副会長の大切な『お仕事』 vol.1
5月―――
新緑の香りを纏った、柔らかな風が流れる季節。
「うわぁ…やっぱ気持ちいいなぁ…」
窓辺の傍の机の上に座った少女が、眩しさを取り戻した初夏の青空を見上げる。
「…もう衣替えしてもいいよなぁ〜…5月に『ブレザーにネクタイ』って暑すぎるんだよ…。」
そう言って少女はおもむろに濃紺のブレザーを脱ぐと、長袖のシャツの腕まくりをし、校章の入った深緑色のネクタイを緩める。
その少女の柔らかな金の髪を、白いうなじを撫ぜるようにして流れていくことが出来るのは、この季節の風の特権だ。
少女の髪をいたずらに弄ぶようにして触れていく。
無邪気に少女に触れる風にはなんの敵意も無いが、何故か対抗意識を燃やすものも居るようだ。
「カガリ、後輩も来るんだから、机に座らずちゃんと椅子に座って。」
机の上の書類に目を通したままの姿勢で、後にいる少女にそっと注意を促す。
いや…むしろ爽やかな風の誘惑から、少女を連れ戻そうとするかのように。
「はー…。少しくらい外の空気吸うのも大事なことだ。下ばっか見てたら、頭が酸欠になる上にカビ生えるぞ!」
「こうしていても充分外の風が入ってくるから大丈夫だ。…ほら、これ、何時ものファイル整理しておいてくれ。」
「…はーい。了解しました。『会長さま』っ!」
そう言って、多少むくれながら金髪の少女――『カガリ・ユラ・アスハ』はフワリとチェック柄の膝上丈のスカートを翻し、しなやかな細い足で<ストン!>と降りると、『会長』―――アスランの机の横に座り、手渡された書類の束をナンバリングしていく。
ここは『私立ヘリオポリス学園・高等部』。
その4階建て校舎の一つ、広い校庭に面した南側校舎の最上階の真ん中にある『生徒会室』。
ここでは『文化祭』や『体育祭』、『新入生歓迎会』や『卒業生の壮行会』をはじめ、様々な『生徒会行事』を一手に取り扱い、更に日々の学園生活面での向上を図る為に存在する、この学校で最も権威のある団体――『生徒会役員』が集まっている。
今年の『生徒会』は過去の生徒会以上に、学園においての組織的な実力も大きく、教師達からも強い信頼を得ている。
特に『生徒会』の長であり、この学園をまとめる『生徒会長』の3年生『アスラン・ザラ』―――勉強は履修するすべての成績も良く、運動面でも右に出るもの無し。オマケに顔もスタイルも良し。あまりしゃべりもしないクールさ。まさに『眉目秀麗』・『品行方正』の看板を背負って歩いているようなものだ。
そんな彼が、ふと緊張の解けたように深緑のネクタイを緩める仕草だけで、女生徒の黄色い声が乱れ飛ぶ。
彼が昨年秋『生徒会長』に当選した時は、彼会いたさゆえに、3学期の学級委員に立候補した女子生徒が後を断たず、殆どのクラスで、学級委員選挙が行われたという伝説まで作っている。
ただでさえ成績・容姿とも秀でているのに、これで女子生徒のハートも(本人には全くその気はないけれど)鷲掴みされれば、他の男子生徒からは総スカンを喰う―――はず・・・だ。
だが不思議な事に、多少のやっかみはあるにしても、アスランと他の男子生徒との間に大きな衝突や亀裂が起きることがない。
というのも・・・
「失礼します。あの…『吹奏楽部』の『昨年度決算』と『今年度の予算案』を持ってきたんですが。」
放課後の生徒会室のドアを<カラカラ…>と静かに開け、そっとグリーンの髪が覗かせる。
「あ!ありがとな!!こっちに持ってきてくれ!」
満面の笑みで迎えてくれるカガリが「こっち!」と手招きする。
「お前、見たことないけど…何年生だ?」
「えっと。2年生です。2年D組『ニコル・アマルフィー』といいます。」
「凄いな。2年生になったばっかりで、こんな会計報告ちゃんと纏め上げてくるんだから!」
