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フロドが西へ行く船に乗る時のあの微笑に
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1名前: うさぎ足 投稿日: 2004/02/24(火) 00:05

あの寂し気な微笑みに、全ての悪しきものからも愛おしいものからも、去って行くという哀しみが表れていて、イライジャは本当に上手いと思いました。
 ああ、ほんとうに「さようなら」なのだと思いました。そしてエンディングの「西へ行く」というあの歌、まさに原作の終わりの文章そのままです。
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2名前: 由左 投稿日: 2004/02/24(火) 10:28

以下、「涙涙涙・・・」のスレッドより抜粋しました。
灰色港のフロドに寄せて、(自分を含めた)皆さんの初期の感想です。
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fuku。 投稿日: 2004/02/09(月) 23:36

灰色港から旅立つシーンの最後のフロドの笑顔が最高〜〜〜に可愛かった〜!!!
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由左 投稿日: 2004/02/09(月) 23:36

灰色港のフロドの笑顔、すごく爽やかそうでしたね…。悲しみも苦しみも、すべてを超越したかのようなあの笑顔…。今でも脳裏に焼き付いてます。イライジャ君、さすがだよ…
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輪 投稿日: 2004/02/09(月) 23:37

あの笑顔は犯罪だ〜〜〜!
輪がエンディングの曲で表現してほしかった事が、あの笑顔に凝縮されてる。
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3名前: 由左 投稿日: 2004/02/24(火) 10:53

そしてそれから数回見た、今の感想です。

船の笑顔シーンに至るまでも、フロドはずっと何かを悟ったような、
穏やかな顔してますよね・・。
そして、エルフとともに西へ行ってしまうフロドを涙で見送るメリピピ・・。
彼らとはもう、二度と会えないというのに、フロドは涙一つ見せません。
この情景って、原作通りで感激でした。

悲しげ・・だけど絶望感は微塵も感じず、
はるか遠くを見つめるあのフロドが中つ国に残した最後の微笑み・・。
「清められて苦悩を伴わない悲しみに心を満たし・・」
(原作「王の帰還」・下<文庫>より・・)
あの笑みは、まさにその通り・・・。
イライジャ君、どうしてあんな笑顔ができるんだろう・・。
すごいね。
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4名前: エルフに恋するおバカさん 投稿日: 2004/02/24(火) 11:08
灰色港で、ビルボを両手を広げて歓迎するエルロンド・・。
彼の慈愛をこめたあの笑顔・・
船に乗れない、定命の者にはあまりにつらい笑顔です。

ここにこっそり書いておこう・・(苦笑)
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5名前: うさぎ足 投稿日: 2004/05/16(日) 00:51
 最後だと思って、観て参りました。あのシーンのフロド、全てを越えて、透明な心を体現していました。あの旅で、極限を見たのですもの。生とか死とかを越えた境地といいますか、この世の全てを許せてしまうような感覚なのでしょう。仏教でいう、寂滅というような心境を感じました。
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6名前: 由左 投稿日: 2004/05/21(金) 00:33
すごい素朴な質問なんですが・・・
結果的に指輪は滅びたものの、それはいわば偶発的な事態からであって・・
フロドは、最後、「指輪はわたしのものだ・・」と滅びの亀裂で言い放ってしまった事に(いくら指輪の魔力によるものとは言え)
罪悪感は感じなかったのでしょうか・・??

あそこまで、あんなに苦労して運んできたのに・・ゴラムがいなかったら指輪は滅びなかったのでは・・?
って思ったら・・(自分なら)かなりつらいかもしれません・・・

今頃フッとそんな疑問が・・( ̄◇ ̄)ゞ
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7名前:投稿日: 2004/05/25(火) 23:06
つらかったと思います。
宙ぶらりんの時の表情、今にも手を離してしまいそうに見えました。離そうとしていたんだと思います。
それを読み取ってくれたサムの、「だめです・・手を伸ばして!」という言葉に表情が変わりますよね。
生き延びる為に手を伸ばしたんじゃないと、輪は思います。
散々つらい思いをさせてきてこんな最悪の状況まで自分についてきてくれたサムを置いて、一人で逃げるように落ちていくのではなく、最後にサムの傍に居よう、と決心した表情だったと感じました。

そんな風に思っていたので、
戴冠式の日、大勢の人達に頭を下げられた時に、あれがもし自分だったらかなり滅入ってしまいそうです。
でもフロドの表情は「滅入る」というよりは「戸惑う」という感じに見えました。
そこが輪にはわかりかねるところです。
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8名前: うさぎ足 投稿日: 2004/05/28(金) 15:34
 戴冠式のフロド、戸惑っても、良いのではないかと、思います。
 あれだけの旅をしたのに、最後の最後に自分に克つ事が出来なかったというのか、指輪の猛烈な抵抗も有ったでしょうが、自分では指輪を捨てる事が出来なかったのです。ゴラムと共に墜ちて、指輪が滅ぶ事、あれは偶然なのかな?
 ガンダルフの言うpity情けによるのかなとも思うのですが、
 そんな自分が、晴れがましくも、頭を下げられている、戸惑う?滅入るかな?恥じらいは感じると思うけれど。
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9名前: うさぎ足 投稿日: 2004/05/30(日) 12:44
 肝腎な事は、フロドが、指輪を滅びのキレツに持って行った事なのではないかと言う事。それなくして、指輪は滅びなかった訳で、
誉めたたえられる資格は有るのですが、フロド自身は、自責の念にかられるのかも知れません。監督としては、ここは戸惑うくらいの事にしておいたのでしょう。

