WANT TO CELEBRATE YOUR BIRTHDAY




 輝く黄金の仮面に蔽われて、世界が通り過ぎてゆくのをずっと見ていた。時のはざまに閉じこめられた、見えない素顔に降る孤独。

 仮面の向こうに、光は踊る。




 「御生誕日お祝い申し上げます、教皇」
 思いがけずかけられた声に、シオンは一瞬の間をおいて走らせていたペンを止める。
 質素ながらも重厚な造りの教皇宮の執務の間には、諸々の案件に教皇の裁可を求めるため、伝令や側近らが列を成してひっそりと控えていた。聖域の運営に関する雑務報告から世界情勢にかかわる重要事項に至るまで、見るべき仕事はあまりにも多い。
 ゆっくりと顔を上げると、近年十二宮の警備の取りまとめを担当するようになった雑兵頭の無骨な顔が、にこやかな笑みを湛えてそこにあった。
 ……この男に誕生日の話題など振ったことがあっただろうか。
 各国の情勢やそれに対応する政治戦略、全世界にまたがる聖闘士や雑兵の組織と人事、聖域に点在する未修復の神殿の数等々、ただでさえ殺人的な量の情報で溢れかえっている脳内の引き出しをさらに忙しくひっくり返しながら、シオンは訝しげに眉根を寄せる。もっとも仮面に覆われたその表情が眼前で控える男に知られることは、決して無いのだったけれども。
 日ごろの行いが良かったのか問いを発する必要もなく、疑問はじきに、おのずから解けた。
 「教皇は先の聖戦ではアリエスの黄金聖闘士として戦ったと伺っております。アリエスならばそろそろ御生誕日も近いのではと愚考しまして、ロドリオ村の古老に聞いておいたのですよ」
 言って雑兵頭は、人の良さそうな笑みを浮かべた。ハーデスとの聖戦から数十年の月日が経った今も、現教皇のかつての身分とプライバシーを記憶に残している者は、少数ながら存在しているらしい。かすかなざわめきの声が室内を満たす。突如として明らかになった教皇の生誕日に、控えていた者たちは色めきたった。
 こうしてこの日、すべての報告を聞き終えるまでに、シオンは何百もの祝辞を受け続けることになるのだった。

 「御生誕日、おめでとうございます」
 「おめでとうございます」
 報告のついでに祝いの言葉を述べて行く人々の列は、引きも切らない。シオンは出かかった溜息を辛うじて飲み込んだ。前の者の言葉を聞いて、次の者がまた祝う。祝賀の連鎖は執務の間中、打ち続きそうな気配であった。
 「おめでとうございます」
 繰り返される祝福の言葉。溢れかえる笑顔と言祝ぎの洪水。玉座を蹴り飛ばして即刻この場から逃げ出したいという激しい衝動に耐え続け、シオンはついに執務の時間を乗り切った。重い疲れを引きずりつつもいくばくかの解放感に浸りながら、下がって良い、と穏やかな声音で従者に命じる。これで漸く、息がつける。
 しかし忠実な教皇の僕は、疲れ切って背を向けた主へ拝礼しつつ、朗らかな声でこう付け加えた。
 「お誕生日おめでとうございます、教皇」、と。

 寝所に向かう暗い廊下を重い足取りで歩きながら、シオンは深い溜息を一度だけついた。灯し火もない神殿の静寂に、衣擦れの音だけがさらさらと鳴る。執務の時間を通り抜けて行った一人一人の笑顔と声が、影のように脳裏にこだました。当分の間、消えてくれそうにもない。
 シオンはわずかに顔をしかめる。この冷たい仮面を前に、彼らは何を思いながら、祝いの言葉を述べたのだろう。
 暗闇の中、言霊は響く。誕生日おめでとう、と。
 ……そんなもの、祝ったりしなくて良いものを。