パラパラとニコルの出した報告書を見ながら、感嘆の声をあげるカガリ。その姿は偽り無く、純粋に心から感心していることが、ニコルにも充分感じとれた。
「ありがとうございます!副会長さんにそう言っていただけて、僕も安心しました。」
緊張が解けたように笑顔を見せるニコルに、カガリも満面の笑みで答えると、直ぐ隣のアスランの頭を<ポンポン>と叩く。
「ほら、アスラン! 可愛い後輩が持ってきてくれたんだから、一言礼くらい言えよな!」
「あぁ。すまないな。ありがとう。」
「そうじゃなくって、もっと他に言うことあるだろう!? お前頭よくっても、会話のボキャブラリー少なすぎだぞ!? そっち勉強したほうがいいんじゃないか?」
あのアスランを目の前で堂々とこずく。ニコルの目の前にいるのは、あの『アスラン・ザラ』ではなく、普通の何処にでもいるような男子学生の姿そのものだ。副会長に目の前で指導を受けている姿は、とてもあの『完璧な生徒会長』とは思えない。
「…クスクス…」
思わず二人のやりとりに笑いを零す。そんなニコルの笑みに、カガリのヘッドロックを喰らっていたアスランも、していたカガリもキョトンとニコルを見つめる。途端にニコルは慌てた顔になり、両手を振って言い訳する。
「あ、あ、いえ、すいません!その…会長って『怖い方』だって聞いていたので…なんか印象違っちゃって…でも凄く嬉しいです!お話できて!」
そんなニコルにニコッと笑みで返すと、カガリは言った。
「大丈夫だ!コイツ『とって喰う』様なことはしないから、安全だぞ!」
「…全く…俺は珍獣か…?」
「似たようなもんだろ。」
落ち込んだようなアスランと、テンポある会話で雰囲気を明るく変えるカガリ。
そんな二人に礼儀正しく「ありがとうございました。」と礼を取り、挨拶をすると、ニコルは足も軽やかに『音楽室』へと向った。
そう―――終始こんな状態だからか、『完璧な生徒会長――アスラン・ザラ』のイメージが覆されるのだ。近寄りがたい『生徒会長』が、自分達となんら変わりない、『一男子生徒』だと気付くと、自然と高い垣根を崩してしまえる。そして誰もが自然とアスランに近づけるのだ。
アスランが『普通の生徒』で、怖いどころか誰より優しい人だということは、カガリは何より知っている。
いや…カガリだけでなく、この生徒会役員…そして彼と知り合ったすべての生徒が知っているのだ。
* * *
放課後の『生徒会室』は、何時もに比べて忙しく人の出入りが多い。
5月の最後、中間テスト終了後の次の日に行われる『生徒総会』の準備に向けて、生徒会役員は総出で仕事を行っている。
『生徒総会』―――簡単に言えば、各部活動や委員会で昨年度に使われた生徒会費の会計報告と、今年度分の必要予算を全生徒の前で報告し、使途不明金を無くし、必要予算をこれだけ要求しているが、妥当かどうかを採決する、という国会であれば『予算案報告』みたいなものだ。
当然報告書が不明瞭であれば、再度記載を促し、提出を怠れば予算が下りない――という、ある意味生徒たちには死活問題になる訳だ。特に今年の生徒会長はあのアスラン・ザラだ。なぁなぁで行われてきた前回と違い、寸分の狂いや誤算も見抜いてしまうだろう。
<コンコン、>というドアのノックの音がすれば、生徒会室にまた一人、報告書での来室者。
「すいません。『文芸部』部長のサイです。記入表持って来ました。」
「あ!サイ、ありがとう!大丈夫だよ。今年は『セーフ』だったね!」
「去年はギリギリまで先輩が出さなかったからなぁ…」
そう言って笑い合うのは『文芸部』の『サイ・アーガイル』と生徒会会計の『キラ・ヤマト』。同じクラスの友人同士。
そこへ更に
