20鹿島岩蔵

鹿島家御蔵器入札 大正8年6月23日 東京美術倶楽部

 建設会社鹿島組(現、鹿島建設)の創業者、鹿島岩蔵のコレクションである。岩蔵の養嗣子鹿島精一は、団琢磨に入札の世話人を依頼したが、三井合名会社の社業で多忙な団は、赤星家入札の時と同様、高橋箒庵に世話人を委嘱した(『万象録』大正8年5月4日)。箒庵は、鳥取池田家、郷家などの入札の世話人とともに、この入札に関する準備も進めた。『東都茶会記』大正8年6月16日付「鹿島の周文」では、この入札の中で特に注目された周文筆(実際は松谿筆)「湖山小景図」(現、京都国立博物館)を紹介している。
 総売上は376,000円であったが、「湖山小景図」の落札価格は159,300円で、この作品が主役の入札であった。