 例えば聖闘士の女子が戦士の仮面を被ることで彼女の「女」を捨てるように、人の顔を捨て教皇であれと、黄金の仮面はわたしに命じた。神ならぬ人間が神に代わって地上を治める――教皇になるとはそういうことだから。
 神の代行者は人の顔を捨て、人の名前を捨てねばならない。人としての素顔も、捨てねばならない。
 そうして眩しい黄金に沈む陰のような真空地帯に閉ざされて、名前も素顔も、とうに消えた。神の仮面のこの奥底に、わたし自身の姿を見る者はもう居ない。そうしてわたしを、知る者もない。時のはざまに閉じ込められた見えない素顔に、歳月だけが降ってゆく。繰り返す昼と夜の、永遠のような孤独。
 ……吐き気がする。

 また来年のこの日にも、人々は今日のようにはしゃぐのだろうか。書斎を兼ねた寝室の、堅く閉ざした扉にもたれ、諦めたようにシオンは笑う。手にした仮面に額を当てて、歳月に疲れた瞳を閉じた。
 皆がこの日を忘れるまで、またしばらくだけ待てばいい。




 そうして幾つもの昼と夜が過ぎ、仮面の上に時間は積もる。





 濃い青色の空のただ中に嵌め込まれたような太陽が、強い光で神殿を焼いた。瞳の奥を刺すような鮮やか過ぎる大理石の白に、シオンは思わず眼を顰める。その光が黄金の仮面の内側にまで届くことは、決して無いけれども。
 眼下に広がる聖域の情景に、先の聖戦の傷跡はもう欠片ほども残っていない。あの光景を記憶に留める者も、もはや無い。かつて教皇の生誕日を覚えていたというあの古老はとうに逝った。あの時の雑兵頭も、もういない。

 幾千幾万もの人々がこの目の前を通り過ぎて、百年が過ぎた。

 「教皇、こちらにいらっしゃったのですか」
 石の階段を小走りに駆ける靴音と共に、ここ最近側近を勤めるようになった男の声が近づいた。教皇の手前、遠慮がちに控えはしたが、やや上がった息遣いは隠しようも無い。おそらくは教皇宮の周り中を探し回ったのだろう。この離れの高台に主の姿が見当たらなければ、今度は十二宮中を駆け回ったのに違いない。
 「……すまなかったな。少々考え事をしていたら、いつの間にかここまで来ていた」
 「ご思案中のところをお邪魔致して申し訳ありません。もうそろそろロドリオ村へ行くお時間ですので、御支度の方をなさいませんと」
 月に数度の慰問の日だった。シオンは頷いて踵を返す。数歩下がったその背後に、付き従うように側近が続いた。

 「そういえば、今日は村長の誕生日だそうですよ。何か一言、お言葉を賜ると喜ばれるかもしれませんね」
 振り返ると、いかつい顔に満面の笑みを浮かべて、真面目な側近は会釈した。シオンは一瞬、軽い既視感に囚われる。――薄暗い闇の中、溢れ返る人々の笑顔。
 「……ああ、そうだな」
 鷹揚さを形取った振る舞いで揺らいだものを隠しながら、シオンはさりげなく頷いた。