「アスラン!貴様ぁーーーっ! この俺が練りあげた一部のミスも無い『企画書』を突っ返すとは何事だ!?」
思いっきりドアを<ピシャン!>と開け放して、サラサラの銀髪をなびかせながら肩を怒らせて入ってきたのは、アスランやカガリ達と同じ3年生の『イザーク・ジュール』。
「…どうもこうも無い。お前の所属する『文化祭実行委員会』と『民俗学研究部』の予算がゴチャゴチャになっていたからだ。これじゃ『お前の部活の為の文化祭』にしかみえないからだ。」
「何ぃ!?お前の目は節穴か!!もう一度よく見てみろ!」
「何度見ても同じだ。」
「うるさいっ!貴様にはこの計画書の素晴らしさが判らんのか!?」
確かにイザークは勉強もできる秀才だ。だがこの学園に入学する時から…言ってしまえば入学試験のときからアスランに勝った事は一度もない。更に加えて『生徒会長』に立候補したにも拘らず、アッサリとその座を奪われてしまった為、アスランに対しては、いつも激しいライバル心剥き出しである。
…もっとも…アスランのほうは、なんとも思っていないので、喧嘩はイザークの気のすむまで続くわけだ。
そんな二人の様子を苦笑しながら見ていたカガリの目に、イザークの開け放ったドアからコッソリ、小さな金髪がチョコリと覗き込んでいる。
「…お前、何か用事だったら入って来いよ。大丈夫!ここの二人は気にしなくていいから。」
カガリがドアの向こうに声をかけると、ソロソロと金髪の少女が顔を出す。
「…えと…ステラ…頼まれたから…これ…」
「あ、決算と予算書だな!ありがとな!」
笑顔でステラに声をかけるカガリ。だがステラはオズオズと入ってくるが、手には何も持っていない。
「ん?予算書じゃないのか?」
そういうカガリの耳に、全速力で階段を駆け上ってくる音―――
「ステラぁーー!…ハァハァ…ダメだろ…ハァハァ…大切なもの…ハァハァ…落としたら。」
「…?…!シン!」
ステラが嬉しそうな声をあげる。
「はいっ!野球部の書類!…ったく、アスハのところになんか来たくなかったけどさ。しょうがないから来てやったんだからな!」
「はぁ〜…まだ因縁持ってるのかよ…。もういいだろ?」
2年生の『シン・アスカ』は中学3年生の時、野球部のエースだった。だが、たまたま冗談でバッターボックスに入ったカガリにホームランを見事に打たれて以来、カガリには敵意をむき出しにしている。
「アンタには絶対負けないからなっ!」
そういって、どうやら野球部のマネージャーらしいステラをつれて、シンはグランドに戻っていった。
「いい加減、大人になれないのかな・・・アイツ・・・」
そういって頭を掻くカガリの耳にはまた一人―――
「ちゃーす!持ってきてやったぜ!ほら、コレコレv」
そう言って生徒会室のドアを勢いよく開けて入ってきたのは、『サッカー部』のキャプテン3年生の『ディアッカ・エルスマン』。
「部長自らとは感心だな!おーい。そんなところで報告書ヒラヒラさせてないで、こっち持ってきてくれ!」
そう声をかけるカガリも眼中に無く、ディアッカはキョロキョロと生徒会室内を見渡す。
その時
「ようやく手に入ったわよ。印刷用の再生紙。まったく…こんな重いの持たされるなら、キラに行ってもらえばよかった。」
「フゥー」とダンボールを抱えて戻ってきたのは、生徒会会計監査の『ミリアリア・ハゥ』。
「なんだよ〜。俺に一言言ってもらえれば、ちゃんと手伝いに行ったのに〜…」
先ほどの不躾から180°声色のかわった猫なで声。ディアッカの目的はやはりミリィだったらしい。
「…何で私がわざわざ遠回りして、アンタのいる校庭まで頼みに行かなきゃならないのよ…。」
シレっと冷たい視線を向けるが、ディアッカはひるまない。だがまたもや扉が勢いよく開き―――
