レノア(以下「レ」)「皆さん、おはこんばんちは(このネタ、わかるかしら?)、実況のレノアちゃんよ♪」
息子(以下「息子」)「おはようございます。或いはこんばんは。解説担当のレノアの息子です。母からは日頃『息子ちゃん』と呼ばれておりますが、以後は便宜上息子と表記させて頂きますのでよろしくお願いいたします」
レ「何時もオーブの我らが代表、嫁子ちゃんことカガリたんと、凸ことアスランの恋を応援して止まない私たちだけど、今日はいつもの中継所『アスハ邸寝室天井裏』からちょっと抜け出してお届けす特別企画!なんだけど。さて、息子よ。今は一体どういう状況なのかしら?」
息子「さぁ。俺には詳細はわかりかねます。そもそもが昨夜母上から突然、いつもの寝室や邸内の屋根裏からの中継観察だけでは一向に彼らの恋愛状況に進展が見られないので、強制執行……もとい一歩踏み込んでの実況見分に行こうと思うから、とりあえずついて来るようにと無茶な要請が掛けられて。仕事中であるにも関わらずこちらに呼び出されただけなので。」
レ「だーってぇ、カガリたん、最近ここで寝てくれてないから、可愛い寝顔のお預け食らっているんだもん!プンプン!だからパトリックも毎日お通夜みたいにテンション下がっているのよ!」
息子「すみません、母上。俺の話を聞いて下さってますか?俺まだ仕事が残ってるので、なるべく早く帰りたいんですけれど」
レ「…つれない息子ね。ま、気を取り直して、では早速始めてみましょうか!・・・おっと、どうやらこの時間、アスランは軍令部事務室に居たようね。」
息子「母上。こんな風に勝手に他人様の御宅の内情を見る行為は、世間では住居侵入罪及び軽犯罪法違反と言う法令に抵触するれっきとした犯罪行為であって……(以下略)」
背の高い窓から日差しが差し込んできた午後の事務室。
「・・・今日もよく晴れているな。」
オーブに来て幾年経っただろうか、この南国特有の強い日差しにももうすっかり慣れてきた。
最初の頃は、あのアスハ邸のヴァイフォレット窓の明るさに戸惑ったもんだ。何しろコーディネーターは目がいい。通常の網膜よりこと鋭敏にしてくれたらしい俺の瞳には特に眩しく感じられ、分厚いカーテンを取り付けてくれたっけ。
(お前、目がいいから眩しすぎるだろう?)
そう言って屈託なく俺の返事を待たずして、カガリは俺の部屋のカーテンを厚いものに替えてくれた。
いつも思う・・・
(彼女は何故、こんなに俺の些細な悩みにも気づいてくれるのだろう。)
レ「あー!アスラン、またしても理解できていない!!(゚Д゚;)その凸には一体何が詰まっているというのかしら!!(半分じれったい)」
息子「すみません、母上。さっきからおっしゃっておられるその、凸と言うのは何のことですか?そして実況と言うのはこの場合、彼現在居住しているアスハ邸窓のヴァイフォレット様式とか言う窓が一体いかなるものなのかを説明なさるとか、出生前の遺伝子調整により視覚が強化されてしまったがゆえの網膜の脆弱さを補うために、彼女がコーディネーターである彼の為用意してくれた厚手の遮光カーテンの等級が正確にはいくつであるのかとか、彼の悩みにいち早く気づいてくれる彼女の英明さは一体何に由来しているのかとか、そう言った詳細情報ことを読者の皆さんにご説明するのが正しいのではないのかと」
レ「―――ということらしいわ。私はキャベツのこと以外よく知らないんだから、そこが解説役である貴方のお仕事でしょ?…って言っている間にその問題の凸―――改め、アスランはまだハツカネズミから脱していないようね。モノローグ長すぎよ…一体誰の趣味かしら┐(´∀`)┌ヤレヤレ」
どうせなら人見知りの性格もコーディネートしてくれればよかったのに…とは流石に性格までは遺伝子操作はできないか。
居場所のない俺に、こうして温かな場所を用意してくれる分、それ以上世話になるのも申し訳なくて我慢しなくてはと心に決めながらも、彼女はこうして「クスっ」と笑いながら、俺が心地いいように配慮してくれる。
あの頃が懐かしい・・・
少なくとも、今のような悩みを抱えずにいたのだから。
勿論、彼女から聞いてはいた。
(お前のことは好きだ。だけど私にはお前と同じく親の決めた婚約者がいる。ただ親同士の話で私自身が同意した訳じゃない。お父様がお亡くなりになった今、この話が活きているのかどうかは定かじゃないがな。)
俺は唇を噛む。
どこか覚悟はしていた。
彼女がオーブのアスハ代表の娘だと知った時から、おそらくは。
一国の姫君がフリーである可能性は少ない。許嫁が存在していることは心の隅で薄暗い檻の様にぼんやりと巣食っていた。
理性的ないつもの俺なら、ここで気持ちにセーブをかけただろう。
だけど、出来なかった。
父に撃たれてただ悲嘆にくれる俺に、まだチャンスはある!と考え方を一変させてくれた彼女。
死なせないから、と俺の心の奥底に隠していた決意を見つけ出し、挙句は生きる力に替えてくれた彼女。
誰も理解してくれないと、仮面の下に隠していた素顔を日の下に引き出してくれた彼女。
好きにならないわけないじゃないか!
