45広岡久左衛門
広岡家蔵品入札 昭和3年6月18日 大阪美術倶楽部
広岡久左衛門家は、江戸時代大坂において、加島屋久左衛門の屋号で知られた両替商。鴻池善右衛門家等と並ぶ大坂の代表的な富商として知られた。明治以降は、加島銀行、大同生命などを創業し、江戸時代の大阪豪商の中では、鴻池家などと並んで、明治以降も生き残った数少ない存在といえる。
広岡家も、江戸時代、多くの美術品コレクションを保有していたというが、その多くは、明治初期に売却したという。しかし、同家を代表する宝物であった「紅葉呉器茶碗」は、その後も同家にとどまり続けた。昭和3年の同家の入札では、この「紅葉呉器」が出品され189,900円で売却された。
なお、この広岡家の売立も、銀行、保険という金融資本を主力業務とする同家が、金融恐慌により、大きな損害を被ったことが原因である。