『CAGALLI』 ― 3rd.Tradition.―

 

 

 

幾人もの街人がにぎわい、多くの立派な建築物が、立ち並ぶ・・・。

 

―――此処は『オーブ王国』の首都―――『カグヤ』―――

 

その中央にそびえる、大きな白亜の『王城』に向かって、銀の鎧に、濃紺の髪を靡かせた青年が、真っ直ぐ『王城』に向かって、白馬を走らせていた。

 

それを見た門番が、大声をあげる。

「開門! 開門――――っ!」

その声とともに、大きな城門が開かれると、白馬の騎士はその中に吸い込まれるように入っていった。

 

青年が馬を止めると、直ぐに鎧をつけた騎士と、上等な揃いの服を着込んだ者達が青年の回りに集まり、一斉に礼をとる。

 

「お帰りなさいませ! 国王陛下!」

 

「あぁ。」

濃紺の髪の青年が、そう言いながら、愛馬から下りると、待っていた『馬番』が白馬を厩舎に連れて行く。

 



「変わりはないか?」

「はっ! 城下は特に異変はありません!」

「そうか…」



青年が鎧を外しながら、従者の答えに頷くと、敬礼をしていたサラリとした銀髪が際立つ、鎧をつけたままの青年に向かって告げた。

「イザーク。今、王城に残っている『魔導騎士団』の『大隊長』クラスの隊長の皆を、『会議の間』に集めてくれ。」

「はっ!」

『イザーク』と呼ばれた、その銀髪の騎士は、敬礼すると、城内に走り去った。

 

 

*         *         *

 

 

着替えを済ませた、先ほど『国王陛下』と呼ばれた濃紺の髪の青年が、『会議の間』に入ると、鎧をつけたままの青年が3人、椅子から立ち上がり、敬礼する。

「…皆、座ってくれ。」

 


『国王陛下』の声に、皆が座ると、先ほどの銀髪の青年が、呟いた。


「さて…と…」

銀髪の青年は立ち上がると、口調も強く、若き『国王』に向かっていい放った。

「貴様ぁ! この大変な時に、一体何処をうろついていたんだ!? アスラン!」

「やめてください! イザーク! 陛下にその様な暴言は―――」

3人の中でも、まだ幼さが目立つ、緑の髪の少年が懸命にその場を納めようとする。

「…ほっとけよ、ニコル。」

ニコル――と呼ばれた、その若い騎士に、よく日焼けした肌が目立つ青年が、のんびりと声をかける。

「でも、ディアッカ!―――」

ニコルにそう呼ばれた青年は、アスランとイザークのやり取りを、面白そうに見守りながら言った。

「何時もの『お約束』だからな。・・・確かにアスランは『国王』だが、イザークや俺たちと同様、一緒に『魔導』の訓練を受けた仲だ。あーいった『やり取り』が、何時もの『コミュニケーション』なんだから・・・。」

 

 

 





イザークの激高をひとしきり聞いたあと、上手の椅子に座ったアスランが話し出した。

「確かに・・・俺はこの国の公務も取り仕切らねばならないが、それ以上に今は、一人でも多くの『魔導騎士』が必要だ・・・。此処最近の『魔族』の横行が激しくなっている事は、皆も知っているだろう。」

アスランの言葉に、皆が頷く。

 

アスランが、イザークに視線を向けると、イザークは頷き、一枚の大きな『地図』を張り出しながら、説明し始めた。

「これは、我が『オーブ王国』の地図だが、3ヶ月前から『魔族』の出現したポイントに、印をつけている。3ヶ月前が『赤』、2ヶ月前が『青』、一ヶ月前が『緑』。そして――今現在が『黒』だ。」

イザークの張り出した地図に、ニコルが呟く。

「明らかに、出現率が増えていますね。」

「一度襲われた、村や街には、『魔族』を狩った後、『護符』をつけて、『結界』を張っているが、中には、更に強力な力を持った『魔族』が再び現れて、『結界』を破り、襲っているところもあるぜ・・・。」

ディアッカが、地図を見ながら、溜息混じりに話す。

 

「これでは、幾ら『魔導騎士』とはいえ、増えていく『魔族』の横行に、対抗しきれないぞ。何しろ、『魔法』を使えば肉体的・精神的にも疲労がたまる。・・・そこに新たな出撃要請が下れば、回復も心もとないまま、出撃するしかない。」

 

イザークの言葉に、アスランがポツリと呟く。

「・・・やはり、我が国に代々伝わる『聖典』の『予言』の通り・・・か。」

アスランの言葉に、皆が顔をこわばらせる。

 

