アーノルド坊やさんにお借りした、
石井聰亙監督作品、「鏡心」をDVDで観ました。
先ほどなんですが。面白かったので、なんだかすぐ感想を書いてみたくなりました。
市川実和子扮する、脚本書きの女優の卵が主人公。
彼女は大きく漠然と、「ホントウのこと」がなんだか分からなくなり、
自分の事も、ましてや他者や外側の世界の事もうまく認識出来なくなってしまう。
そんな彼女は、ふと街中のJTBの軒先で映し出されるバリ島の光景に心動かされ、
単身、バリへ赴く。バリの砂浜。そこには、時を同じくしてJTBの軒先から彼女の後ろで
やはりその映像を眺めていた一人の少女と再会する。
「どこにいても、あなたはあなたよね。ここにいても。あそこにいても。
すべては、あなたの心の鏡でしょ?」
「あなたはもう分かっているはず。全ては自分の心が映しているだけだって。」
「あなたがいつも感じている世界を作り出しているの。自分自身で。」
「ここは。いつも。どこにいても。あなたといっしょにあるんだから。」
「あなたには待ってる人がいるでしょ?帰って、やるべきことがあるでしょ?」
少女は、主人公にこう返す。二人はいつしかバリの波に呑まれたのか。
病院の一室で、主人公は意識を取り戻す。一方、彼女の傍らで少女は、
心臓マッサージの甲斐もなく、息を引き取ってしまう。
主人公はこの臨死体験をきっかけに、現実の生活に帰って行く。
正味一時間の、シンプルでさり気のない映像作品でしたが、とても印象的でした。
この話がたとえ虚構であっても、事実であっても、主人公の心の中では真実なのでしょう。
独特な映像美の世界は、URLにてご覧下さい。
[2005/07/28 03:16:54]