44島津公爵家(旧鹿児島藩主)

公爵島津家蔵品入札目録 昭和3年5月28日 東京美術倶楽部

 旧鹿児島藩主島津家は、江戸時代においては、加賀前田家に次ぐ大大名であり、維新を主導した藩ということで、明治以降も新政府から厚遇され、豊かな財政状況を保ってきた。しかし、金融恐慌の中で破綻した十五銀行の最大の株主が島津家であった。この破綻による被害弁済のため、売立を行なうこととなったのである。
 売立は、昭和3年と4年の2度行われたが、主要な作品は、昭和3年の売立に出品された。第1回入札に先立ち、薩摩出身の樺山愛輔が、団琢磨を介して、高橋箒庵に世話人を依頼している。
 この入札会では、「松屋肩衝茶入」(現、根津美術館)が129,000円、「柳藤四郎茶入」が70,600円で落札され、総売上額は約1,060,000円に及んだ。