8/6 (土) 大日岳(御幣松尾根.往復)

登山口(林道終点)発6:24 アシ沢の橋6:31 月心清水着7:23発7:58 8:53一服平 櫛ヶ峰菱型看板9:48 牛首山10:38 牛ヶ首11:08 大日岳0:00  登り約5時間半(休憩含む) 

惣十郎清水発0:55 1:23牛ヶ首 1:56牛首山 2:55櫛ヶ峰看板 3:27一服平 4:20月心清水 登山口着5:33 下り約4時間40分(休憩含む)

装備/水:2.5+0.9(リットル) 昼用弁当 行動食 雨具 不携帯アイテム/コンロ及びカートリッジ ストック


電池切れの為 惣十郎清水〜大日岳山頂のログが取れなかった

アプローチのしやすさと入山者数は比例する

突き上げれば連峰最高峰大日岳。そんな肩書きを持つものの、この登山口を目指す者は多くない。なぜならばメインディッシュに至るまで林道歩き3時間というヘビーな前菜に躊躇してしまうからだ。

飯豊連峰の新潟側の登山口は最奥の集落から沢沿いに10kmほど遡りようやく尾根末端となる。胎内口、赤谷口、そしてここ実川口。登山口近くまでバスが入るようになった胎内口はそのアプローチの容易さから多くの人に親しまれるようになった。

で、この実川口である。地形的に言って林道の拡幅工事は無理と思われる。上流に向かって左は垂直の山、右は目もくらむような実川の急流。雪崩、落石も多くしばしば通行不能となる。

しかしそれらの要素が「いつでも行ける」ではなく「行ける時に行っておかなければならない」へと山の優先順位を上げることにもなっている。


正直、連日の暑さから山へのモチベーションは低空飛行を続けていた。それがどうして、飯豊へ向かわせたのか。この時期なら標高の高い北アルプスへ涼を求めて、、というのが多くの人の一致した意見ではなかろうか。しかし大日岳まで行ったものの、主稜線は夏雲の中に隠されて拝むことはできなかった、にもかかわらず満足しているのはなぜだろう。


草履塚から望む歩きたくなる稜線 '04 6 18

6:24看板に従い林道からブナ林を通り芦沢へ向かって降りて行く。

橋の上から下流方向
橋で左岸に渡りへつりながら進むが、朝露をたっぷりつけた路傍の草でたちまちズボンの裾は濡れてしまうが苦になるほどではない。急坂をゆっくりと登りきると、長い年月を経ることによって熟成された、「癒し」を感じさせるブナ林。頭上の木々の梢の向こうには夏全開といった様相の青空が広がる。強烈な日差しの防御策として、ホームセンターで買った¥298の麦わら帽子を今日もかぶる。ロープの設置された急登と水平移動(実際には緩く登っている)を交互に繰り返す。急登で上昇した心拍数を斜度が緩んだ所でクールダウンできる。谷筋からガスが湧きはじめ、櫛ヶ峰から牛首山の稜線にも雲がかかる。樋状の道を登り、

7:23月心清水。テントが一張り。ザックをデポし水を汲みに向かう。

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純白のセンジュガンビに歓待される。水はキンキンに冷たいというわけではないが、消費した分を補う。分岐に戻り、いなり寿司3個(311kcal)をぺろりとたいらげる。まだ時間が早いので木陰で休むことができ助かった。休んでいるとアキアカネがひざの上にとまるのは許せるが、いくら「しわらくさい」からといってハエがまとわりつくのには閉口した。環境が良いので30分以上も休んでしまう。先はまだまだ長い、腰を上げよう。

月心清水〜一服平〜早川の突き上げ
月心清水を発つとロープのさげられた急登がすぐにはじまる。ロープに頼り過ぎないよう、足の置き場を探りながら、顔には滝のような汗。1150m辺りで北に向きを変えるとホッと一息となる。また、急登と緩登をくり返し高度を上げる。登路の両脇にはセンジュガンビが点々と咲いていてくれる。

タマガワホトトギス 8:42
花崗岩のざれた急坂にもロープが下げられていた。脇の灌木をつかみながらやりすごす。登路に草本類が被さり気味でそれがまだ朝露に濡れている。

8:53一服平。ここにもテントが一張り。花も多彩になってくる。イワオトギリ、ヤマハハコ、ニッコウキスゲ、ミヤマクルマバナなどなど。

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登路に被さる草本類の勢いが増して来て、かき分けて進む所もでてきた。またロープの急坂が出てくる。役に立たない錆びた番線が出てくると早川の突き上げは近い。