 日の光も届かない教皇宮の奥のひんやりとした空気の中、回廊の両脇に点された蝋燭の炎がゆらゆらと揺れる。ふと側近は、思いついたように言った。
 「そういえば、教皇の御生誕日は、いつでいらっしゃるのですか」
 悠然と歩みを止めぬまま、シオンは用意していた答えを返す。
 「さあ、いつなのか。わたしの郷里では一般人の誕生日を祝う習慣が無いのでな。人々は自分の生まれた日を覚えていないことが多いのだ」
 付き従う男は、驚いたような顔で思わず足を止めた。
 「それでは、誕生日がいつなのかわからないのですか?ご自身の守護星座も?」
 彼に合わせてシオンも立ち止まる。僅かに体の向きを変えると、石造りの壁に黒く浮かび上がる奇怪な形の仮面の影が、視界の隅にちらと映った。
 「ああ、曜日と干支ならば誰でも覚えているが、日付まで覚えていることは滅多にないな。それに、そもそも覚えていたとしても暦の数え方が違うから、こちらの暦だとどうなるのかは誰にもわからぬ」
 音も無く短くなって行く蝋燭の炎の橙色が、人ならざるものを型どった黄金の仮面を鈍く照らした。「エト」なる単語が解らないらしい側近の男は、納得したようなしないような複雑な顔をしながらも、どこか諦め切れない様子で質問を重ねる。
 「しかし教皇、貴方ならばその気におなりでしたら、こちらの暦に直せるのではないですか?」
 「いや、向こうの暦は計算が酷く複雑で、面倒極まりないのでな。別に今さら執着も無し、第一そんなことをしている暇も無かろう」
 そうか、という顔をして側近は申し訳なさそうに頭を掻いた。主の多忙を気遣ったのだろう。だが実のところ複雑な暦の計算など、シオンにとっては造作も無い。さらに言うと計算自体も、その気になれば必要なかった。失われた古代の占星術に通じ、人知を超えた存在との対話を生業とする教皇にとっては、実のところ生誕日ならば星を読んで知ることすら不可能では無い。作業はかなり、複雑になるけれども。
 しかしそんな話をいちいち自分から持ち出す気など、シオンには毛頭無かった。
 「急がねば、そろそろ刻限だろう」
 言って法衣を翻し、シオンは回廊の暗がりへと眼を向ける。は、と頷いてからその背中に向けて、人の良い側近は笑いかけた。
 「教皇様の御生誕日もお祝いしたかったのですが、残念です」
 教皇宮の深奥へ足早に歩を進めながら、濃い陰影の仮面の中で、シオンは微かに苦笑する。
 そのように安易に祝える心持ちでも、ないのだが。

 通り過ぎて行った人々の顔が、今でも時おり亡霊のように胸をよぎる。永遠のような毎日が過ぎて、今はもういない者たちについての膨大な記憶が、一方的にこの心に刻まれた。わたしの仮面を愛した忠実な人たち。そしてその仮面に向かって作られた、二度と帰らない笑顔の数々。彼らにも誕生日があったのだろう。尋ねる機会は、ついぞ無かったが。
 長い長い歳月が過ぎ、彼らがこの世から消えた日の記憶だけが、ただ呪いのようにこの身に降り積もる。一年のすべてを埋め尽くす、数え切れぬほどの、人々の命日。
 この仮面はわたしから世界を隔てる、たった数ミリの分厚い壁だ。何がおめでたいものかと、シオンは思う。歳を取るたびにまた一年、世界から取り残されてゆくのだから。
 神の代行者に寄せられる、膨大な数の人々の善意。
 ……欲しかったのはたぶん、そんなものではない。





 人ならざるものの輪郭を刻み込むように、永劫のような二百年は過ぎた。
 「教皇、貴方の誕生日はいつですか?」
 「さあ?忘れてしまったな」
 黄金の仮面の奥深く、口の端でかすかに笑いながら、シオンは胸中密かに独白する。別に、いつでも構わない。

 そうして仮面の向こうをずっと見ていた。
 通り過ぎてゆく幸せな人々を。





 ある秋の日のことだった。すっかり馴染んだ教皇宮の執務の間で、各地からの伝令の報告を聞くシオンの耳は懐かしい地名をとらえた。天を貫く山の頂に万年雪を抱いた、世界で最も空に近い国。
 ただし報告されたその土地の状況は、凄惨極まるものであったが。

 視察に行く。そう側近たちを誤魔化して、シオンは一人密かにかの地へ飛んだ。その土地を巡って引き起こされた国家と人の手による戦いに、今聖域の教皇ができることは何も無い。それでもその地へ降り立った。二百数十年ぶりの素顔から、輝く黄金の仮面を外して。
 極寒の山脈から吹き降ろす乾いた風が、質素な長衣を激しく煽る。戦いというよりも虐殺の、凄惨な爪跡が其処此処に残る街の残骸を、胸に刻み付けるようにシオンは歩く。雪を冠した巨大な山脈へと、既に太陽は沈みつつあった。血の色に似た光が射るように横顔を照らす。人々の痛みを辿るように、シオンは誰もいない廃墟を行く。

