74鴻池男爵家
松イン亭蔵品展覧目録(鴻池男爵家蔵品展覧目録) 昭和15年6月12日 大阪美術倶楽部
鴻池善右衛門家は、江戸時代初期、摂津伊丹において清酒を発案し、酒造業などから家を興し、その後両替商として、江戸時代を代表する豪商となった。明治以降は、鴻池銀行・三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)などの設立、経営に関わり、大阪を代表する財界人となったが、江戸時代以来の金融資本を主体とした財界活動であったため、同じく江戸時代の豪商から発展し、商工諸産業に業務の幅を広げていった三井家のような大財閥に発展することはなかった。
江戸時代以来、茶道具を中心に、多くの美術作品を所蔵することで知られたが、この売立までの間、伝来の美術品の売立を行なうことはなかったが、一部の収蔵品については、同家からの流出は始まっていた。
売立では、和漢の書画、茶器等に高額落札に品が相次ぎ、総落札額は6,890,000円に及んだ。これは、戦前の入札会における最高記録であった。