70青山子爵家(旧篠山藩主)

旧篠山藩主青山子爵家御蔵器入札 昭和10年11月18日 東京美術倶楽部

 旧篠山藩主青山家は、三河以来徳川家に仕えた青山家の宗家で、江戸時代の歴代当主のうち4名が老中を勤めた譜代大名の名門である。青山家の売立も、金融恐慌以降の経済混乱が、大きな要因になっていると思われるが、青山家では、明治以降の当主に夭折するものが多く、昭和2年に亡くなった青山忠精のあと、同8年には忠敏、入札当時の当主忠揚は同13年にそれぞれ没している。このような頻繁な代替わりが影響した可能性も考慮すべきであろう。
 この売立では、「千鳥蒔絵面箱」(現、野村美術館)が130,000円で落札されるなど、総売上額は420,000円を超えた。