こんなに俺の心を、人生を救ってくれた人―――誰にも渡したくない!自分をずっと見て欲しい、自分だけのものにしたい!
レ「くぅーーーーっ!!迸るアスランのカガリたんへの独占欲!た、たまらんわっ(*´Д`)ハァハァ」
息子「御言葉ですが、母上。基本恋愛だとか人間関係において、一方のみが個人的な意志や感情を特定の相手に傾けることは、双方の理解がしっかりと及んでいない状況において百害あって一利なし。ぶっちゃけ迷惑でしかありません。簡単に言ってしまえば、ラクス言うところの「重いだけでも力だけでも駄目なのです。イきたいと望む場所にこれは不要ですか?」と言う話です。満足に相手との意志の疎通が図られていなかった場合、勝手に押し倒してしまえば犯罪になります。相互の認識に誤解や齟齬がある限り、カップリングは成立しない。ましてカガリには×の前を狙う男が多くいて……いや、女性だって多い!ですからこの場合、彼は彼女に彼の個人情報及び現在の資産状況、自分自身の将来性、そして悩みや葛藤をつぶさに伝え、彼女の退路を順当に狭めていくべきなんです。黙っていても彼女ならわかってくれるだの、彼女は自分の人生を過去救ってくれただの、甘っちょろい私見に酔ってなどいても、この先の未来はありません。と言うわけで現在の彼がなすべきことは、彼女への独占欲や甘酸っぱい過去への回想に身を委ね、まだ見ぬ彼女とのラブラブ新婚生活に想いを滾らせることではなくて、積極的に自身の見解を彼女に伝え、しかるべき解決案を具体的に提示した上で彼女にそれを前向きに検討して貰う!これこそが急務であるのかと!!」
レ「そうよ!とりあえず息子の長い理論展開をまとめると「イきたい(↑の下線)時にいかんでどうするんだ!アスラン・ザラ!」…てことでいいのよね? ま、いいわ、さっさと次行きましょ次v」
だが、時局はそれを許さず、俺はプラントへ、そして彼女はオーブを選び、その結果婚約者であるユウナとの婚姻を受け入れざるを得なくなった。
考え方のすれ違いは、お互いの身より何より心を遠くした。
紆余曲折を経て、俺たちはまた共に戦うこととはなった。だがこの身は近づいたものの、互いの立場―――いや、彼女の立場が以前のような無邪気な恋を許さなかった。
それは彼女が指輪を外した時に、無言で俺に示した。
だが、理解はできても納得できないことは俺にだってある。
幾ばくかの希望を込めて、戦後プラントに戻ったラクスと要請を受けて旅立ったキラとは反対に、俺も彼女の傍にいることを願った。
こうして現在、俺はオーブにいる。
オーブ軍所属のコーディネーター。やがて自然と准将という地位まで昇りつめた。
レ「―――と、ここで、どうやらアスランに動きがあった模様よ。」
息子「ここまでで随分と尺を浪費していますから、さっさと実力行使に移って貰いたいところですよね。手をこまねいて見てるだけではダメなんです。キラなんか決めたら即ラクスのところに行って当たり前みたいに同居してるんですから、彼だってそれくらいしたところで何の不思議もないわけで。むしろ遅すぎるくらいでしょう」
レ「そうね、既にここで4000字以上使っているんだから、もっと本能の赴くまま「レッツゴー、ツー、カガリ♪」してくれてもいいのに。でないと私たちの残業手当は誰が出してくれるのよ!…あ、パトリックが出してくれるみたいだから安・心(*´艸`*)」
息子「父上が出してくれる残業手当……何故だろう。今すぐにでも正面から撃たれるような緊迫感しか感じない。それにもし、彼が母上おっしゃる通り本能の赴くままにLet’s
「あ、ザラ准将!」
廊下ですれ違いざま、事務官の女性士官が二人敬礼して俺に道を譲る。俺は軽く会釈して彼女らの前を通り過ぎる。すると
「やったわ!今日は准将とすれ違えるなんてラッキー☆」