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10名前:投稿日: 2004/05/30(日) 21:20
二つ前のうさぎ足さんの書き込みを読んでから、う〜んう〜んと悩んでいたんですが、今日↑の書き込みをして下さって、すっきりした気がします。

フロドは自分で捨てるつもりで旅に出る決断をしたはずですが、結果としては、フロドにはフロドの、ゴラムにはゴラムの役割があった訳でした。
それも、初めからゴラムにそれを期待するようなひどい経緯ではなく、真摯に悩んで選択してきた結果がそうなった所に大いなる力を感じた・・というより悟ったのかなと思い始めました。
戴冠式の日には、「滅入る」なんてものを超えてしまったのでしょうか。それは考えすぎ?

それが、
>生とか死とかを越えた境地といいますか、この世の全てを許せてしまうような感覚なのでしょう。仏教でいう、寂滅というような心境を感じました。
・・・に繋がっていくような気がしました。
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11名前: 由左 投稿日: 2004/06/01(火) 13:09

強敵ではありながらも見える敵と戦ったメリーやピピン・・
お慕いするフロドを助けるために必死だったサム・・
「いとしいしと」(指輪)を再びその手中に・・と懸命だったゴラム・・
そんな中、フロドはただ一人、滅びの亀裂へ行くまでずっと実体のない自分自身の葛藤と戦い・・
それがいくら「指輪の魔力」とは言え時がたつごとに彼の最後の決断(滅びの亀裂で指輪は自分のものだと宣言したこと)は
彼の心を苦しめたのではないでしょうか・・

シルマリルに記されている一説ですが、「死」は神々でさえ羨むであろう人間への賜物であるにもかかわらず、
メルコオルはこの賜り物に、暗い影を投げ、暗黒と混同させ、善なるものから禍を、望みから恐れを生じさせ
ました。

目覚めた指輪は、こんな感じに善と悪の間で持つ者の心を混乱させ、じわじわと蝕み、
あげく、その者の精神を崩壊させていくんだろうな・・と。

だから、
>肝腎な事は、フロドが、指輪を滅びのキレツに持って行った事なのではないかと言う事。
・・そうではあっても、指輪に侵された彼は、最後まで(指輪を投げ込むという任務を)全うできなかった自分に対して、
あれこれ悪い方にばかり考えがいってしまわないのかったのかな・・・と思ったりしました。

時々古傷が痛むのは、きっとフロドの心の痛みでもありますよね・・。
彼は、旅の物語を綴ることで、自分を問い直す作業もしたのかな・・
だとしたら、その時はよいと思う選択でも、あとで思えば「ああすればよかった・・」などと感じたりするもので、
フロドはここでもまた、葛藤する自分と戦っていたのでしょうか・・?

「清められて苦悩を伴わない悲しみに心を満たし・・」
(原作「王の帰還」・下<文庫>より・・)
苦痛を伴わない・・でも「悲しみ」の心とはいったいどんなものだったんでしょうか・・・。
映画版でのラストのフロドの笑顔にはまさにうさぎ足さま同様、寂滅というような心境を感じましたが、
本を読んでの感想は、あの笑顔はフロドがヴァリノオルでその一生を全うする時の回想シーンに似合うものでは・・?と思いました。

ちなみに、戴冠式・・
メリーは得意満面でひざまずくみんなを小気味よさ気に見渡してる・・
サムは恐縮気味で、
ピピンは脳天気に嬉しそう・・(笑)
そして、フロドは言葉もなく呆然と・・
・・「燃え尽きたんだな・・」が、自分が一番最初の鑑賞で受けた印象でした。
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12名前: kali 投稿日: 2004/06/23(水) 15:22
指輪がサウロンに属している以上、中つ国に生ける何者にも、指輪を
自らの手で滅ぼすことはできなかったのではないかと私は考えています。
指輪と言う物体を焼き溶かすことはできても
焼き溶かすために自らの意思で投げ入れることは誰にもできなかったのではないかと。

ただ、本を読んでいる私が、いわば外からそう思うだけで、
フロド自身が自らの成したことをどう思っていたかはまた別だと思います。

映画の滅びの亀裂は、原作以上に、ゴラムの死に対してフロドが
責任を感じてしまいそうな展開になっていたと思います。
映画を見たとき「ここまでフロドに負わせるのか・・」と感じました。
その割りに、原作よりも長くホビット庄にいられたことに違和感を覚えました。
アスティン氏のお嬢さんの年齢とあわせるためかもしれませんが(「今帰ったよ」
のシーンの万感こもる様子は本当に素晴らしかったですね)、
ついついどんな意味が・・などと考えてしまう悲しい性(笑)。
いえ、ホビット庄の暮らしを少しでも、一分一秒でも長く楽しんでくれれば
どんなに嬉しいかわかりません。
何年たっても何度読んでも、フロドが西へ発ったことに納得し切れていないんです。
西へ行くことでしかフロドは癒されないのだとわかっていても。

