TITLE:「路上」を生きる男たち。 


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NAME: miyata    URL
今日は、高円寺の稲生座で南正人のライヴを初めて見た。

僕は「回帰線」しか聞いたことがなかったので、どんなにワイルドなライヴかと思ってたけど。
思っていた以上に、ハート・ウォームで思いやりに満ちた歌を演ってた。
バックにサイド・ギターとベースがいて(ベースはメガネをかけてたけど、シバさんだったと思う。)
僕の知っているオリジナル曲はなかったけれど、どこかヒッピー世代のポジティヴ・マインドな
歌の世界で、聞いていてホッとした。聞き手を肯定してくれる歌の持つ力強さに勝るものはないんだよ。
ロックのバンドとか、よく勘違いして客に安易に挑発的なマヌケな連中とかいるけど。
そういうエゴイスティックな騒音とは、真逆の歌だった。(例え、口でファックって言ってても、
心でハローって言ってる音楽は聴いてれば感覚で分かるというものだ。アイロニーとは諸刃の剣。)
こんな感じの歌があって印象に残った。平たく言えば、自分の道を行けと言う歌だ。

「人はみな、自分に自己暗示をかけてる。誰もがそういうものだけど。自分の親父がガンで死んだから、
自分もガンで死ぬんだとか。自分をどうクリエイトしていくか。自分をどうクリエイトしていくか…。」

もちろん、言葉だけではカタイ。彼の味わいのあるフォーク、ブルースの音色と混ざった時に詩は星になる。
初めて行ったので、あんまり偉そうに感想は出来ないけど。ここで定期的にやってるので、また行こうと思った。

(南正人は、20才でメキシコに渡航し、アメリカ各地を転々としてニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジ
でボブ・ディランらのフォーク旋風を生で見ている。その後、ギター1本、ロンドン、ドイツ、フランス、
スイスとヨーロッパを横断し、大学に復学。就職せずに都内のバーで歌い出した。筋金入りの路上の人だ。)

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ロッキン・オンでこないだのUNCUTが特集していた、「アーティスト50人が選ぶ究極の1枚」を
翻訳特集していた。個人的に非常にヤバかったのは、ロディ・フレイム(ex.AZTEC CAMERA)。
彼が選んだのは、月並みの「偉大なロック・レコード」なんかじゃなかった。挙げていたのは、1冊の本。
ジャック・ケルアックの「路上」!以下、転載。この発言は、個人的には永久保存版。

ロディ・フレイム/ジャック・ケルアック『路上』(57”)

「路上」は、ポストカード・レーベル初期の頃の自分にとって、切っても切り離せない大切な一冊なんだ。
あの頃の僕はボブ・ディランを聴きながら、お金がなかったせいもあって、どこへでもバスで移動しながら
あちこち旅していたんだよ。そういう意味でも、ちょうどその頃の自分と重なり合うものがあったし、
当時グラスゴーのアート・スクールを中心に盛り上がってたビートニク・シーンにも重なり合うものが
あったしね。ブカブカのチノパンに、チェックのブラウスに、マイナーなレコードに、ジャック・ケルアック
っていうのが、当時のグラスゴーのビートニクにとっては必須アイテムだったんだ。この本に出会ってから
僕自身、同じような体験をする機会に恵まれたというか、83年の夏にエルヴィス・コステロのアメリカ・
ツアーに同行することになって、2ヶ月かけてニューヨークからサン・フランシスコまで西へずっと移動して
いったんだよね。僕はまだ19歳で、毎晩ステージに立ってヘトヘトになりながらも、あの圧倒的に広がる土地
を旅しながら、数々の奇人変人に遭遇したりして、「路上」の世界を自分なりに追体験してるようなもの
だったね。この本の素晴らしいところは、プロットやアイディアが優れてたことよりも、独自のムードにある
んだよ。ケルアック独自の文章スタイルにしてもそうだし、あのやたらと落ち着きがなくて、おそろしく
長ったらしいセンテンスや、徹底した描写スタイルに至るすべてが、若者特有の感覚について、何かを求めて
向こう側の世界を探求する感覚について見事に捉えているんだ。僕自身にとってそれは、何かしらの意味
を求めて混沌の中へと探求していくことでもあったし、あるいは自らの内に潜む混沌を形にするための探求
でもあったんだ。この本は核心を突いてるんだ。答えは向こう側にあるのか、それとも内にあるのか。
20代になると、人生における多くのことがそうであるように、答えはここでも向こうでもなく、ちょうど
その中間にあるってことに気づくんだよ。僕は20代の間、答えはどこか向こう側にあると思って生きてきたし、
答えを見つけるためにできるだけ遠くへ行こうとしたんだよ!

パティ・スミスが選んだ「BOB DYLAN/LIKE A ROLLING STONE」を聴いた時の思い出話も必見です。
[2005/10/01 01:30:26]

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