34吉田丹左衛門

吉田楓軒蔵品入札目録 大正13年12月8日 東京美術倶楽部

 吉田家は、江戸時代以来、下谷に広大な土地を有した江戸の旧家で、丹左衛門は「大質」と称する質屋の元締役を務めた豪商であった。明治初期から茶人として活躍し、近代数寄者による茶道復興のきっかけとなった和敬会には、当初メンバーとして参加した数寄者であり、益田鈍翁や高橋箒庵などの三井系財界人数寄者の茶道における先導役を果たした。また、古筆や古絵巻などの模索、復元にあたった田中親美の後援者としても知られる。
 売立では、「古筆手鑑」が80,000円、「高野切」が40,100円など古筆が上位を占め、総落札額は932,000円を超えた。