今日は、「ロックの友」友部正人さん&マーガレットズロースのライヴを観ました。
場所は横浜のサムズアップ。
今回は凄かった。ド肝を抜かれた。びっくりした。
友部さんがマーガレットズロースという3ピース・ロック・バンド
を従えてのフォーキー・ロックンロール・ライヴ!熱かった。カッコ良かった!
前半はそのマーガレットズロースのライヴ。
男気溢れるロッキン・ブルース。G/B/Drともどもめちゃくちゃ上手くてカッコイイ!!
平易で真っすぐな言葉を、ロックンロールのメロディに乗せて熱く歌い上げていた。
ソリッドでめちゃくちゃカッコイイロックンロールなのに、歌詞も面白かったです。
月曜日 一日中寝てた 火曜日 寝返りうった 水曜日 まだ布団の中
木曜日 トイレに行った 金曜日 やっと思いついた 土曜日 歌をつくった
日曜日 今夜皆さんに 聴かせたい 歌があるんだ 一週間ずっとあっためてた曲さ
ごろごろ ごろごろ ごろごろ ごろごろ一週間って歌
寝てないことを 自慢するのはよそう 旅に出る覚悟で 布団にもぐりこめ
素敵な眠りを 一生懸命寝よう 素晴らしい人生を 命がけで寝よう
マーガレットズロース/ごろごろ一週間
いつも いつも なにか 足りないような気がしてた
遠くにあるもの 思い出せないこと 不安になって 探してたんだよ
いつも いつも なぜか 恥ずかしいような気がしてた
わからないこと 仕方ないことばかり 気になって 涙がでたよ
いつも いつも 自分と ちがうものばかり見ていたよ
かっこいいひと もう死んじゃったひと あこがれて 気づかなかったよ
大切なものは はじめから僕の 大切なものは まんなかにあるって
タンタンタタンタン! パンパンパパンパン! リンリンリリンリン!
オー! イェイイェイイェイイェイイェイ!
マーガレットズロース/たんたんたん
第二部、友部さん登場。ステージに現れる時、僕はいつも妙な緊張感でドキドキ
してしまう。存在がすでに何か違うのだ。何故あんなに穏やかに醒めた面持ちで
ギターのチューニングをするのだろう。2曲だけアコースティック・ソロ。
そして、マーガレットズロースが再度登場。友部さん、「それでは神奈川県で作った曲
をやります。神奈川県で作った曲はいくつかあるんですが、何故かいつも
ふざけた感じの曲になってしまいます。」と言って、エレキ担いで「夜になると」を。
演奏はまるで、ディランがホークスに「デカイ音でやろうぜ!」と言った時みたいだ。
もしくは友部さんの曲がまるで、バーズによって編曲されたかのようでも!
ベースはブンブンのたうつし、サイドに回ったマーガレットのギターもギュイギュイ!
で、性急なドラミング。これに友部さんの歌が乗ったのだ!サビの部分などでは
バックの3メンバーもそれこそバーズのようにコーラスを彩り、すんごくカッコイイ
ロックンロール・ミュージックに様変わり!友部さんの歌がハイウェイをかっ飛ばす!
名曲「ブルースを発車させよう」は生涯忘れないほどの感情の高ぶりを見せた。
こっちは仕事の6連チャン上がりだっけど、一気に吹っ飛んだ。あんな凄いの見た事
ない。しかもマーガレットはまだ20代後半になったばかりくらいの人たちで、演奏は
アグレッシウ゛で目も耳も釘付けだった。歌の間隙では、サイド・ギターの
ブルージーなソロがうねるし、友部さんハーモニカのキー間違えても、取り替えざま
吹き鳴らしながら強引にホルダーに換えを取り付けていた。ベースも時折ハーモニカに
参戦。ロックというよりもむしろパンク?とも思わせるほどの見事な躍動感でした。
演奏もたけなわかともいう時、友部さん「今日、初公開の曲です。」と、
「楕円の日の丸」というトーキング・ブルース調のプロテスト・ソングな曲を披露。
これが抽象的な詩にとても痛烈な現代社会批判(もちろん標的は、僕たちの国。)を
織り交ぜた痛快な曲だった。歌詞はウロ覚えで、おそらく間違えているに違いないが、
「うすうす感じてはいたんだ でもやっぱりそうだった 僕の考えは当たってた
僕らはもうボケてしまって あいつに言いたい放題言わせている 僕らはもうバテて
しまって 過去に縛られたまま 未来を考えられない やっぱりそうだったんだ
思った通りだった 僕はあいつじゃない もう僕はあいつには頼らない
僕はあいつにはなれない …」というようなもの。
それがどうやってタイトルの「楕円の日の丸」に繋がって行ったのか
歌の帰結点は残念ながら聞き取れなかったが、かないヤバい匂いのする歌だった。
しかもバックに若いロックバンドを従えて。
今のディランに欠けてしまっている事をまんまとやりおおせてしまっていた…!
そして最近必ずやる、「スピーク・ジャパニーズ・アメリカン」に雪崩れ込む。
この歌は直訳して「アメリカ人よ、ここは日本なんだから日本語でしゃべろよ。」
というなかなか今の日本人には消え失せた気骨のある言い分がテーマ。
同時に「スピーク・ジャパニーズ・ジャパニーズ」というくだりもあり、
「日本人よ、おまえらもおまえらだ。日本人なんだから日本語しゃべれよな」
と我々にも突き付けてみせる。歌詞もユーモラスで、新幹線でシンディー・ローパーが
全然日本語を使わなかったのを目撃した事や、赤坂のアメリカ大使館の柵の注意書きが
なんで所在地である現地の日本人に向けたものなのに、英語で書かれているのかと
言った些細ではあるが我々が知らないうちに何も感じなくなってしまっている事に
言及する。「地球上の人々のほんの少しの人たちが日本語をしゃべる。英語をしゃべる
人たちに比べればほんの微々たる数だけれど」とマイノリティーとしての日本人を
意識した上でもなお「日本語をしゃべろよ。」と歌われるこの歌、正に今の歌だ。
他には初期の名曲「一本道」。原曲は高円寺フォークと言った感じのものなのに、
バックがシンコペーションのサイド・ギター・カッティング。ベースもタメて弾かれる
スカ調?のアレンジで新鮮。どの曲もまぎれもなく古い戸棚から引っ張りだされて来た
ものでは決してなく、ずっと歌い続けて来たからこそ宿るのであろう今の空気を
しっかり吸い込んだ真新しい曲のようだった。素晴らしかったです。
帰りにマーガレットズロースの最新作をドラムの人から買って、思わず
「また観に来ます。」と伝えてしまいました。何も考えられず。凄く良かった。
本当に友部さんは音楽の小さな巨人だと思った。凄く長く続けているのに、
いつも手を伸ばせばすぐに届くところにいて、自分が良いと思った人となら
どんどん交流して自身を更新し続けて行っているんだろう。そういった意味では
ディランとは違った道で、もっともっと遠くまで行ける人なのかも知れません。
上記のURLはマーガレットズロースさんのHPです。
また、ライヴ観たい!
[2005/04/04 02:20:34]