10/21.22 ダイグラ〜丸森 (飯豊)

 飯豊連峰ダイグラ尾根は飯豊連峰の主稜線に突き上げる支尾根の中でも長さ、累積標高差などにおいてトップクラスのハードさでその名を知られている。そして突き上げたその先が飯豊本山というのもこの尾根の魅力となっている。飯豊を歩きはじめた者なら「いつかはダイグラ」と思わせる登路である。


 3:50いつものように弁当を詰めて、家を出る。関川のセーブオンで少々ゆっくりし、天狗平着。支度をして6時半に歩きはじめる。

 久しぶりの一泊装備のザックだが最初はあまり重く感じなかった。温身平まで巨木に見守られながら幅広の林道を行き、石転びへの道を分け、少し細くなった林道へ進む。林道終点にマウンテンバイクが1台デポしてある。その後は登山道となり、桧山沢左岸のごつごつした道を行く。天狗平から50分で吊り橋着。手前で抜いて行った単独行と話す。佐賀の人だ。彼は一足先に出発、以後追いつくことはなかった。

 数年前にも10月中旬に千本峰の先辺りまで歩いたことがあったがほとんど覚えていない。登り始めから、がつんと急登。少し緩くなり30分ほどで標点666。また、がつんと急登となり、じわじわ登り、少しなだらかになる。橋から1時間強で標点926。急登から解放され、体感的には水平移動のように感じられすいすい進む。

    結構青空も出ていたんです はじめは、、

 種蒔の池を少し進んだ所でザックを下ろし朝食なのか昼食なのかよくわからないがエネルギー補給とする。ぶり照り焼きの缶詰と家で詰めてきたごはんを食べ20分ほど休む。再び歩き出してすぐ「長坂清水」の背の低い標柱。その後、また飯豊らしい急登を標高差150mほどしのぐと「米栂の平」でほっと一息、心拍数もレッドゾーン手前でクールダウンできた。しかしフラットな区間もじきに終焉を迎え、休場の峰の直下100mがまたまた急登となる。なんとかしのいで、ちょうど10時に休場の峰着。天狗平より3時間半、距離5.03km、高度差915m。晴れていれば端正な形の宝珠山が遠くに見えるのだが今は隠れてしまっている。眺めもあまりぱっとしないので、休まずに先へ進む。

         上空は雲に覆われてきた
 休場の峰より足場の悪い所もあるアップダウンを越え、小一時間で千本峰の標柱。15分ほど進むと大きな岩の上に立つ。そこから登路に下りるのが上からだとどこを通ればいいのかわかりづらい。後ろ向きになり、岩と対面するようなかっこうで手がかりおよび足の置き場を探しながらどうにか下りる。下りて振り返ると答えがわかるというしくみになっている。1499pを巻き終わってちょっと進んだ所でまた20分ほど休憩、残りのごはんを食べる。

 もう少しで正午という頃、腰を上げ、宝珠山への長い登りとなる。50分ほどで「宝珠山の肩」の標柱。まさに一上一下といった感じで一つ越えても、また新たなピークが出てくる。予め地形図をよく見て心の準備をしておかないと肉体的のみならず精神的にもダメージを受けてしまう。1800mを切る鞍部まで下りるともう飯豊本山の山頂まで登るだけとなる。しかしこの登りはきつかった。風も強くなり雨具を着てフードを被る。冷えは末端から襲われる。軍手でも持ってきていればよかったがザックに入れた覚えは無い。しかたなく雨具の袖をひっぱり拳を覆った。少し斜度が緩んで山頂の標柱らしき柱が見えたが、とてつもなく遠くに見えた。しかし進んで行くと手前にも山頂の標柱らしき柱が見えた。さっきのは駒形山の物だと気づく。石に薄く消えかかっている赤ペンキで書いた丸の通りに導かれ、3:04飯豊本山三角点。天狗平から実に8時間34分。もうザックを放り投げ靴も脱ぎたいくらいだったが、今晩の宿を本山小屋にしてしまうと明日の行程が長く厳しいものになるのは眼に見えている。御西小屋までは大きなアップダウンも無い。惰性であろうともなんとか歩かなければ、ということで歩き続けた。

       飯豊本山山頂の標柱、えびのしっぽが、、
 本山から15分で駒形山。振り返ると、ダイグラを登って本山に向かっている単独行者が見える。高低差はさほどでもないが、大きな石がごろごろしていて歩きやすいとは言えない。玄山道分岐の標柱を3:33に通過。御西小屋はまだか、の思いで歩き続ける。やがて大日岳と牛首山が見えてきて、3週間前にあそこを歩いたことなどを思い出しながらも歩を進めるうちに御西小屋も姿を現し最後の力をふりしぼる。4:20頃、御西小屋の扉を開ける。ほぼ10時間の長い旅路を終えることができた。

