54中山侯爵家
侯爵中山家大岡家所蔵品入札 昭和4年6月29日 東京美術倶楽部
中山侯爵家は、明治天皇の生母中山慶子の生家で、慶子の父である中山忠能は、幕末、明治初期の宮廷政治に、明治天皇の外戚として関与した。
中山家の売立の理由については、現時点では不明であるが、他のこの時期の華族の売立と同様、金融恐慌、十五銀行の破綻などが影響した可能性を想像することはできる。
売立は、大岡家との合同入札会として実施された。落札品の中では、「類聚古集」(現、龍谷大学)の41,000円が最高で、総落札額は、200,000円余に過ぎなかった。江戸時代まで、中山家は羽林の家格で、経済的にはさほど豊かではなく、伝来の美術品・文化財等も、後摂家や清華家のような上位の家格の公家に較べ、さほど多くなかったのではないかと思われる。
なお、大岡家については、現時点では不明である。旧大名家の大岡家であれば、家名に爵位の表記をすると思われる。この時期の美術品等の蒐集家等の中で可能性のあるものをあげるとすれば、衆議院議長、文部大臣などを務めた大岡育造であろうか。