26坂本金弥

坂本金弥氏所蔵品入札 大正11年3月20日 東京美術倶楽部

 坂本金弥は、明治・大正期に活躍した財界人、政治家。岡山で『中国民報』(現、『山陽新聞』)を創刊。また、岡山の帯江銅山を買収して鉱山業に進出するなど、岡山財界の中心的人物の一人として知られた。また、明治31年以降、衆議院議員として、進歩党、立憲同志会などで活躍した。
 美術品の蒐集では、第1回仙台伊達家入札で落札した「岩城文琳茶入」ほか、多くの茶道具を所有していた。この「岩城文琳」は158,000円で落札されるなど、総売上620,000円余りとなった。
 売立の理由については判然としないが、第一次大戦後の戦後不況の中で、大正8年には世界的な銅価格の暴落が発生している。このような経済的苦境の中での財産処分の一環として実施された売立ではなかろうか。