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浪華郷友録(安永4年版)

 『浪華郷友録』は、曽之唯(曽谷仲助)の編になる大坂文人の人名録です。ここで紹介する安永4年(1775)版と、その続編に当たる寛政2年(1790)版があります。
 江戸時代後期、全国各地で、地域別、分野別の文人人名録が数多く出版されました。京都の文人を紹介する『平安人物志』は、明和5年(1768)から慶応3年(1867)にかけて9度も版を重ねました。 『浪華郷友録』も、『平安人物志』版行の流れを受けて、その大坂版として出版されたものと思われます。
 当時の大坂の文人を、儒家、医家、緇流(僧侶)、聞人(本業のいとまに芸苑に遊ぶもの)、書家、画家、作印家などの部門ごとに収録しています。
 編者の曽之唯は、池大雅らとの交友で知られる文人、篆刻家である高芙蓉の門人で、京から大坂に移住した後は、片山北海が主宰した詩文結社混沌詩社の一員として活躍しました。本書の編纂には、この混沌詩社の交友を活用したと思われ、本書に収録される人物群からは、混沌詩社を中心とした大坂文人のネットワークを垣間見ることができます。

 このページで紹介する『浪華郷友録』(安永4年版)は、高松研究室保管の個人蔵本です。
 大正期の複製本である可能性が大きいと思われますが、原本と変わらない体裁を有するものです。

 なお、画像の下には、釈文を付していますが、なお校訂中であり、遺漏、誤謬もあると思います。追って訂正を行う予定ですので、ご寛恕、ご理解の上、閲覧お願いします。


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