 そうしてそこで、一人の子供に出会った。

 伏せられたまま動かない氷のようなその瞳に、冷たい大地が影のように映る。微笑みなど無い。言葉さえ無い。すぐ前に立った見知らぬ者の姿にすら、そのまなざしは微動だにしなかった。吹き抜けて行く冷え切った風だけが、細い金の髪をさらさらと揺らした。
 静かにシオンはひざまずく。瓦礫にもたれた痩せた身体が辛うじて、それでも気丈に上半身の重みを支えていた。急速に冷え込んでゆく高地の夜に、シオンは崩れ落ちた石の壁の冷たさを思った。
 「――お前、」
 見覚えのある眉のタトゥーと、この近辺では見かけない髪の色が、広大なチベットの中でもさらなる同郷の繋がりを示している。遥か時の彼方に遠ざかっていた山脈の記憶。
 問うべきものさえわからぬままに、シオンは忘れかけていた郷里の言葉を紡ぐ。
 「……独りなのか」
 虚ろな瞳が、ほんのわずかだけ焦点を結んだような気がした。

 纏っていた自分の長衣を着せ掛けてやろうと両手を伸ばしかけると、小さな身体が不意にこわばった。そこに走る新旧入り乱れた無数の傷を見やりながら、シオンは執務の間で聞いた報告を思い出す。……あの村も、焼かれたのだろうか。
 「案ずるな。何も、しないから」
 ささやくように言いながらそっと、細い肩を暖かい布地で包む。そうしてシオンは漸く気づく。庇うように隠されていたその痩せた左腕が、酷く砕かれて血に濡れていることに。
 シオンは長衣を着せ掛ける手を止めた。
 「すまないが、前言を撤回する。……手当てをさせて欲しい」
 その言葉にゆっくりと、子供の瞳が開かれる。随分大きな瞳だと、目の前の血生臭い光景にはいささか場違いな印象が、何故だかぼんやりと脳裏をよぎった。
 「少し……痛むが、我慢しなさい。すぐ、済ませるから」
 言い聞かせるようにそう言って、シオンは手早く自分の片袖を引き裂く。血塗れの左腕を取りながら、暖かな小宇宙でそっと包み込んだ。せめてほんの少しでも、痛みがやわらいでくれればいいのだが。
 その時。翡翠色をした大きな瞳が、一瞬だけ大きく揺らいだように思った。

 そうしてどこか張りつめたようなその眼差しが、まっすぐに、シオンを見た。

 かなり手荒な治療もしたが、幼い子供はその間、激痛にじっと耐えた。添え木を当てた左腕に包帯代わりの清潔な布をもう一度巻きながら、シオンは細い金の髪を労わるように一度だけ撫でた。大きな瞳が戸惑いながら恐る恐る、それでも懸命にこちらを見つめる。泣き出したいのをこらえるように、シオンは微笑う。
 「名前は?」
 問うた言葉に、乾いた唇が微かに動く。
 「……ムウ」
 「幾つになる?」
 「……知らない」
 シオンはわずかに、両眼を見開く。
 「――いつ生まれたのか、知らない」
 曜日も干支も、知らないと言った。シオンは黙って、俯いた金の髪を見た。

 すでに日は落ち、凍りつくような夜の兆しがこの廃墟にも迫っている。
 「帰るところがないのならば――」
 シオンは一瞬息をついた。迷いを捨てて、言葉を繋ぐ。
 「……わたしと一緒に、来るか?」
 一瞬の間をおいて、ムウと名乗った子供はシオンの顔をまじまじと見つめた。その笑わない瞳が涙をこらえるようにゆっくりと張りつめて歪んでゆくのを、奇跡のような思いでシオンは見た。
 息づく物も無い廃墟の街を、闇の底から現れ始めた無数の星々が静かに照らす。時の果てにも沁み入るほどの、深い深いその静寂。