「よっ!ミリィ!『バレーボール部』の提出物持って来たぜv…って、なんだよお前…」
飛びぬけた明るい声が一転、威嚇するような声色に変わったのは、ミリアリアと同じ3年B組の『トール・ケーニヒ』。
「さっきから副会長が直々にお呼びなんだから、ありがた〜く行ってくれば?『年中日焼け男』##」
「あー、お前もさっさと渡してさっさと体育館に戻ったらどうだ?この『色白モヤシ男』##」
にらみ合ったまま、くどくど罵りあう二人に
「どっちもさっさと出ていって!何時までもいたら、こっちが片付かないの!」
そう言いきって、二人を廊下に追いやると、ミリィは思いっきり<ピシャン!>とドアを閉めた。
「はぁ〜…全くアイツらは…」
肩で溜息をつくミリィ。と、そこに
「あらあら…折角『対決シーン』が見られましたのに…。」
そう声をかけるのは、書記の『ラクス・クライン』
「冗談やめてよ、ラクス…これでも結構疲れるんだから…。」
やれやれ、と首を振るミリィ。だがラクスはもっとからかいたいようだ。
「ミリアリアさんは男子に人気がありますのよv 羨ましい限りですわv」
「そういうラクスだって、『コーラス部』の花形じゃない。『全国合唱コンクール』に花束持った男の人が詰め掛けた―――って有名な話よ。」
「あらあら。どなたかしら? そんなことがありましたら、音楽室にそのお花、飾れましたのにv」
ミリィの攻撃をサラリとかわすと、ラクスはまた手早くパソコンのキーボードを叩き、資料の制作に戻った。
* * *
提出物のナンバリングを終え、「う〜〜〜ん!」と背伸びをすると、カガリは「そうだ!」と思い出したように鞄からゴソゴソと何かを取り出す。
と、出てきたのは―――『菓子パン』
「みんな、食べるか? 腹減ってるだろ? 今日購買部のバルトフェルドの入れたコーヒーを我慢して飲んだらオマケに『焼きそばパン』くれたんだ!」
そう言いながら、テトラパックの牛乳を取り出し、『ミルクボール』のビニールを破くと早速噛り付く。
「ん〜〜〜vv 美味〜〜〜〜い♪」
満面の笑みのカガリに、アスランが呆気にとられるようにして呟く。
「お前…昼ごはん、ちゃんと食べたのか?」
「うん!だけど今日は生徒会のほうに出るから、『バスケ部』の練習放課後できないから、昼休みにやってたんだ。だからもうおなか減っちゃって!」
そんなカガリの幸せそうな横顔に、思わず呟く女子二人。
「いいなぁ…カガリ全然太らないもんね。私なんか、食べたら一発で『アウト!』だわ。」
「私もですわ。」
「僕も、今日はそんなにお腹へってないから、カガリ食べなよ。」
キラがそう締めくくると、カガリは「じゃ、遠慮なく♪」と2個目の菓子パンを手に取った。
満足そうなカガリの表情を見て、その場の皆がそっと微笑み返すと、またそれぞれの作業に戻った。
パックのミルクが空になりそうになった頃、それまで満足げだったカガリが急に周囲の雰囲気に違和感を感じた。
(みんな…忙しく作業してる…)
なのに自分はろくに作業もしないで、こうして一人のんびりと菓子パンなんかを齧ってる。
誰も休憩を取らずに忙しく動いているのに…
自分一人だけが、中に浮いているような不安感。時々湧き上がってくる焦燥感。
生徒会室は居心地が良くて楽しい場所だ。
生徒会メンバーも楽しくて、いい友達だと思う。
でも…
時々疑問が浮ぶのだ。
―――私は、何の役になっているんだろう?
そう、例えばこの『生徒総会』の準備だって、提出物の書面はアスランが目を通し、既定に沿っていれば決算を会計のキラと監査のミリアリアに回し、そこで収支がとおれば書記のラクスが綺麗に資料を打ち直して終了となる。
それに比べて、自分は何をしているのだろう?
