はPITロードの一番端まで行って様子を見る。  叫んで声が聞こえる距離じゃなかったので事態を見守る事しかできなかった。
時間は無情に流れる。  マシンの外に出てドライバーは待避場所に行かないと赤旗が出されちゃう。  それなのにUTENさんは出てくる気配が無い。  UTENさんほどの人なら赤旗が出される事は知っているはず。


 そんな切迫した事態と睨めっこ状態の時に知らない人から笑顔で声をかけられた。
 「この人達、今から9時間も走り続けるの?」と…  グーで殴ってやろうかと思いました。


 ヤバイ!  1時間も走れないままリタイアか??  マシンに何が起きたんだ??
つづく…。
by606
TOYO TIRES presents 夏のウルトラ9時間耐久まつり