「ホント、カッコいいよねぇ〜」
「あの若さでもう軍の上層部って、どんだけエリート!?」
「まさに才色兼備とか眉目秀麗とか…もう准将の為にある言葉よね〜」
「ねぇ、あれ聞いた?准将の彼女の事・・・」
「うそ!?彼女いるの!?」
「以前告白した子が言ってたのよ。「俺には心に決めた人がいるから…」って速攻玉砕だって。」
「えーーーっ!?でも確かに、アレで彼女の一人もいないって言うのもおかしな話よね。」
「だって以前あのラクス・クラインと婚約していたらしいじゃない?最も、プラント議会が決めたことだから、現在の議会では婚姻統制は破棄されたらしいけど。」
「ラクス・クライン以上の女性がいるって事!?敵うわけないじゃん!」
レ「流石はアスランね。人気はモブにも高い模様よ♪中身はあんなハツカネズミなのに…┐(´∀`)┌ヤレヤレ」
息子「いえ。外堀を埋めるのは大事ですよ。トップを籠絡するのに周りから攻めるのは人心掌握の初歩中の初歩。ですが誤解を放置するようでは彼の努力もまだまだですね」
・・・君たち、小声でしゃべっているつもりなのか?耳のいい俺には丸聞こえなんだが・・・
ため息をつきながら、俺は姿勢を正す。
早くこの資料を渡さなくては
レ「どうやらアスラン、上官ともなれば人任せになるはずの資料を、わざわざ。「わ・ざ・わ・ざ」自ら行政府まで持参したようよ!!」
息子「小さなことからコツコツと。俺は彼の作戦を支持します」
<コンコン>と二度のノックののち、俺の耳が望んで止まない<入れ>のハスキーボイスが聞こえた。ゆっくりとノブを回せば、彼女はそこにいた。
「なんだ、またおま・・・いや、ザラ准将が持ってきたのか?事務士官にでも渡せばいいのに。」
そう言って手を伸ばす彼女。
どうしてだろう、少しイラつく。「お前」と呼んでくれない彼女が、俺との距離をわざと開こうとしている気がしてならない。
レ「我らがカガリたん・・・ちょっとアスランにつれない態度。どういうことかしら…?」
息子「あぁ見えてカガリは素直じゃないからな。ずっと会えていなかったから、きっと寂しくて拗ねてるんじゃないのかな」
レ「…何よ、息子ちゃん。その悟りきったような遠くを見る目は…」
息子「別に。ただ若くして亡くなられた母上と違い、俺には人に言えない多種多様な心の闇とそれに応じた光の見出し方があるんです。父上、自分にとっての唯一無二、理想の女性と歩む人生って見た目より過酷ですよね……」
だが俺はそんなイラつきをおくびにも見せず、口角を挙げて微笑んだ。
「いえ、このくらい自分で持ってこなければ運動不足になりますから。」
そう言って資料を差し出す―――仕草をしながら、そっと偶然を装って彼女の手に触れる。
レ「これは―――!なんと偶然を装って、少しでもカガリたんに触れる作戦に出た模様!これがコーディネーターの中でも秀でたZAFTレッドの考え抜いた作戦だというの!Σ( ̄□ ̄|||)」
息子「甘いですよ、母上。これくらいできなくて何のプラント二世代コーディネーターですか。青魚アレルギーはうっかりと取りこぼされてしまいましたが、母上と父上が掛けて下さった予算と技術は伊達じゃないんです」
レ「ついでに凸をデカくし過ぎたのは、研究室の過失よ。私たちの責任じゃないわっ!ヽ(`Д´)ノ いいえ、そんなことより、あの二人の表情が―――」
瞬時に伝わる肌の感触、体温、そして
「あっ!」
触れた瞬間、彼女が反射的に手を引いた。
<バサバサッ>
床に落ちる決済板と資料のコピー。
「うわっ、す、すまない。」
慌てて散らばった資料を拾おうと、しゃがみ込む彼女。俺も後を追う。
「いえ、こちらこそ、申し訳ありません、代表。」
何でなんだ?なんで俺が触れることを恐れるんだ・・・?