 「――わたしの名は、シオンという」

 仮面がささやく禁忌の言葉を、その時間だけシオンは忘れた。





 日々は過ぎた。夢の、ように。
 そうして世界は、光に溢れた。





 零れるような星屑の中、細い尾を長々と引いて流星がひとつ飛ぶ。傍らで魅入られたようにじっと空を見つめていたムウが、はっと慌ててその軌跡を眼で追った。シオンは思わず笑って言う。
 「今度は、見えたか?」
 すぐ側から降ってきた深い声に、ムウはシオンを見上げて晴れやかに微笑う。
 「見えました、牛飼い座の方角にひとつ」
 覚えたばかりの星座の名前を、聡い子供は弾むように答える。その瞳に踊る光の色に、シオンは僅かに眼を細めた。
 流れ星にまつわる古い星見の伝承を、問わず語りにシオンは語る。その唇から紡ぎ出される言の葉に、ムウは引き込まれるようにして聞き入った。しんしんと降る星明かりの下、他には風の鳴る音だけが、夜の山脈の高みに響いた。
 「……あの星からも、色んなことが見えるんですね」
 吐息を漏らして、ムウはもう一度夜空を仰ぎ見る。
 「星を読めば、未来のこともわかるのですか?」
 「わかることもあれば、わからないこともあるな。それにわからぬ方がよいこともある」
 「わからない方がよいこと……」
 ムウは考え込むようにして、少し首を傾けた。足りない言葉を補うように、シオンは多少付け加える。
 「そうだな、例えば――自分の未来を見ることは、わたしにはできぬ。それに己の未来などは、できれば知らずにいたいと思う」
 それは確かにそうかもしれないと、瞬く星々を見つめながらムウは思う。現れるはずの無い人だったからこそ、出会えた奇跡がこんなにも嬉しい。
 傍らに感じる温もりを確かめながら、ムウは冴え渡る夜の音を聞く。

 隣に座る子供の顔にほのかに浮かんだ微笑みを見やりながら、シオンは思慮を巡らすように暫く黙した。山脈に吹き付ける風の音が、一瞬だけ止んだ。
 「――ムウ、」
 呼びかけられたムウの顔に、不思議そうな表情が少しだけ浮かんだ。聡い子だ、とシオンは思う。在るか無きかも判らぬほどの、このごく僅かな表情の動きを、また今回も察したのだろう。
 シオンは一瞬だけ息をつく。そうしてそっと、言葉を継いだ。
 「お前の生まれた日を、視てやろうか?」

 思いもかけない申し出に、子供は大きな瞳をまじまじと見開いた。
 「そんなこともできるんですか?」
 「……まあな」
 ほんの少しの決まり悪さを押しやるようにうそぶきながら、シオンは口元で微かに笑んだ。傍らの命を感じつつ、祈るように心に呟く。

 お前の存在を天に感謝したいと、思った。

 「シオン」
 呼びかけられてふと見やると、緑の瞳がまっすぐにこちらを見つめていた。ありがとう、とささやくように言ってからムウは、遠慮がちに言葉を切り出す。
 「……あなたの生まれた日も、教えてもらってかまわない?」
 万年雪の山脈の、深い湖のようなその眼差しで、シオンはムウへと笑いかける。
 「ああ。――かまわぬよ」
 雪山に咲いた花のごとく微笑んで、傍らの子供は光を抱いた。



 空に瞬く星々の影。 瞳を閉じて、夜の天を仰ぐ。
 この素顔にも光は降った。 たとえ誰に許されなくとも。



 お前の存在を感謝しよう。
 出会えた奇跡に感謝しよう。

 そしてこの世界に、生まれたことを。




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 調べてみたら誕生日三日違いとかで、すっごい喜んだりとかしてそうだなあムウ様(ご幼少のみぎり)。
 …なんて妄想してみたり。(遁走)
 ええと、誕生日プレゼントとしてこの暗さはどうなのかとも思いつつ、それでもこれ以上ないくらい
 マジメに祝っているつもりなのです。(コソコソ)
 どこかわからない空の下で、今年もシオンとムウと貴鬼が幸せになれますように。
 何はともあれ本当におめでとう!(貴鬼出てきてないですが…;;)


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Written by T'ika /〜2004.3.29