久しぶりの一泊装備のザックだが最初はあまり重く感じなかった。温身平まで巨木に見守られながら幅広の林道を行き、石転びへの道を分け、少し細くなった林道へ進む。林道終点にマウンテンバイクが1台デポしてある。その後は登山道となり、桧山沢左岸のごつごつした道を行く。天狗平から50分で吊り橋着。手前で抜いて行った単独行と話す。佐賀の人だ。彼は一足先に出発、以後追いつくことはなかった。
数年前にも10月中旬に千本峰の先辺りまで歩いたことがあったがほとんど覚えていない。登り始めから、がつんと急登。少し緩くなり30分ほどで標点666。また、がつんと急登となり、じわじわ登り、少しなだらかになる。橋から1時間強で標点926。急登から解放され、体感的には水平移動のように感じられすいすい進む。
結構青空も出ていたんです はじめは、、 |
種蒔の池を少し進んだ所でザックを下ろし朝食なのか昼食なのかよくわからないがエネルギー補給とする。ぶり照り焼きの缶詰と家で詰めてきたごはんを食べ20分ほど休む。再び歩き出してすぐ「長坂清水」の背の低い標柱。その後、また飯豊らしい急登を標高差150mほどしのぐと「米栂の平」でほっと一息、心拍数もレッドゾーン手前でクールダウンできた。しかしフラットな区間もじきに終焉を迎え、休場の峰の直下100mがまたまた急登となる。なんとかしのいで、ちょうど10時に休場の峰着。天狗平より3時間半、距離5.03km、高度差915m。晴れていれば端正な形の宝珠山が遠くに見えるのだが今は隠れてしまっている。眺めもあまりぱっとしないので、休まずに先へ進む。
上空は雲に覆われてきた |
もう少しで正午という頃、腰を上げ、宝珠山への長い登りとなる。50分ほどで「宝珠山の肩」の標柱。まさに一上一下といった感じで一つ越えても、また新たなピークが出てくる。予め地形図をよく見て心の準備をしておかないと肉体的のみならず精神的にもダメージを受けてしまう。1800mを切る鞍部まで下りるともう飯豊本山の山頂まで登るだけとなる。しかしこの登りはきつかった。風も強くなり雨具を着てフードを被る。冷えは末端から襲われる。軍手でも持ってきていればよかったがザックに入れた覚えは無い。しかたなく雨具の袖をひっぱり拳を覆った。少し斜度が緩んで山頂の標柱らしき柱が見えたが、とてつもなく遠くに見えた。しかし進んで行くと手前にも山頂の標柱らしき柱が見えた。さっきのは駒形山の物だと気づく。石に薄く消えかかっている赤ペンキで書いた丸の通りに導かれ、3:04飯豊本山三角点。天狗平から実に8時間34分。もうザックを放り投げ靴も脱ぎたいくらいだったが、今晩の宿を本山小屋にしてしまうと明日の行程が長く厳しいものになるのは眼に見えている。御西小屋までは大きなアップダウンも無い。惰性であろうともなんとか歩かなければ、ということで歩き続けた。
飯豊本山山頂の標柱、えびのしっぽが、、 |
小屋へもどり唯一のアルコールであるスーパードライ350mlをプシュッとあけて寛ぐ。駒形山付近で見かけた単独行がやってきて訊くと三条の人とのこと。一階はみな贅沢にスペースを使って残り少ないと判断し、単身2階へ上がった。佐賀氏と茨城氏は屋久島や北海道の話しに花を咲かせている。知らない世界なので聞くのみ。陽の沈む時刻だが、外へ出ても雲が多くて日没のドラマは開演できない。皆することも無く6時半にはシュラフにもぐりこんでいた。うつらうつらして気がついて時計を見る。8時半。長い夜になりそうだ。小用をたすため外へ出る。足下の夜景は喜多方だろうか。見上げれば無数の星。寒いので長くは見ていられないが、これが小屋泊まりでこそ味わえる特典とも言える。次に再び小用で起きたのが3時頃だったろうか、今度は「ビシュッ、、、、ビシュッ」っと流れ星を2つ拝めた。
横になっていても寝付けないので、4時前に起きてろうそくに火をつけ、コンロもつける。朝っぱらからスパゲティミートソースだ。レトルトのカレーもあったがスプーンを忘れ、箸でカレーは苦戦するだろうと思ったうえでのメニューであった。 ぐずぐずしていて日の出のドラマを見逃す。佐賀氏は大日岳をピストンするとサブザックで出かけていった。周りはガスっていたものの、これからの好天を予感させる明るさを感じられた。
御西小屋から どっしりとした大日岳 |
明け方あったガスもどこへ行ったやら、見上げれば秋の空は高く、どこまでも高く。
昨日の登路を振り返る アップダウン激しいです |
6:36天狗岳付近から朝日連峰方向 |
烏帽子山☆(8:03) |
二ッ峰も秋色 |
扇の地紙付近から逆光の二ッ峰 |
地神北峰手前からの杁差&鉾立 |
扇の地紙から梶川峰 後方飯豊本山 |
1:15北側の紅葉 |
ダイグラ尾根を登っている時、いまひとつの天気だったので次回(やっぱり秋になるかな)はぜひ好天のもと眺めを堪能できたらいいな〜なんて思う。あとこの尾根は長さとアップダウンもさることながら、それプラス、手がかり、足がかりを探さなければならないというのが大きなポイントとなっていると感じた。