いや、彼女にだけじゃない。
何故俺までこんな他人行儀な口調で返すんだ?
こう言えばいいだけだ。
―――「カガリ」―――
こうして名を呼ぶだけでいい。
今なら二人きり。
その名を呼ぶだけで、この空気の間に横たわる壁を壊せるかもしれないのに!
レ「おぉっと!アスランの心の声が駄々洩れてくるっ!ここは行くのか!?ハツカネズミをいよいよ脱出なのかしら!?」
息子「だといいですよね。相手は天下のアスハ代表だ。果たしてこの程度の稚拙な策で落とすことができるのか」
「すまなかった。ついぼんやりしてしまったようだ。確かに受け取らせてもらった。手間をかけさせたな、准将。」
彼女はうつ向いたまま、俺に視線を向けることもなくデスクに振り返ろうとする。
これで終わりなのか?
せめてもう少しだけ、今この瞬間だけでも―――
「あの、代表―――」
瞬間、腕を伸ばし、彼女の肩に触れて引き留めた。瞬時彼女の体がビクンと揺れる。
「何だ?要件なら手短に言え。」
抑揚のないハスキーが、あくまで事務的に俺との壁を瞬く間に高く積み上げる。
こんな壁、今なら打ち壊せるかもしれない!今は二人きりのこの部屋、もし君をこのまま引き寄せ、抱きしめ、そして―――!
<コンコン>
新たなドアのノックオンに、俺の決意が瞬時に打ち砕かれる。
レ「あー・・・( ̄▽ ̄;)」
息子「ほら。やっぱり。そんなことだろうと思ってました┐(´д`)┌ヤレヤレ←あー!何を勝手に挿入して下さってるんですか。俺はこう言ったものに自身の感情表現を頼るなどしたことはありません。えぇ、そうです。指揮官たるもの、聞き取りやすい口頭伝文、もしくは書面での短文のみで意図するところを部下へと伝え、最短最善の作戦ルートを共有し、的確に自軍を戦局を勝利に導くことができなくてはなりません。それを思えば……え?今時はこれくらい使いこなせないと駄目なんですか?カガリもオフではラクスやキラと使ってる?な、ならこれ、ここにこのまま入れといて下さって結構です!はい、今すぐこれらの絵文字を解析し、アルゴリズムを理解した上で完璧に使いこなせるよう習得を目指しますので!!」
「入れ。」
渡りに船、と言わんばかりに俺がいるにも関わらず、彼女は慌てて首長服の襟を正し即答する。
「失礼します。代表、あ―――し、失礼しました!」
先客がいると思わなかったのだろう。行政府の秘書官が慌てて出直そうとするが
「大丈夫だ、もう終わった。准将、最後の用件だけ。」
「・・・明後日のレセプション、SPとして私以下数人が伺いますが、先日お渡しした配置図の通りでよろしいでしょうか。」
口をついて出たのはありきたりな言葉だ。
「あぁ。よろしく頼む。」
さっさと彼女は自席へと戻り、秘書官を呼び寄せた。
もう彼女の視界に俺は入っていない。
レ「カガリたん、ここまで態度を徹底しているわねー。」
息子「カガリ……相変わらず清々しいほど素っ気ないな。そこがまた堪らない」
レ「この魅力に我々もイチコロされて、天井裏から離れられないのよね(/ω\)イヤンv姫様ってばv」
息子「だからそれは単なる犯罪だと……」
「失礼しました。」
儀礼的な敬礼と共に、はた目にもわかってしまうほどガクリと肩を落とす俺。
「はぁ・・・」
出てきたばかりのドアにもたれかかり、前髪を片手で上げる。
本当に、なんで俺はあと一歩、君に近づけないのだろう。
レ「・・・本当に、何でこう、じれったいのかしらねー(==;)」
息子「ある意味こう言うプレイだと思って見守るのもありなんじゃないですか?少なくとも俺は焦らされるのは慣れていますし」
レ「経験者の語る言葉は重いわね…ちなみにパトリックもじれったい人だったので、私の方がさっさとことに及んだわ(`・∀・´)エッヘン!! あ、いえ、そんなことより、何やら新展開がありそうよ。」
すると、廊下の向こうからヒソヒソと何やら聞こえてきた。
レ「おや?ここでどうやらルート選択のお時間のようよ。『このまま無視する』あるいは『立ち聞きする』と表示されているけれど、息子ちゃん、どのルートを取るべきかしら?」
息子「え?俺が決めていいんですか?では定番のハツカネズミ後ろ向きの選択を支持して『立ち聞きする』で」
いつもならスルーするところだが、軍令部に戻ろうとする俺の足を、その言葉が引き留めた。
「明後日の話、聞いた? なんでも代表の婚約発表があるらしいよ?」
「ホントー!?」
刹那、俺の背に氷水をかけられたようなショックが走る。
レ「こ、こんやくはっ―――うそぉおおおおおおおっ!?Σ( ̄□ ̄|||)」←知らなかった。
息子「母上。冷静に。彼女に限って彼以外の男を選ぶなんてありえません。他のことなら動じることもありますが、ことこれに関しては絶対であると考えていいと存じます。なんたって彼女はオーブの女神アスハ代表です。彼にすら落とせなかった暁の女神を、そこいらの有象無象に落とせるわけがないでしょう。それに万が一そんなことがあった日には、間違いなくキラが。あいつが黙ってはいませんから!前回はフリーダム一機だったかもしれないが、次は未来の義兄弟の共同作業。ストライクフリーダムとインフィニットジャスティスの風圧でハウメア神殿の階段の一番上から跡形もなく吹き飛ばしてご覧にいれます」
(カガリに、新しい婚約者!?)
