14松井子爵家(旧川越藩主)

松井子爵家御蔵品入札 大正7年10月3日 東京美術倶楽部

 松井子爵家は、旧川越藩主。徳川家康から松平姓を賜り、江戸時代には、代々松平周防守と称し、老中を3名輩出した譜代大名であった。特に、江戸中期の当主であった康福が多くの書画、茶器を蒐集したことが知られている。ただ、その主要部分は、明治維新前後に売却され、この入札の出品作品は、その残りにすぎないと、高橋箒庵は指摘している(『万象録』大正7年9月25日条)。
 この当時、松井家と稲葉家は縁戚関係にあり、稲葉家入札の評判から、松井家が稲葉家を介して、大正7年6月4日、箒庵に世話人を依頼した(『万象録』)。 箒庵は『東都茶会記』大正7年9月30日付「周防侯遺愛品」で、康福とその遺愛品、この入札の出品品などを紹介している。
 入札の結果、「名物古銅大ソロリ花入」が45,900円で落札されるなど、総売上281,000円余を記録した。