TITLE:仏前で聴いたハープ弾きの歌。 


書き込み欄へ  ヘルプ
NAME: miyata    URL
22日は、町田の粱田寺というお寺さんで、
SMOGと、JOANNA NEWSOMの来日公演を観ました。

ライヴと関係ないトコロで、個人的な前置きがあります。危機一髪でした。

何がというと、その日誤算で仕事があったのです。
ライヴは16時オープン、17時スタート。仕事は定刻で上がっても18時。
「こりゃダメだ〜。」と諦めかけ、チケットもドタキャンし、会場の粱田寺に
ダメもとで、タイムテーブルを問い合わせると、JOANNAの出演がなんと!
信じられないことに20時だということでした。なんて骨体。(もしくは、ジ〜ザス!)

気を取り直し、退社後一路町田へ。先に到着している友人の薦めで
駅からタクシーを拾い、粱田寺へ。辺りは暗く、町田の郊外へ向けて谷を登ったり下ったり。
「今日、粱田寺お通夜でもあるんですか?多いんだよな、今日粱田寺…。」
タクシーのオッさんの疑問に笑う。粱田寺到着。そんなに大きくもない普通のお寺だ。
「ホントにやってるか中入ってみるか!」ブウ〜〜ン!!オッさん、寺の正門まで乗り付けてくれる。
ちと恥ずかしい。オッさん、なかなか飛ばしまくってくれた上に、料金メーターをセットするのを忘れてた。
「あ〜、いけねえ〜!セットすんの忘れちったあ〜!」で、初乗りプラスチップ(?)で700円払う。
オッさん、ナイス・ガイ。今度町田に行ったら、またあんたの車に乗りたいよ。

寺の小さな正門の前で、チケットを買い直し境内へ。左右に小さなかがり火。
普通、お賽銭箱を置く正殿の奥中央、仏様の眼前でSMOGこと、ビル・キャラハンが
靴を脱いで靴下で立って歌っていた。先に来ていた人たちと落ち合う。
この大胆なライヴ・ステージの構図にしばし、あっけにとられる。
「ちょっと来て下さい。」ヒソヒソ声について行くと、正殿右側の屏風の外の土間で
舞台袖からSMOGの演奏を裸足で立って観ている、JOANNAの後ろ姿があった。
そしてまたあっけにとられる。赤いワンピースを来て出番を待つ、彼女の後ろ姿が印象的だった。

SMOGことビル・キャラハンは、アコースティック・ギターのストラップを限界まで
脇に上げ、変な拍子に変なアクションで突如飛び跳ねたり、謎のアクションを交えて
あのいつもの気の抜けたような、リラックスした歌声を聞かせていたが、…やはり彼は変人だと思った。

辺りを見回すと、本殿の手前の脇には、書庫というか倉院のような建物があり、
その中には、たくさんの古い書物や謎の土器みたいな陶器といっしょに、ソファーや
机、イス等があり、母娘のお焼きのお店や、コーヒーを売ってくれる人がいたりした。
客は100人限定で、正殿の畳に座って間近に聞き入っている人もあれば、休憩所や境内に
佇んでいる人もあり、なかなか風情のある光景だった。小さな境内にあって、歌は何処にいても
自然と耳に入るのだ。仕事からせわしなく駆けつけた自分は、またそんな光景にあっけにとられてしまった。

予定通り、20時過ぎにJOANNA NEWSOMが登場。黄金色をした、ハープをしっかり足で固定して
歌い始めた。彼女の容姿は、忠実に表現しようとするなら、まさにヨーロッパの童話の世界に出て来そうな
お姫様のようだった。流麗なハープの旋律に乗って、彼女の歌声はどこか素っ頓狂のようでもあり、
そのふんでのところで、美しいメロディを歌い上げていた。「観ていて飽きない。聴いていて飽きない。」
そんな我を忘れさせてくれる夢のような演奏だった。僕は歌を聴きながら、彼女の背後にある、
やはり黄金色に輝く仏様の顔を観たり、舞台の幕代わりになっている屏風や天井等にも目をやったが、
どれ一つとっても、JOANNAの歌と相反せずに互いに存在を引き立て合っているようにも見え、
それはひとえに、彼女の歌の持つ力なのだなと、妙に納得していたように思う。
新曲らしき歌も披露していたので、新作が近いのかもしれない。楽しみ。

演目終了後、アンコールの前に粱田寺の住職さんからの短いお話。
「仏さんもビックリ。」というフランキーな発言に笑う。
もう25年も、こういった音楽の演奏会を開いているのだそうだ。
面白いと思う。(追記。アンコールは「sadie」でした。)

前日に同行する友人から叱責(?)のデンワがあったり(笑)、
当日も直前まで諦めかけていたこの一風かわった趣旨の来日公演。
一時はどうなることかと思ったけれど、無事に楽しく観ることが出来て万々歳。
満足した気持ちに浸りながら帰路についたのだが、一方肝心の友人は
突如原因不明の腹痛に襲われ、電車のつり革にぶら下がりながら、声にならない苦痛のうめき声を
あげていた…。やはり「苦あれば楽あり」、「楽あれば苦あり」、といったところでありましょうか。

★URLにて、JOANNA NEWSOMのハープを弾き語る姿がご覧になれます。
[2005/10/25 00:36:07]

このテーマについての発言をどうぞ。
氏名
E-mail URL


半角カナは使用しないようにしてください。文字化けします。
記事一覧に戻る