「それって噂でしょ?」
「うーん、でも明後日ってあの国の王太子も来るんでしょ?なんかカガリ様にぞっこんって噂の。」
「あー、聞いたことある!この時代に珍しく、ラブレター書いて送って来るって秘書課の子から噂聞いたよ。」
「でもさー、確かに代表だって適齢期だよね。アスハ家にとってもそろそろ子どもの一人くらいいないと、後継ぎ問題だって出てくるでしょう?」
「だよねー。代表はナチュラルだから、子供作りやすいとは思うけど、やっぱり年齢の問題はあるからね〜。」
「私さ、ここだけの話、ユウナ様とカガリ様って、あんまりお似合いじゃなかった気がするのよ。まだ王太子の方がカガリ様にふさわしいかなって。」
「私たちの代表、凛々しいもんね!MSとかも操縦できるし。以前の大戦のオーブ危機の時、自分で戦闘しながら行政府に指示も出して、更に部隊の指揮も取ったらしいよ!」
「カッコいいー!代表の相手だったら、冷静沈着で、決断力もあって、強くって、頭がよくって、おまけに美形じゃないと許さないわ。」
「言えてる!でもそんな人、この世の中にいるのかな?」
「でも、そのくらいの相手じゃないと、いくら王太子でもオーブの国民が認めないわよ。」
声が次第に遠くなっていく・・・
そうだ。彼女を手に入れるには、オーブという難敵をも屈服させなければならない。
俺は彼女にとって、どれほどの価値のある人間なのだろう。
以前彼女は俺ではなく、オーブを選んだ。そのために俺の指輪を外した。
どうそれを乗り越えるべきなのか・・・
「くそっ!」
誰にも見られないのをいいことに、握りこぶしが壁を叩いて口汚く不満を吐き出す。
たった一歩、君に近づくために、俺はどうすればいい・・・?
レ「あ〜〜〜ここでもハツカネズミ。悶々とするだけで、何も打開策が浮かばない!( ;∀;);」
息子「沈黙は金」
レ「ところでこの後は、別のステージに移るようだけど、息子ちゃん。この後の展開は何が待っているのかしら?」
息子「母上、ここは黙って彼を信じてやりましょう。我々は大人しく見守るところです。大丈夫。『彼女』がどうにかしてくれます!」
***
眩いばかりに光を落とすシャンデリア。
その下で始まったレセプション。各国の代表が会議の後の緊張もほぐれたように、和気藹々と歓談を続けている。
レ「どうやら国際会議が終わって、レセプションの行われている大広間に移動したようね。アスランは・・・相変わらず真面目に壁際で会場内警備に当たっている模様よ。」
息子「私情は封じて任務を果たす。軍人として当然のことですからね」
そこに
「おぉ・・・」
「美しい・・・」
人々の感嘆の波が、両開きのドアから広まっていった。
その波の中心、蒼のスリット入りのシルクドレスにロンググローブ。そして同じ色のハイヒールのカガリが姿勢も正しく現れた。
レ「来ました!カガリたん!(*≧▽≦)ノ これは美しい☆美しすぎるぞ!!」
息子「蒼は彼の髪色を想起させる特別な色ですね。そして太腿の脇から手を入れると色々と危険なギリギリまで大きく入ったスリットに同色のハイヒール。つまり今夜は誘ってもOKと言う合図と考えていいのでしょうか……」
レ「む、息子ちゃん、やめて…今想像すると…(*´Д`)ハァハァ←鼻血が止まらぬ」
その一歩進むたびに、周囲からの羨望を浴びる状況も、彼女はすっかり慣れきったのか意にも返さず歩みを進める。
そしてその歩みが止まれば、あっという間に人垣が彼女を埋め尽くす。
「っ!」
思わず踏み出した俺の一歩を理性が必死に押しとどめる。
俺が今出て行って何をする?何ができる?彼女は「これも仕事」といってまた俺を遠ざけるに違いない。
一昨日、俺と視線も併せず、表情が揺れることもなかった彼女。それが彼女の「覚悟」なのだろう。
レ「ああっと、ここでまた例のごとく理性という名のハツカネズミがアスランの足を止めたぁああ!」
息子「見てて下さい。これこそが、彼言うところの理解できても納得できないことはあると言う奴ですから」
(―――だけど!)