イライジャのインタビュー(Tokyo walker別冊)で
>彼は深く悲しまずに旅立てることに安堵していたと思うよ。既にそういった段階は過ぎていた。
とても感銘をうけました。
「そういった段階が過ぎる」までに感じたであろうフロドの深く強くつらい
苦しみを思うと、あの灰色港の笑顔がたまらなく感じます。
指輪を我が物と宣言してしまったこと、ゴラムの死、
サムを苦しい旅に伴わせてしまったこと、そして今なお消えぬ指輪を求める思い、
フロドは日々苦しみ続けたのではないかと思います。
(本を読んでいる私には、いずれもどうしようもなかったことに思えるのです。
でも、うまく説明できませんが、
もしもフロドがそう思うようなホビットであったなら、
この旅は成就されなかったのではないかと思います。そう考えると
とてもやるせない思いがするのですが)
そして苦しみぬいたその先に、あの笑顔があったのではないかと思うのです。
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13名前: 由左 投稿日: 2004/07/02(金) 00:25

今まで、「王の帰還」のフロドの悲惨な姿にばかり気をとられていて、灰色港でのフロドの笑みが、どうもうまく解釈できなかったんですが、
久々に「旅の仲間」を見てラスト、灰色港で見せたフロドの笑顔・・あれは「中つ国での今まであった事すべてに満足している」
という心が込められていたのかな・・と、新たに感じています。

苦難の旅は、終わった時点(グワイヒアに助けられて目覚めた時点)で、もう、彼を悩ますものでは
なくなっていて、遠い昔の事のような感覚になっていたんじゃないかな・・と。
そしてその後(一つの指輪が滅びた後)フロドは、ある種、放心状態になっていて、(映画では)戴冠式等もろもろの出来事など
が行われていましたが・・「時」はある意味燃え尽きたフロドを追い越してどんどん流れていったんじゃないかな・・と。

しかし、中つ国に戻り、本を仕上げる作業をしながら旅を思い出し、
自分を命がけで守ろうとしてくれた友らを改めて思い、「果たして自分はそこまで想ってもらえるような
人物だったのだろうか・・」とか、旅で対面することになった(であろう)自分の弱い面
を改めて思い出し、それによって傷付けた(かもしれない)友人に対して心苦しかったり・・などと、
いろいろ考えただろうな・・と。

そして、この旅によって、「指輪が滅びた」・・ということをフッと考えた時、
自分(ら)という小さなホビットが、苦難に負けそうになりながらも果たした旅は、結果的に中つ国に住む
すべての生き物に平安を与えたわけで、それを思うと、いろいろな意味でとても複雑な心境でもあっただろうな・・と。

ビルボは、自分の財産のほとんどを皆に与えて、自分は終生リベンデールで過ごそうと考えたように、
中つ国(シャイア)に、(結果的に)平穏を与えてヴァリノールへ旅立つフロド。
ガンダルフの忠告通り、苦難に出会ったとき、どうしてこうなったんだろう・・ではなくて、
どうすればいいのか・・と、何度も自分に言い聞かせて頑張ってきたであろうこの旅を(旅がもたらした結末を)
フロドは「良い」も「悪い」も含めて満足だと言える心境だったのではないかな・・。
灰色港に至るまでの数年間で
そう確認したんじゃないかな・・と感じています。

ただ、フロドは、ミーリエル(フェアノオルのお母さん)のようにこの旅で、自分のすべてを消耗しきってしまったんでしょうね・・。
ミーリエルの言うところの
「たくさんの子供(これからの人生)を養う(謳歌す)べき力がすべてフェアノオル(指輪忘却の旅)の中に出ていってしまったからです」
・・こういう状態だったのだろうな・・と(勝手に)推測しています。

そう考えれば、せっかく平和が約束されているというのに、ヴァルノオルへ旅立とうとするフロドや、
灰色港でのあの、美しい笑顔はとても納得がいきます。

kaliさまがおっしゃるところのイライジャ君のインタビュー
>彼は深く悲しまずに旅立てることに安堵していたと思うよ。既にそういった段階は過ぎていた。
・・まさにそういう心境ですね。

>ついついどんな意味が・・などと考えてしまう悲しい性(笑)
kali さま同様、自分もどうしても(自分的に)納得のいく解釈を求めて、本をひっくり返してみたり、
「自分だったらどうだろうか・・」みたいにその役になりきろうとしてみたり・・(苦笑)
トールキン教授の「教訓(読者の自由意志に根ざすもの)の世界」に思いっきり翻弄されています(笑)

だけど、こうして皆さんといろいろなお話ができる事はとても楽しいです。
しかし、なんでこんなにハマっちまったんだか・・(^^ゞ

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