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 小屋の中に入ると風が無い分温かく感じられた。先客は桧山沢の吊り橋で会った佐賀氏、大日杉からの福島市民氏、川入からの茨城氏の計3名、みな一階にそれぞれのパーソナルスペースを陣取っていた。2階にひとりでは寂しいので同じく一階に店を広げる。寒かったのでとりあえず胃の中から暖まろうと思い、鍋焼きうどんを温めはじめる。お湯が沸くまで梨をむいて食べる。山で食う梨はなんでこんなにうめえんだ?と思いながら食べる。うどんの方も準備が整ったようだ。七味をぱらぱらして、ずずずっとすする。なんでこんげにうんめんろっか?パート2。体も暖まり人心地着く。少し休んで、暗くなる前に水を汲みに行く。水場は本山方向へもどって右下へ下った所にパイプがさしてあり、そこから出ていた。

 小屋へもどり唯一のアルコールであるスーパードライ350mlをプシュッとあけて寛ぐ。駒形山付近で見かけた単独行がやってきて訊くと三条の人とのこと。一階はみな贅沢にスペースを使って残り少ないと判断し、単身2階へ上がった。佐賀氏と茨城氏は屋久島や北海道の話しに花を咲かせている。知らない世界なので聞くのみ。陽の沈む時刻だが、外へ出ても雲が多くて日没のドラマは開演できない。皆することも無く6時半にはシュラフにもぐりこんでいた。うつらうつらして気がついて時計を見る。8時半。長い夜になりそうだ。小用をたすため外へ出る。足下の夜景は喜多方だろうか。見上げれば無数の星。寒いので長くは見ていられないが、これが小屋泊まりでこそ味わえる特典とも言える。次に再び小用で起きたのが3時頃だったろうか、今度は「ビシュッ、、、、ビシュッ」っと流れ星を2つ拝めた。

10/22

 横になっていても寝付けないので、4時前に起きてろうそくに火をつけ、コンロもつける。朝っぱらからスパゲティミートソースだ。レトルトのカレーもあったがスプーンを忘れ、箸でカレーは苦戦するだろうと思ったうえでのメニューであった。 ぐずぐずしていて日の出のドラマを見逃す。佐賀氏は大日岳をピストンするとサブザックで出かけていった。周りはガスっていたものの、これからの好天を予感させる明るさを感じられた。

               御西小屋から どっしりとした大日岳
御西小屋6:18発 

 明け方あったガスもどこへ行ったやら、見上げれば秋の空は高く、どこまでも高く。

              昨日の登路を振り返る  アップダウン激しいです
 

                 6:36天狗岳付近から朝日連峰方向
 6:56天狗の庭、今は立ち入り禁止になっているけど、テント張ったら気持ち良さそう。 7:33御手洗の池。

                              烏帽子山☆(8:03)
 烏帽子岳への登りがきつかった〜。その山頂8:51通過。9:12梅花皮岳。

           
梅花皮岳から少し下って見下ろす十文字鞍部の梅花皮小屋と後ろに聳える北股岳(9:21)

 治二清水を探して少し迷走、、。9:45梅花皮小屋通過。ここでまた北また岳への登りが「おおしごと」 ひ〜こらとなんとか石転びの頭 10:08。

                                二ッ峰も秋色
 10:49門内岳通過。10:53〜11:40門内小屋で火を使っての残飯整理。以降は行動食のみの予定。あ〜、しかしいい天気だなぁ。 くつろいでいると韋駄天の佐賀氏が。彼は天狗平へ下りてもバスの運行している梅花皮荘までの歩きが待っている。4時のバスに乗らなければ、と先を急ぐ。

                扇の地紙付近から逆光の二ッ峰
 今回は一回下ったきりで印象も薄くなってしまった丸森尾根を下山路に選択。地神山への緩登も疲れた脚には堪える。12:19地神山。

           地神北峰手前からの杁差&鉾立
12:30地神北峰。

                        扇の地紙から梶川峰 後方飯豊本山
 丸森尾根は斜度的にはそうきつくはないんだけど、石がごろごろしているのが難。12:57丸森峰。以降は灌木帯の中となる。

                     1:15北側の紅葉
 1:45夫婦清水。700mを切るころから、よいしょと自然に声が出てしまうほどの急降下。駐車してある車が見えるがまだ小さい。飯豊山荘の屋根も見えてくる。しかしまだ気は抜けない。なんとか登山口着、2:56。 飯豊山荘の湯船につかり、痛くなった肩、腿、ふくらはぎをもみもみ。湯上がりに食べるアイスクリームがおいしい。 今回も藤田酒店にてなめこの瓶詰め480円を購入。5:27帰宅。

 ダイグラ尾根を登っている時、いまひとつの天気だったので次回(やっぱり秋になるかな)はぜひ好天のもと眺めを堪能できたらいいな〜なんて思う。あとこの尾根は長さとアップダウンもさることながら、それプラス、手がかり、足がかりを探さなければならないというのが大きなポイントとなっていると感じた。

10/27記

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