ギリといつの間にか固く握りこぶしを作っている。溢れる感情を押さえろと言わんばかりに。
それでも俺の眼は彼女を探す。せめて見届けるくらいは・・・
すると
「―――!」
(え!?)
ほんの一瞬、それこそ動体視力の優れている俺にしか捉えられないその刹那、金眼がこちらを見た。そして
(―――「助けて!」)
そう訴えているように見えた。必死の金眼が乞うように何かを求めている。
その彼女の手が誰かに握られている。アレは
(―――「でも明後日ってあの国の王太子も来るんでしょ?なんかカガリ様にぞっこんって噂の。」)
間違いない!
王太子はカガリを連れてバルコニーへと誘っている。
下手に絡めば、国家間問題になるとばかりに、誰も彼らを咎めない。
レ「行け!今、行かなきゃどうするのよっ!アスラン・ザラ!それでもZAFTレッドなの! ((o(。>皿<。)o))!!!(※今はオーブ軍である)」
息子「母上、この場合ザフトもオーブもレッドもホワイトも関係ないと思います」
「カガリっ!」
レ「行ったぁ!( o∀o )/♪」
息子「野暮は言いたくないんですが、下手すると外交問題になるな。気をつけていけよ。くれぐれも慎重に。おまえは良くても彼女がのちのち苦労する……」
客をかき分け、俺は彼女の後を追った。
「・・・こうしてようやく貴方ご本人の御尊顔を拝することができて光栄です。アスハさま。」
レ「どうやらステージはバルコニーに移ったようね。我らがカガリたんを連れ出した王太子・・・美形ではありますが、そこはかとなく紫モミーと同類の雰囲気を醸し出しています・・・( ̄▽ ̄;)」
息子「不思議ですよね。当て馬ってどうしてあぁも似たような空気を纏っているんでしょう。なよなよにやにやほんっとーに目障りと言うか!その癖背景だけはしっかりと持っていて。実力で来いって思いますよね。あぁ、ちょうど今バルコニーで野外ですから、ひとっ走りモルゲンレーテの格納庫までMSを取りに行って、口だけ野郎を風圧で……いや。それをやったら彼女に迷惑が掛かるから、後ろから近づいて軽く落として室内に連行。そのままへ会の閉場まで控室に放置と言うのもありかもしれない……」
「いや、そこまでかしこまらないでくれ。我が国も貴国との和平交渉と産業提携ができて、ありがたいと思っていたところだ。」
レ「カガリたん、あくまで「オーブ代表」として王太子に対する模様ね。」
息子「至極当然の対応であるかと」
「そのようなつまらない話はやめましょう。今日は貴女にとても大事な個人的なお話をさせていただきたく、この場に二人きりにさせていただきました。」
「・・・どういうことだ?」
「お分かりのくせに。私の気持ちは何度もお伝えしたはずです。」
「その話なら、既に決着させただろう。私は貴国には行けない。王宮に入るまでもなく、私はこの地を離れない。」
「いえ、そのことなら大丈夫です。」
「は?」
「オーブ代表は世襲制ではないと聞きました。つまりは貴女がこの国を離れても、別の代表が立てばいいだけの事。セイラン家は無くなりましたが、それでもまだサハク家やマイリ家がございましょう。貴女は女性として自分の幸せのために生きるべきです。」
「馬鹿を言うな。代表首長となった日から、私はこの国のために生きると決めている!だからあの時―・・・」
(指輪を外したのに・・・)
カガリの瞳が歪む。
(大好きな人を裏切ってまで結婚しようとして、そこまでした私に、彼の想いを受け取る資格はないと、指輪を外したんだ!彼への決意表明でもあり、裏切った私の覚悟を彼に見せたかったんだ。だけど・・・アイツは・・・またここに戻ってきて、私の傍で・・・)
カガリが俯く。そして一粒、また一粒とバルコニーの大理石に、水の玉がはじけ飛ぶ。
レ「なんてことっ!(悲)切ないっ、切なすぎるわカガリたん!!(ノД`)・゜・。」
息子「……彼女を勝手に泣かせるなんてあのクソ野郎。泣かせていいのは夜のベッドの上だけだ!」
レ「おぉっと、息子ちゃんからどさくさに紛れてRがお仕事始めてくれそうな発言がっ!(゚Д゚;)でもここは聞き流しておいて、後で尋問するわ!」
(アイツはもう私に捕らわれちゃいけない。アイツからは十分に想いをもらった。ここまで愛して貰えてもう十分だ。だからと言って他の男の下になど行くわけあるか!私は―――!)
