■飼っている羊の散歩をしていたとき、砂塵の壁の向こうから、地響きのような音が聞こえてきた。
周期的に、だんだんと近く、音は確実に近づいてくる。
羊たちが異常を感じ、騒ぎ出した。
ぼくは騒ぎ出した羊たちをなだめながら、密かに、音の主が目の前に現れるのを待つ。
そして。
砂の荒れ狂うノイズの奥から、二つの影が現れた。
鋼鉄の巨人。
大地を駆る者―。
二体の巨人は、遊牧民の僕の横を通り過ぎる。
「ぼくも大きくなったら、あの機械に乗るんだ…!」
小さな決意で手を握り締め、ぼくはその後ろ姿を見送った。