10/10〜11 御幣松尾根で大日岳、御西小屋まで

阿賀北南部に住む者にとってこの飯豊連峰最高峰大日岳の存在感は抜きん出ているのではと思う。重量感あるその山容はどの山よりいち早く白く光りかがやく。

実川口登拝路

明治11年〜大正6年、山都村と豊実(現.鹿瀬町)村が飯豊山神社境内を含む頂上部の境界を争い、結果豊実村の敗訴で今現在のへその緒のような境界線となったようだ。

http://www.town.yamato.fukushima.jp/Msugata/yamato_history/heso.html

山都町のホームページより↑参考資料

想いはつのる

5〜6年前の初夏新潟福島県境の鏡山で残雪の大日岳から御西、本山を眺めた時、いつかはあそこに立ってみたいと思った。

そして今年、2/22兎ヶ倉、大日岳への憧れは更にパワーアップ。さらに6/19姥御前で見る残雪のこの山、牛ガ首からもりあがるスカイラインは強い吸引力を感じた。


10/10(日)

5:52家を出る。津川のコンビニで買い出し。6:48実川島。7:10実川の先のゲート手前広場に駐車。自転車をおろし支度をし8:00スタート。それにしてもザックが重い。ふだんの日帰り装備が超軽量なだけにこたえる。このダートは釣りと発電所関係の人が通るぐらいのものでおおむねフラットではある。軽めのギアであがっていき、8:45ヘッドランプを装着しトンネルに突入。長さ800mほど。めちゃくちゃ不安である。10分ちょっと、恐怖心をまぎらわせるために、うたをうたいながら(エコーが効いてよかった)進み、明かりが見えてきた時は生還した気さえした。トンネルを抜ければ、湯の島小屋はすぐだろうと思っていたがもうしばらく林道は続いていた。結局小屋を見逃したまま林道は終わり、自転車をロックして「飯豊連峰実川口登山道入口」の看板に従い、9:15しっとりとした林の中へと踏み入った。

9:24尾根に取り付く前、心地よい空間で小休止
へつりながら高度を下げ、単管でがっちりとした作りの橋でアシ沢を渡る。たしかに滝のような沢で平水時でもこの橋がなければ自分には徒渉できそうもない。シーズン以外は取り外されるのだろうか。

頭の上は明るい曇り空だが、数百メートル上はガスに隠されて展望は期待しないほうがいいなと思いながら進む。ブナと姫小松の尾根は急登というほどではないが、とたんに汗が吹き出す。赤土のすべりやすい急登をやりすごし、ちょうど11:00かわいい石仏と月心清水の看板。ザックをデポし、汲みにいく。地図をひろげ次は1550m付近までがんばれるかなと検討しつつ30分弱休む。

11:27
11:28 上のアシ沢上部
12:30おそらく1500m前後と思われるところで昼食。再び歩き出してすぐ見晴しの良い所(どうやらここが一服平)に小さい「大江勝広記念碑」。1:23何を勘違いしたのかイワカガミが一輪咲いている。1:42さびさびの番線を束ねたやつが設置されている。来たな早川の突き上げめ。その上はロープがたらしてあり最後は斜上して、1:45あっけなく「櫛が峰」の菱形看板。正しくは櫛が峰の北鞍部だと思われる。

1:55 青空と主稜線、期待していなかっただけに感動
2:00 櫛ガ峰〜牛首山にかけての稜線の西斜面はいい色に
2:13 ハイマツと白い岩峰が青空に映える
2:19朽ちかけた牛首山標柱

2:44見上げる北峰
2:47
2:57 「牛ガ首」の菱形看板。目指す大日岳がのしかかるようだ。草履塚付近から、この牛ガ首からぐわっと盛り上がった稜線を眺めるとあんな急なところを登るのかなと不安になるが、道は正面の急峻な尾根をさけ、右側の草地へとつけられている。

3:36 登路を振り返る。
2050m付近の岩峰は距離は短いが緊張する場面だ。幕営跡地のようなところまでくると大日岳の標柱が見えてきて、3:44飯豊連峰最高峰、憧れの頂、大日岳2128mに立つ。ひとつの夢を今ここで達成した。40分で往復ができるらしい西大日岳への道はハイマツが道をかくしてはいるが、歩くのにそれほど難儀するほどでもないようにみうけられたが、体力が御西小屋までもつかどうか懸念されるような状態だったので、今回は踏み込まなかった。