何かに気づいたように、カガリがハッと顔を上げる。
「私は・・・アイツの事、まだ・・・」
「アスハさま?一体如何なされて―――」
王太子がカガリに手を伸ばそうとするその瞬間
レ「そこだっ!今こそいけぇえええええええっ!!(*ノ>ω<)ノ v」
息子「殺れ。手加減なんかするんじゃない」
レ「息子よ、そっち!?(゚Д゚;)」
息子「母上こそ、他に何かあるとでも?」
カガリの背中に何かが触れる。
大きく覗いたドレスの背中に感じる体温。忘れるわけがない。何度も抱きしめあった、あの体温だ。
「何だね、君は!?」
慌てる王太子に、ようやくカガリがハッとする。
見上げれば、背後からすっぽりと彼女の体をくるむ様に抱きしめた彼。
「大変失礼しました。しかし、こういう場面で当事者を外して話し込まれても、代表・・・いえ『私の彼女』を困らせるだけですので、控えていただければと思いまして。」
レ「やったぁああああああああああああああ(ノ≧▽≦)ノV」←ムルタ(笑)
息子「よし」
「き、き、きみは―――」
「申し遅れました。私は『アスラン・ザラ』。アスハ代表、いえカガリの婚約者です。」
レ「言ったぁああああああああああああああ(ノ≧▽≦)ノVV]」
息子「当然だ。消えろ、雑魚」
「「は!?」」
奇しくも二人の「「は?」」が同時に重なった。
「お、お、お前っ、な、な、何言って///」
もはやゆでだこ状態で顔が真っ赤なカガリ。すっかりパニックになっているであろう、その顔を片手で包み込み、そっと耳元で囁く。
「大丈夫だ。俺が全て責任を持つ。」
レ「せ、せ、せきに―――きゃぁあああああああああああああああvv(/ω\*)」
息子「母上、今見とかないで何を見るんですか?そんなところで照れていても何もいいことありませんよ?(母の後ろで記念の写メと動画を撮影中)」
「は、は、はぁ!?///」
だが彼はひるまない。視線は王太子に向けたまま、彼女のすっかり上気した頬に、あろうことか人前で堂々と唇を落とした。
「こういうことです、殿下。全ては公になる前でしたので、報告が遅くなり大変申し訳ありませんが、彼女を譲る訳にはまいりません。」
「ザラ!あ、あのパトリック・サラの息子!ならば君はコーディネーターだろう!ナチュラルの彼女との間に子も成すことも難しい2世代目じゃないか!」
「おや、今殿下も申し上げられたでしょう。「オーブは世襲制ではない」と。ならばそこを突かれたところで、こちらとしては痛くもかゆくもありません。ですが―――」
アスランが翡翠を鋭くする。まるで強き獣の眼光にも似たそれに、温室育ちの王太子など敵うはずもない。「ひっ!」という驚きと共に息をのむ。
「私の彼女に、こんな涙を流させるような男は俺が許さない。」
レ「言いましたっ!何度もカガリたんを泣かせて来た男が、自分を棚に上げて言い切りましたっ!!」
息子「それでこそ二度の脱走及び大量の規律違反、そしてトドメの国を裏切っての亡命を果たした男。過去なんて切り捨ててなんぼです。命より大切な彼女を自分だけシートベルトしてザクのコックピットに立たせておいて、まさかの流血頭ぐるぐる巻きの包帯状況に陥らせた挙句、敵戦艦に救助されるなどと言う大惨事に一国の代表を遭わせておいて、けろっと帰国した鉄のメンタルを舐めて貰っては困ります」
国や立場など関係ない。こんなに互いに欲しがっていると知りながら、むざむざ手をこまねいていたなんて、知略も何も関係ない。建前だけで生きてその分苦しみと後悔しかない人生を送るより、二人手を取って逃げ延びるほうが、余程幸せな人生だ。
アスランの覚悟の眼差しに、王太子は逃げるようにその場を去った。
「あ、アスラン!いいからまずはこの手を放せ!///」
