■レース関係者のモラル

ある日、私はサーキットに足を運んでいました。
そして久々のサーキットに思いを馳せ、あの風と香りに酔いしれていました。

さて今回は、そんな中で私が目にした光景について考えてみたいと思います。
以前から私の考えている「何故?日本のモータースポーツは発展しないのか?」という事について、実はココに答えの一つがあるのです。
レースに限らず、何か大々的なイベントなどを催す際は、必ず【パス】が必要になります。言い方を変えれば【チケット】ですね。
そしてこのパスは非常に重要かつ大切な物でして、使用するにあたっては勿論【規約】が存在します。
皆さんが何かのイベントに行く際に入手するパスの裏にも、ほとんど必ずと言って良いほど何かしらの規約が記載されていることでしょう。
パスの種類やイベントの性質によって記載されている内容も様々ですが、こと参加者に発給されるパスに関してはほとんどの場合、指定の人や物以外に使用する事は出来ません。
何故かと言えば、参加者には特定の資格が必要な場合があり、イベントの運営及び警備や安全上の問題もある為です。
よく「本証(券)を他人に譲渡又は貸与することを禁じます。」や、「本証の所持者は責任をもって管理運用する事を約束するものとする。」等々、色々と書かれているのを見た事がある方もいるでしょう。

回りくどくなってしまいましたが、しかし、実際の現場はそうでも無いようです。

コレを抑制する為には運用システム自体にも限界があるのかも知れませんが、実態はといえば・・・
1.一度入場した後、入場車両に付けられていたパスを外して、場外にある他の車両に取り付けて入場する。
2.クルーパスで場内に入場後、他の数人のパスを持って場外に出て、他の人間を場内に入場させる。
など、その様態は様々です。
実際私も何も知らない頃に、その様な事と同じような事を、何の悪気も無くやっていた事があります。
実例として世界レベルのレースになると、各国の関係者達は大半の方がパスをしっかりと運用しています。

上記の様に、コレでは運営者が得られる正当な利益も出ず、一人にしてみれば僅かかも知れませんが、塵も積もれば何とやら・・・と言うヤツです。
またどちらかというとこちらの方が大きいかもしれませんが、モラルの無い人間によって警備上の問題も発生し、一層の警備強化を強いられ、それにより利益が上がらない運営者は財政的に苦しくなり、料金を下げる事も出来ず、これからモータースポーツに挑戦しようとしている方々にとっては、台所事情が非常に厳しい状況になってしまいます。
実際、エントラント側のモラルが向上すれば、パスコントロール(パスチェック)に関するリスクも低減し、それに関わるオフィシャルの人員を削減することにより、コストを抑える事も可能でしょう。
既にこの世界に入っている方々は、たとえ大変でもこの世界が好きなので続けて行くと思いますが、初めての方にとっては二の足を踏んでしまう状況になってしまうことでしょう。
そればかりか財政的に余裕の無いモータリスト達の中には、その世界から身を引かざるを得ない方も出てきます。
コレではモータースポーツの発展など、到底望めませんね。
このような事を実際にやっている方々には、かくいう私もそうであったように、実はそれ程罪の意識がないのも事実です。
どうやら悪い週間が出来上がってしまっているようです。
この問題を改善する為には、参加する側に立つ我々が再度その事に関して認識を深め、自らを律して行かなければならないでしょう。
また、これからモータースポーツに関わる事になる方々に対しても、先輩に当たる私たちが、初心者の方に教えてあげなければいけません。

我々は、この様な行為が詐欺という違法行為であるという事を肝に銘じておかなくてはなりません。
参加する側も、いちモータースポーツファンとして、お互いに注意してゆきましょう。
日本に置けるモータースポーツの社会的地位を確立するためには、それに従事する人間のモラルを確立することが必要であることは間違い無いはずです。

しかし・・・台所事情に関しては、利益を上げた団体が私たちに還元してくれないことには、どうしようもないんですけどね・・・(笑)





2005年9月21日 (水曜日)







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