 



         『聖典』――『オーブ王国』に伝わる、『予言の書』

 

          そこには『千年に一度、『魔界の扉』が開かれ、多くの民を襲い、国を焼き払うだろう』と記されている。

 

 

「・・・『その時』が事実ならば・・・『日が陰り、大いなる天の明かり消える時』に出現する・・・とあるが、解釈するとこれは恐らく『皆既日食』の起きる時だと思う・・・。ニコル。次の『皆既日食』が起きるとしたら、残された時間は―――」

「あと、約『2ヶ月』程です。」

ニコルの言葉に、ディアッカが溜息をつく。

「どーするんだよ・・・。今からこれだけ『魔族』がいるのに、あと『2ヶ月』たったら・・・この『地図』――印で『真っ黒』じゃ収まらないぜ。」

 

 

事のやりとりを聞いていたアスランが、ふと皆に尋ねた。

「・・・皆・・・この『地図』で、『変わったこと』があることに気付かないか?」

「・・・?」

アスランの言葉に、3人が地図を見る。だが、帰ってきた返事はアスランの思考に届く答えはなかった。

 

「『変わった事』って・・・ここ『カグヤ』だけは印がないこと以外は、変わりないと思いますが・・・。」

ニコルの答えに、イザーク、ディアッカも頷く。

「確かに。此処『カグヤ』は城下共々『強い結界』に守られているからな。この『城』が中枢となって。」

イザークの自信に溢れた言葉に、アスランは地図の前に立つと、そっと『一箇所』に指をさす。

それを見た3人は、ハッと息を飲む。

アスランの指さした、その『一箇所』には、全く『印』がついていなかった。

   

「此処は『オノゴロ』という小さな村だが・・・今日、俺はそこを通った。そこで一人の村娘と話をしたが、『今まで一回も『魔族』に襲われたことがない』と言っていた。」

「何だと!? これだけ『魔族』が横行している、というのにか!?」

イザークをはじめ、ディアッカ、ニコルも驚きを隠せないでいる。

 


アスランは、尚も続けた。

「・・・もし、この村に『何か魔族を寄せ付けない物』があるとしたら・・・それは大いなる『力』になるかもしれない。・・・俺はこの村を調べる。皆は済まないが、国内の『魔族狩り』をそのまま続けてくれ。」

 

 

アスランの言葉に、3人は力強く頷いた。

 

 

 




席を立つ騎士隊長達―――

 





アスランはそっとニコルを呼んだ。

「いかがされましたか?国王陛下。」

 

アスランは、腕に巻かれていた布を、そっと外し、ニコルに渡した。

「・・・これは・・・『薬草』ですね。」

ニコルの呟きに、アスランは言った。

「申し訳ないが・・・その『薬草』の成分を調べてみてくれ。・・・『成分』だけでなく、もし『魔力』の片鱗もあるかどうか・・・。君なら調べられるだろう。」

「判りました。」

そう言ってニコルはアスランに敬礼した。

 

 



*         *         *

 

 



「いらっしゃいませ!」

今日も、『オノゴロ村』の薬草屋『クサナギ』には、客が集まり、その中で、金髪の少女が忙しく動いていた。

「50g 『400アースダラー』戴きます。」

 

レジを打っていると、少女の耳に、馬のいな鳴き声が聞えた。

そして、暫くすると―――店の中に、濃紺の髪に、今日は白いYシャツ姿の翡翠の瞳の青年姿・・・。

 

「いらっしゃいませ!―――って・・・あれ? お前・・・」

「忙しそうだね。カガリ・・・。」

そう言って微笑む青年に、カガリも笑顔で答えた。

「アスラン! 昨日の怪我、大丈夫だったか?」

無垢な金の瞳を心配げに向けるカガリに、アスランは昨日の怪我をした腕を見せた。

「カガリのお陰で、すっかり治ったよ。」

「よかった! やっぱりマーナの言ったとおり。この『カラブの葉』、よく効いただろ?」

自信に溢れた笑みに、アスランは自然と笑顔が溢れ、強く頷いた。

 

「で? 今日は何の用だ?」

カガリの言葉にハッとして、アスランは慌てて答える。

「あ、あぁ・・・あの、昨日の薬を―――」

「『カラブの葉』だな! 昨日はそのままだったけど、こうして乾燥させたものなら、お湯で煮出して煮汁にガーゼか何かを浸して、それを当てればいいから。・・・何グラムだ?」

「え・・・あ・・・あぁ・・・300g程・・・」

 