「嫌だ。そうすると君が逃げるのは目に見えている。何しろ俺の目を盗んで逃げようとするのは、無人島で初めて出会ったときから学習済みだ。」
「逃げない!絶対逃げないから!」
「・・・本当に?」
「や、約束するっ!///」
「じゃぁ・・・」
そう言ってアスランの腕が緩んだ。
(隙あり!)とこの一瞬、苦れようとしたカガリだが、緩ませたのはアスランがカガリの向きを変えるため。見事にクルリと腕の中で身を回されたと思うと
「―――っ!」
右腕でガッチリホールドされたままの腰、そして左手で再びカガリの頬を捕らえるとそのまま唇が重ねられた。
レ「何と!そのまま姫様の唇を奪いに行ったーーーーーっ!!けしからん!非常にけしからん奴です!アスラン・ザラっ!」
息子「ちっ。何だここまで待たせておいて、今回はまさかのキスだけか。さては母上の編集の都合だな?普通ここまで来たら問答無用でR18展開一択だろう」
レ「ん〜〜〜今なんか聞こえた気がするけど、「 (∩゚д゚)アーアーキコエナーイ」
まるでダンスの最中のようなワンシーン。彼からの戒め。
一度目は縄で、二度目は指輪で、そして三度目は・・・揺るぎない愛で
「もう君を二度と離さない。俺と結婚してください。カガリ。」
レ「遂に・・・遂にやったわよ、息子ちゃん!!(ノД`)・゜・。感涙」
息子「ですね。じゃあこのあとは、母上のオフ本の方に移動して詳細なR18展開を」
レ「(∩゚д゚)アーアーキコエナーイキコエナーイ」
頭の中が滅茶苦茶だ!
そのどさくさに紛れて、お前というやつは〜〜〜〜!!
でも
でもそれが「アスラン・ザラ」なんだ。
みんな頭がいいとか、大人びてるとか、ずっと誉め言葉しか彼を飾ってこなかったけど
私が知っているアスランは、ハツカネズミで、いきなりで、感情高ぶらせるし、
それが私の好きな、世界でたった一人の大切な人
「お前・・・後悔しても知らないぞ…?///」
「君と出会えなかった人生ほど後悔なんてないよ。俺の身を心を救ってくれたのは、君一人だから。」
髪を撫ぜ、頬を優しく包む彼。カガリは涙を誤魔化すようにして、その胸に飛び込む。
柔らかな金糸に幾度となく唇を寄せて、アスランはもう一度囁いた。
「カガリに会えて、よかった…」
<(多分)第52章(くらい) 終了>
レ「(*T0T)ノシパチパチ おめでとう・・・本当におめでとう!アスカガ最高!!」
息子「おめでとうございます。幾久しくお幸せに」
***
レ「何と、ナイスな展開のシーンだったわね!お母さん、感激☆(´∀`人*)ウフフ さて、この後の展開だけど…やはりこうなると次は我々の居城『アスハ家寝室』が断然現実味を増してきた気がするのだけど、その辺どうなのかしら!?息子ちゃん」
息子「皆様のいや増す期待は母上のお力でどうにかして差し上げてください。もちろん消化不良とかそう言うのは皆様の身心のためによろしくありませんので、きっちりと気持ちよく昇華して頂く方向で。俺は今から中断してきた仕事に戻らないといけませんので、残念ですがお手伝いはできかねます。あと帰って妻に色々言い訳をしておかないと。急に連絡取れなくなると不機嫌になるんです。何かほら、過去やらかしたあれこれが思い出されるらしくって。では。母上、次のお盆に!」
レ「あっ!まぁ、この子ったら後を追いかけてこないように塩撒いて行くなんて!そんな子に育てた覚えはないわよっ!…わかったわ。ここはやっぱり夏に発生するという『L様』にお任せしようと思うわ♪ということで、次回はBlank恒例、「真夏のエターナルルーム?」にてL様を解説にお迎えしようと思います!―――では、ここまで読んじゃったことを後悔している皆様、ごきげんよう♪( ゚ω^ )b」
―――to be Continued・・・?←(ヾノ・∀・`)ナイナイ