やっている事といえば、アスランがくれる簡単なハンコ押しだったり、ホチキス止めだったりと、労力も頭も使わなくていい仕事ばかりだ。
逆にいえば、自分一人が居ようと居なかろうと、ちゃんと運営できている―――ということだ。
というかその前に、なんで自分は『副会長』なんて引き受けたんだろう?
事の起こりは昨年11月の『生徒会役員選挙』―――
前年度『生徒会長』だった『ミゲル・アイマン』が直々にカガリに頼みに来たのだ。
―――「頼むから、『生徒会副会長』に立候補してくれないか?」
当然カガリにとっては寝耳に水な出来事だった。
―――「でも、私は『バスケ部』で…その…レギュラーになったし…生徒会とかだと練習できなくなるし…、って大体なんで私みたいなのが『副会長』
なんかに? 2年F組の『イザーク・ジュール』なんか、やりたがってたし。もっと向いてる人がいっぱいいるんじゃ―――」
―――「いや、君でないとダメなんだ!」
―――「は…?」
突然のミゲル先輩の強い口調に押され、カガリが一瞬怯む。
―――「いや…その…我々が後任として押してるヤツがいるんだけど…そいつが「君と一緒ならいい」というんで…」
奥歯に物の挟まったような口調のミゲル。
何故次期会長が自分を指名したのか判らない。『女子バスケ部』の『キャプテン』を押されたときも、適任ではないからと辞退したところだ。自分がその器かどうかは自分自身よく判っている。
―――(でも…)
みんなをまとめるのは大変だ。その人数が多ければ多いほど。それはバスケをやってるときも感じる。
全校生徒をまとめる仕事。そいつ…大変だろうな。…私なんかで助けになるんだったら、頑張ってみようか…な?
考えを決めたカガリがミゲル先輩に報告すると、先輩は土下座するようにして礼を言った。
―――「大丈夫。君が部活でるのに差し障りないように、彼には言っておくから! あと、難しい仕事とか時間がかかるものとかは免除してもらえるよ
うに。それくらいの交換条件が無ければ、『副会長』は引き受けない!――って言っておくから!」
そして迎えた『生徒会選挙』
会長の座を、万条一致で引き受けたのは、友達の『アスラン』だった。
* * *
アスランとカガリはこの学園の中等部で初めて出会った。
アスランをカガリに紹介したのは、カガリの弟『キラ・ヤマト』。
キラとカガリは双子の兄弟だが、両親を早くに亡くした二人は、別々の親戚に引きとたれた。
キラは小学校でアスランと友達になり、カガリと一緒に居たいが為に、中学では公立に行かず、この私立の『ヘリオポリス学園』に入学したのだった。
アスランも同様にこの学園に入学したが、その時幼馴染の『ラクス・クライン』も入学し、4人は直ぐに仲良くなった。そして高等部で『ミリアリア・ハゥ』と出会い、こうして仲のよい、気心知れた友人同士で生徒会を運営することになったのだ。
しかし、カガリは初めて生徒会の引継ぎで、この活動の大変さと大切さが判った。
クラスや委員会を通じて行う生徒会活動。これだけの行事を敢行するには、それ相応の時間を割くことになるだろう。
ふと所属している『バスケ部』の事を思い出した。この秋には新人戦で地区対抗戦を勝ち上がり、本大会予選第2位までの成績をおさめた。
(これで、生徒会の活動を入れたら…練習、どのくらい削られるだろう…?)