王族で、慣れない『買い物』に、アスランが戸惑うと、カガリは笑顔で言った。

「結構買うんだな。ま、非常用に幾らでも保存利くから、いっぱい買っておいても大丈夫だ!」

その笑顔を見続けたくて、アスランは尚も、薬草を求める。

「あと・・・この『チコリの実』を、100gくれないか?」

微笑むアスラン―――だが、カガリはキョトンとしている。

 




(・・・な、なにか・・・失敗しただろうか・・・?俺・・・)

 




急に不安な表情になるアスランに、カガリは話し出した。

 

「・・・お前・・・『血圧』高いのか?」

「・・・は?」

「『チコリの実』は、『血圧高くて、イライラする気』を押さえてくれる薬だぞ?・・・お前、そんなに『イライラ』するのか・・・?」

 



カガリの瞳を真っ直ぐ見られず、頬を赤らめるアスランに、カガリは<ポンッ>と手を叩く。

「そうか! お前のお父さんか、お母さんに頼まれたんだな!」

「あ・・・あぁ・・・そうなんだ。」

 

カガリは頷くと、『チコリの実』を天秤にかけ、正確に100g計り、紙に包んだ。

「『カラブの葉』と『チコリの実』――合わせて『1500アースダラー』な!」

アスランはいそいそと、お金を差し出し、カガリの手にそれを渡す。

 

 

触れた手は―――柔らかで―――温かかった・・・

 

 

「・・・? どうしたんだ? お前。顔赤いぞ。『熱』でもあるのか?」

そう言って、カガリはアスランの額に手を当てる。

アスランは一瞬、ドキッとするが、額に感じるその柔らかな手に、例えようもない安息を感じた。

「・・・うん! 大丈夫みたいだ!」

 

 

そこへ―――

 

「ただいま。カガリ。・・・まぁまぁ、お客さんかい?」

「あ! お帰り! マーナ!」

 

マーナは一瞬笑顔を見せるが、直ぐに表情を強張らせる。

「あ、あ、貴方様は―――!」

「・・・? どうした? マーナ?」

口を開きかけたマ―ナに、アスランはそっと自分の唇に人指し指をあてて、<シィー>っと促す。

その動作に、マーナは<コクン、コクン>と力強く頷いた。

 

そして、アスランはマーナに言った。

「すいません・・・ちょっと彼女とお話したいんですが・・・いいですか?」

「え!?で も、私、店番が―――」

「良いから、行ってらっしゃい!ここは私がやるから!」

 

慌てるマーナに、カガリは<?>と、不思議そうな顔を見せると、籠を取り出した。

「丁度、配達の時間だから、そこまでなら一緒に行けるが・・・」

「あぁ。それでも充分だよ。」

優しげなアスランの微笑みに、カガリは「うん!」と頷いた。

 

 

 






アスランは、外にいた白馬を連れ出すと、カガリと並んで歩き出した。

不思議な事に、村の皆が、何時もと雰囲気が違う・・・。

礼をとったり、目を見張ったり―――

 

 





「―――っ! なっ! あ、あ、あれっ!!」

「何してやがる! アフメド!」

慌てるアフメドの声に促されて、マードックがアフメドの指さした方を見ると、

「ほほぅ〜。いや! 嬢ちゃんが「男連れ」とはな! ・・・なかなかいい男じゃないか! こりゃ明日、雨が振るぜ!」

アフメドの青い顔の横で、マードックは「ガハハ!」と笑った。

 

 





そして―――遠くから、その
2人の様子を見ていたバルトフェルドが「・・・ほう・・・。」と意味ありげに微笑んでいた。

 

 


















「・・・それにしても、お前、何処から来たんだ? お前の住んでるところだって、『薬屋』くらい、あるだろう?」

翡翠の瞳を覗きこむ、金の瞳―――

アスランは慌てて、取り繕うように、話し出した。

「あ、あぁ・・・だけど、カガリのところみたいに、いっぱい種類があるわけじゃないし・・・この前の怪我みたいに、カガリの薬草は効き目がいいし・・・それに―――」

「・・・?『それに』?」

反復するカガリの言葉に、アスランは僅かに頬を赤らめて言った。

「・・・いや・・・何でもない。」

それを聞いたカガリはむくれて言った。

「そこまで言ったんだから、教えろよ! 気になるじゃないか!?」

「いや・・・ちょっと思っただけだから・・・。」

 

カガリのキョトンとした視線を逸らすと、アスランは、前を見ながら先を急いだ。

 

 



(・・・言えない・・・君の笑顔が、『魔族』や『国政』のことでいっぱいな俺の心を、和らげてくれる―――なんて・・・。)

 

 

 

村はずれまで来ると、カガリは「じゃぁ!」と手を振りかけた。

 

 



(―――このまま、終わらせたくない!)