9:48早川の突き上げ。字の消えた「櫛ヶ峰」の菱型看板がある。吹く風が心地よい。西の裏川側はそこそこ見えているが、東の前川側はガスに閉ざされている。希望としてはこの尾根から、対岸の種蒔山〜草履塚の稜線を眺めたかったのだが。

アップダウンが続き、たまらず腰を下ろして休む。「うにせん」という名のあげおかきはザックに押し込んでも割れたりつぶれたりしないのでいい。失われた塩分を補うべく食べる。さらにプルーンも。家で食べる時はおいしいとは思わないが山で食べるとなぜかおいしい。これも鉄分、カリウム、食物繊維を含んでいる。

牛首山南峰から南東に延びるシシ笠尾根 
白い花崗岩と周りの濃い緑とのコントラストが美しい。朽ち果てた牛首山の標柱は南峰のそのまた南のピークにあった。

連峰最高峰の貫禄十分 牛ヶ首の鞍部から登路が大きく東へふくらんでいるのがわかる 10:57
早川の突き上げ〜山頂
頂陵へもどり東側にオーバーハング気味に傾く岩陵の西側を歩き、惣十郎清水にザックをデポし、ウエストバックにカメラを入れ目前の山頂を目指す。幕営跡地まで来ると山頂の標柱が見え、御西から空身で来る登山者の声が聞こえる。ちょうど正午に山頂に着いた。主稜線は雲に隠されている。待てば晴れる気配も無いので惣十郎清水へもどり弁当を開ける。

惣十郎清水を見下ろす(右の残雪のある所)
「鞍部から主陵の東側を巻き、草付きの斜面を急登して大日岳の頂陵へ出る。そこは短いが岩陵である。渡って緩登のまま大日岳の肩に突き当たる。基部を西へ廻って草斜面の窪地へ出ると、惣十郎清水がキラキラと走っている。付近の草原は昼の弁当を開くによい。」と越後の山旅上巻p146にある。今回の目的はこれを実際にそこでやってみたかったのだ。まさにキラキラと走る流れがそこにはあった。

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冷蔵庫からセレクトしたおかずは塩分多めの漬け物系がほとんどである。我が家の古老(といっても64だが)が漬けたなす漬けは、家で食べるとどうってことない物だが、そこで食べてみると、今まで食べたなす漬けの中で一番うまかった。ザックの中のタッパの中で微妙にシェイクされ、このロケーションの良さがそうさせているのかもしれない。

この花を見るとある人を思い出す
いつのまにか雲が広がっている。帰り道もハードなので腰から根が生える前に歩き出さねばならない。0:55惣十郎清水発。

タテヤマウツボグサ 1:04
霧の彼方に続くコバイケイソウ群落 1:07
1:23牛ヶ首。右の薮でガサガサっと音がして、猿がしばらく警戒のためにわめいていた。すぐに通り過ぎるすけと言いながら通過する。猿の姿は確認できなかった。

牛首山付近 1:51
大日岳〜早川ノ突上ゲ間は飯豊の中でも高山的景観を見せてくれているのだが、辺りはガスに包まれてしまっていた。夏だし、真っ昼間だし、これもいたしかたないのだろう。しかし、強い陽射しを浴びることなく歩けるのは大いに助かる。岩の間から顔を出しているのはツリガネニンジン(ハクサンシャジン)だろうか。ハクサンフウロもきれいな色で咲いている。ニッコウキスゲも群れをなして咲いているが、やはり圧巻はコバイケイソウの大群落だ。そしてミヤマアキノキリンソウが早くも咲いていた。上の方ではハクサンイチゲが咲いていて初夏、盛夏、初秋の花が一時に見ることができた。

2:55櫛ヶ峰看板(早川ノ突上ゲ)。高度を下げると両脇の草本類が登路に覆い被さってくる。地面が見えなくなるほどではないが歩くスピードは遅くなる。3:27一服平通過。少し過ぎた所でザックを下ろし休む。腰を上げ歩き出す。苦手な花崗岩のザレた下りは腰を下ろして慎重に通過。4:20月心清水。Tシャツを脱いでぶよぶよの上半身の汗を拭う。ひと息入れ、林道目指して下りはじめる。50代ぐらいの男性3名グループのうちの2人を抜くと芦沢の橋まで来た。

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5:33林道終点着。今年中にもう2回、いや最低1回は歩きたい。家には7:02に着いた。

8/14 加筆修正

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