パノラマ

4:31 文平の池と主稜線
前方から空身でこちらに向かって歩いている人が見え、「小屋、何人ぐらいいます?」「私の他ひとりだけでゆうゆうです」「ではあとでゆっくり」氏とわかれ、後ろを見れば目の高さの夕陽を背に受け、ひきずるような足取りで前進。

4:33 びゅーりほでわんだほー
4:52 陽が沈むまであとわずか
4:54 雲海+夕照+チングルマの紅葉
5:05 御西小屋着

実川の最初のゲートから9時間、長くつらかったが景色に後押しされようやく辿り着くことができた。ふぅ〜ふぅ〜いいながら靴ひもを解き2階へよじ登る。先客は静岡のMさん。訊けば自分とちょうど10才若い。遠路はるばる、しかもソロで飯豊を訪ねてきたというのが先ずうれしく思えた。Mさんから南アルプスの話しをうかがい、いずれはその地へ赴こうとの思いを強くした。そちらとこちらでは、植生の違い(例えばハイマツが1500m前後からある)に驚くらしい。

ダイグラを登って来た豊栄山岳会の3名と、さきほどスライドした1人(新津の方)ももどり、今夜は計6名の御西小屋である。

さて、夕げの支度をとがさごそしていて、はたと気づいた。箸忘れた〜。下に行き豊栄山岳会のTさんに「箸の余分なんて持ってないですよね〜」「あります!」助かった〜。ちなみにおっちょこちょいをこちらでは「とんとぎ」と呼ぶ。

7時前ぐらいに外へ出てみると、新潟市の夜景がとても近くに輝いて見え、ひとりで興奮する。


10/11(体育の日)

熟睡とはいかなかった。しかしシュラフにくるまっているのは心地よかった。夜中、風がうなりをあげていた。きょう1日その風が吹き続けていたなら、絶対に往路では帰ることができない、1日遅れて帰宅し、家の者にこっぴどく叱責され登山禁止令が発動され..そこまでイマジネーションをふくらませるほどの風だった。

Mさんは5時に大日をピストンしにでかける。あいにくガスガスの朝ではあった。1階へいってTさんたちに、五剣谷や烏帽子(蒜場と大日岳の間の)の話しをさんまの煮付けをごちそうになりながら聞く。

6:43 みなさんありがとうございました
上の4人を見送り、パッキングしているとMさんがもどってきた。Mさんから昨夜、学生時分、北海道を自転車でまわった話しを聞き、価値観がかなり近いところにあるなぁと勝手に思い込む。いずれどこかの山で再会したいものだ。

7:55御西小屋を発つ。ガスの中ゆっくり進み9:08大日岳。

9:25 2050m前後の岩峰 越えて振り返る
9:55牛ガ首。10:15北峰を越える。10:37牛首山標柱。

10:42
11:00 櫛ガ峰の菱形看板。パッキングをし直し、夏メシをちゅーちゅー。針金とフィックスロープにすがり降りていき。12:06 一服平。月心清水でお昼としたいが、小雨も降出し、疲れもピークを迎えようとしていた。1:00たえきれずカッパを着る。1:10月心清水、水はたっぷりだし雨をさえぎる木もないのでそのまま通過。転びそうだなと思いつつ、赤土の斜面でしりもちをつく。木陰まで進みおにぎりを2つ食べ、ひとごごちつく。雨も幾分弱くなってきたが、木々の葉に付いたしずくが風が吹くとぼたぼたぼたと落ちてくる。

1:48
2:26アシ沢の橋 頑丈そうだ
2:34車道に出る
2:41あとはこれにまたがり駐車地点までdownhill
トンネルはきのうほどこわくなかった。それは1回経験したからだと思う。恐怖とは全て無知からくると、なにかで読んだことがあるが、まさにその通りだと思った。3:10トンネルを出る。

3:23実川渓谷、紅葉の頃にはさらに美しくなる
3:30駐車地点着
30分足止め、日曜祭日は解放と明記しておきながら工事するとはどういうこと
帰りは津川の清川高原温泉の旧館の風呂に寄る。つるつるぬめぬめのお湯につかりながらこの2日のことに思いをめぐらせた。


10/24 加筆修正