 

 



「ち、ちょっと待て! カガリ!」

慌てて、アスランが声をかける。

「どうした? アスラン。」

 

引きとめたは良いものの、アスランは、反射的に出た言葉に、何とか理由をつけようと、懸命に模索する。

「あ、あの・・・もし『良ければ』・・・なんだが・・・」

「?」

「俺にも・・・『薬草』のこと。教えてくれないか?」

精一杯のアスランの言葉。

だが、おくびもせず、カガリは答えた。

「薬草なら、マーナが良く知ってるぞ! 私がマーナに言っておくから―――」

「君でないと駄目なんだ!」

「は?」

咄嗟に出た言葉に、アスランは慌てて手で口を塞ぐ。

「・・・まぁ、私でもよければ、別に構わんが・・・」

 

不思議顔のカガリに、アスランは胸を撫で下ろすと、「また来るから。」とだけ言い残し、愛馬『ジャスティス』に乗り、村をあとにした。

 

 




(―――俺は、『この村』のことを調べに来ただけだ。・・・なのに何故、あんなことを…彼女に・・・。)

 

 

自分でも判らない心の奥の『衝動』に、アスランはまだ、気付かなかった。

 

 

 

*         *         *

 

 

 

「お帰りなさいませ。国王陛下。」

皆がアスランに礼をとると、アスランはイザークに「お前にやる。」と『包み』を<ポン>と投げてよこした。

「・・・? 陛下、何です?これは―――」

「『チコリの実』―――血圧が高くて「イライラ」する時に効くそうだ。」

そうとだけ言い残して、アスランはイザークを背に、城内に入っていった。

 

 





「陛下!」

息を切らせて走ってきたニコル。その手には、先日渡した『カラブの葉』―――

「調べてみましたが、只の『化膿止め』ですね。…『瘴気』を消すだけの『力』は残っていません。」

「…そうか…すまない。ニコル。」

「いえ。」

そう言って、礼をとり、アスランの前から消えるニコル。

 





(・・・やはり・・・あの時の瘴気を消し、傷さえも消したのは・・・『カガリ』・・・?)

 





『カガリの持つ力』―――それを調べようとアスランは考えた。






いや、『調べる』のは、口実に過ぎない。



『彼女』を考えただけで、何故か心の中が温かくなる・・・

 

 

 









―――もう、どこかで自身が認めている・・・

 

   


   
   

   



   あの『無垢な笑顔』に、惹かれている『自分』に―――

 

 

 

*         *         *

 

 

 

「―――で、これが『シスキルの根』…な。『熱さまし』によく効くんだ。…それから、これが『ピクシルの葉』。『お腹が痛いとき』に煎じて飲むんだ。」

 

『オノゴロ村』の外れ―――小さな公園のベンチに、ほぼ毎日のように、カガリがアスランと並んで座りながら、『薬』のことを教えていた。

 

「あと、薬は『混ぜ方』によっても、効き目が違うんだぞ! 『カラブの葉』に『シスキルの根』を混ぜてやると、どんな風邪にも効くんだ。」

 

そういって薬草一つ一つを説明していくカガリ。

アスランは微笑みながら、ノートに書き込んでいく。

だが、カガリを見つめる翡翠の瞳は、その心と同様、『穏やか』で『安らいだ』ものになっている。

 

 

 

 





「・・・あれは、完全に『恋する男の目』ね。」

「ねぇ・・・。止めようよ。フレイ・・・。」

公園の遊具に隠れながら、アスランとカガリの様子を見ていたフレイと、それを止めようとするミリアリア。

「私の『感』に、間違いは無いわ! カガリは何時も鈍いから、判っていないみたいだけど。あの『アスラン』って人は、カガリに『ぞっこん』一歩手前ね!」

「そ、そうなのか!?」

「「キャァッ!」」

慌てて口を押さえる少女2人の後ろから、様子を覗いていたのは・・・

「アフメド! 驚かさないでよ!」

小さな声で指を立てて、<シィー>っと、仕草をとる少女2人にあわせ、アフメドも慌てて口を押さえる。

 

「そ、そんなに『あの男』・・・カガリのこと・・・」

オロオロするだけのアフメドに、フレイが「しっかりしなさいよ!」と目を向ける。

 

