8上野与吉

京都上野旭松庵氏所蔵品入札 大正6年9月27日 大阪美術倶楽部
当市上野旭松庵所蔵品入札目録 大正14年11月16日 京都美術倶楽部

 上野与吉は、大阪北浜で活躍した相場師。
 上記2件のほか、大正3年には、「上野好撰氏所蔵品入札」を催している。
 その一方、入札会を通じて、多くの優れた美術作品の購入も行っており、大売立時代に際会し、作品の売買を通じて、コレクションの内容の向上を企図したと思われる。
 大正6年の売立は大売立時代到来を予見した購入資金確保が目的か。この中に住吉如慶「源氏物語画帖」(現、石山寺)などが含まれる。
 その資金を元手に、佐竹侯爵家の入札では、雪村「風濤図」(現、野村美術館)等を購入した。しかし、昭和14年の売立の際、「風涛図」も売り立てられ、同じく大阪北浜の大物相場師島徳蔵がこれを購入した。