36波多野承五郎
波多野承五郎氏所蔵品入札目録 大正14年6月1日 東京美術倶楽部
波多野承五郎は、遠江国掛川出身の実業家、政治家。慶応義塾に学んだ後、福 沢諭吉の創刊した時事新報の主筆、外務省などを経て、朝野新聞社長、王子製紙
、三井銀行などの役員を務め、大正9年には、衆議院議員となった。
数寄者としても明治期から知られており、三井系財界人の茶会などにもしばしば招かれているが、本来の趣味は、文人画、煎茶などであり、そのコレクションも、この方面の作品が主体を占めている。
出品作の中では、木米筆「山水図」・頼山陽筆「五言絶句」双幅が47,900円、大正8年の信州上田松平家の売立に出品された狩野元信筆「三聖吸酸・枇杷栗鼠・栗鳥図」が31,900円などの絵画作品が高額落札品で、売上総額489,000円を記録した。