「だ、大体、『薬』のことを聞きたいんだったら、カガリじゃなく、マーナさんに聞けば良いじゃないか!」

愚痴をいうアフメドに、フレイは自信たっぷりに答えた。

「だから、『恋する一歩手前』だって言うのよ! 『会いたい』からこそ、カガリを御指名したんでしょ? そんな事でなきゃ、とっくにマーナおばさんに聞いてるわよ!」

 



アフメドは握りこぶしに力を込める・・・

 

 



その頃、マードックが、アフメドのサボリに、握りこぶしを作っているとは知らずに・・・。

 

 

 

 













「教えてもらうばかりで、悪いな。・・・カガリに変わりに何か、お礼したいと思うんだが・・・何か欲しいものないか?」

不意に振られ、カガリは顎に人差し指を立てて、「うーん・・・」と呟く。

「別に、『教えるくらい』だから、何もいらないけど・・・。」

「でも、『お礼』がしたいんだ・・・君に。」

穏やかな翡翠の瞳が、嬉しそうに『答え』を待ちわびる。

それに対して無垢な金の瞳が、嬉しそうな光を湛え、アスランに答えた。



「じゃぁ、『アスランの知ってる、国の事』教えてくれないか?」

 



正直、『服』や『靴』等、女の子らしい答えを言ってくるかと思っていたアスランは、拍子抜けしたように言った。

 


「そんな事で・・・いいのか?」

金の瞳が嬉しそうに覗き込む。

「だって、私、生まれてから『オノゴロ村』出たことないから、『オーブ』っていう国がどのくらい広いかとか・・・全然知らないし・・・『外の世界』・・・知りたいんだ。アスランは『自由騎士』で、あちこち言っているんだろ? 今まで、どんな『魔族』と戦った、とか・・・教えて欲しいんだ!」

 

興味深げに、キラキラと目を輝かす、カガリ―――

アスランは、頷き、それに答えた。

 

 

*         *         *

 

 

翌日―――

 

 

公園のベンチに、大きな『地図』が置かれた。

 

「此処が『オノゴロ村』・・・そして此処が『王都―カグヤ』―――」

指をさしながら、アスランはカガリに説明する。

カガリは、<うんうん!>と頷きながら、アスランの話に聞き入った。

 

 

この村では、こんな『魔族』と戦ったこと・・・。

此処では恐ろしい『魔族』と戦い、命さえ、危ぶんだこと・・・。

この森には、愛らしい小動物がいて、その仕草に楽しんだこと・・・。

この草原では、美しい花が咲き乱れていたこと・・・。

 

 

その一つ一つに、カガリは目を輝かせ、時には驚いたり、怖がって泣き出しそうになって、アスランが慌てさせたり・・・。

『純真無垢な少女』に、アスランは、自分の心の奥の『澄んだ想い』が溢れかえるのを、ハッキリと自覚した。

 

 

「・・・あ! ここ『ハウメア山』だよな! 村からも、よく晴れた日に見えるんだ!」

そう言って目を輝かせるカガリに、アスランは更に答える。

「そう、『ハウメア山』―――そして、その直ぐ下には、『ハウメア湖』という、美しい湖があるんだ。岸辺には花が咲き乱れていて―――」

「へぇ〜・・・いいなぁ・・・行ってみたいなぁ・・・」

 

頬杖をつきながら、思いを馳せるカガリに、アスランは、高鳴る鼓動を必死に押さえつつ、カガリに言った。

 

「もし・・・よかったら、今度、一緒に行かないか?」

「え?」

大きな金の瞳が見開く。

その視線に、穏やかな翡翠の瞳を重ねるようにして、アスランは言った。

 

 

 

「・・・君に・・・見せてあげたいんだ・・・。いや、見たいんだ。 俺も・・・『君と一緒』に・・・。」

 

 

 

 

 

 

・・・to be Continued.

 

 

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>ついに来た! 王様、『実力行使』に出たか!?(笑)

 お子ちゃまフレイにさえ、見破られているんだから、恋愛経験薄いことバレバレです(笑)

 まぁ、カガリはいつも通り『鈍い』ですがね(笑:そこが『カガリたん』の可愛い所v)

 にしても・・・今回はいろんなキャラからみた『アスカガ模様』が書けて、面白かったです(笑)

 さて!? 『デート』にお誘いされたカガリ・・・どうする!?

 そして、相変わらずお美しい「かずりん様」のイラスト!

 『城壁』一つ一つが、何と『手書き!!』 もの凄いクオリティーに圧倒されます!

 そして、白馬を描かせたら、『日本一!』だと思います!(キッパリ!)カッコイイ〜vv

 イザ・ニコの『魔導騎士団』―――カッコイイです〜vv(はっ! 文章で活躍させなければ!!)