個人なら時間の空いた時を使って、練習すればよいが、バスケットはチーム戦だ。チームメイトとの連携を組む練習をしなければ、一人際立った上手さがあっても、何の意味もなさない。
俯き、考えるカガリに、そっと声をかけたのは、アスラン。
―――「大丈夫。カガリに負担かけさせないから…。」
そういって、何時ものとおり穏やかに微笑むと、アスランは全員の前で、『副会長、カガリ・ユラ・アスハ』の担当について宣言した。
―――「彼女の存在は生徒会だけでなく、バスケット部にも欠かせない存在だ。ましてや今優勝も狙えるバスケ部が勝ち進めば、この『ヘリオポリス
学園』も更に他の生徒達にも励みになり、活気が出ることになるだろう。そこで、生徒会行事が忙しくない期間は週に1回。そして生徒会の
活動が忙しくなる時は週に3回。放課後に生徒会活動を行う事にしてやりたい。ただ、これは俺の我儘だ…。カガリの分は俺が引き受けるか
ら…。」
そういって皆の頭を下げるアスランに、カガリは涙ながらにアスランを引き止めた。
―――「いいよ!そんなことしないでくれ!私、ちゃんと出るから!引き受けたときに決めてたんだから!」
だが、そこにおりてきた言葉は
―――「うん!大変なところはみんなで補うから大丈夫だよ!」
―――「そうですわ。部活も生徒会と同じく、大切なものですわ。」
―――「カガリの『大切なもの』奪う事はしないから、安心して、バスケ頑張って!」
そう言ってくれたのは、キラ、ラクス、ミリアリア…。
大切な…大切な友達。
―――「みんな、ありがとう…。私も出来る事は頑張ってやるから!」
そう・・・あの日、そう誓ったんだ。
だけど今周りを見回して思う。
「…私って…本当に役に立っているのか…?」
そう思うと、生徒会室の椅子が、チョッピリすわり心地が悪くなった。
・・・to be Continued.
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<Namiの用語解説>
初の学パロにチャレンジ中です! しかし何せNamiが高校卒業したのなんて、相当前の出来事ですから、今高校に行かれている方や卒業したばかりの方には意味不明の単語がやたら出てくると思います。
なので、小さく解説入れてみました。(その若さで判る人は凄い人だ:笑)
生徒総会:これってNamiの通ってた高校だけのオリジナルかも。大体5月頃にこんな風に『生徒会費予算』の収入収出を全校生徒の前で報告する集会があったんですよ。部活は大体部の責任で部費を集めていたんで、こんなに登場しなかったですね(笑)多かったのは『文化祭実行委員会』。イザークさんがやりそうな委員会がガッポリ持っていくのが普通でした(笑)
印刷用の再生紙:最近PCが導入されてる学校が多いから、きっとこういうの使ってるんじゃないかと(苦笑)当然、Namiの時代にはそんなものありませんでした(哀)(MS−DOSでしたから。Winじゃなくて)
購買部:って今もあるかしら?私立とかはないかもね。公立の高校は大概ありました。購買部のオバチャンと仲よくしておくと、結構人気の菓子パンとって置いてくれるんですよ(笑)
テトラパックの牛乳:これ、Namiも実物は見たことないんですよ(苦笑) 三角錐方の紙パックらしいです。知らないのなら出さなきゃいいのに、某GW同人誌で、身長が低いヒ○ロにデ○オが「これ飲めばでかくなるぜ!」とひたすら飲ませてるマンガが面白かったので、そこから拝借しました(なんつー出所)
ミルクボール:Namiさんが高校の購買部の中で大好きだった『菓子パン』。ソフトボールくらいのフランスパンの中に、カスタードクリームが入っていて美味しかったv一個¥70。今はもう見かけないですね…(寂しい…)
生徒会選挙:今はどんな風なんだろ?Namiが学生の頃はだれ〜も立候補者が無くって、冷め切ってましたね。とりあえず生徒会の先輩が引き抜いてきて説得して、形なりの次期生徒会役員を苦労して集めてました。
>さぁ!そんな訳で見事『999999』&『1000000』のキリ番を取られました、白夜桜江様からのリクエストで「学パロで、生徒会会長アスラン&副会長カガリでお願いします」ということで、初の『学パロ』にチャレンジです!
何せNamiの記憶の中の高校時代は相当昔の事なので、今時古いのもありますが、その辺は見なかったことにしていただければ幸いです(苦笑)
それにしても…イントロだけでこの多さ…(-_-;) 本当は『男子バスケ部』のスティングとアウルとか出てくるはずだったんですが、長すぎてカット^^; それでも詰めすぎで長編になりつつある予感が…(汗っ!
宜しければ最後までお付き合いくださいm(__)m