「――なんで。何の取り柄も無い私をどうして選んでくれたんです。
私は貴方の言う通り、弱くてつまらない人間なのに」
「………自分が嫌いで、一生好きになれなくて、それが分かっていながら
少しでも上等な自分になりたくて足掻いてきた。オレはそういう無様なヤツがいい。
結果はどうであれ、自分の為に進むヤツが好きなんだよ」
「――それは、誰かの為でなく?」
「ああ。そういうのは余裕のあるヤツに任せておけばいい。
アンタはもう少し、自分だけで手一杯だってコトを自覚するべきだ。バカなんだから」
「…なるほど。つまり貴方は私がどうでもいい人間だったから助けたのですね」
――ああ。
そんな平凡な人間だからこそ。弱い君だったからこそ。
―――オレにはかけがえのない光だった。
(−Hollow,天の逆月)
それが可でも不可でも構わない。
そもそも現在を走る生き物に判断など下せない。
全ての生命は。
後に続くものたちに価値を認めてもらうために
報酬もなく走り続けるのだ。
(−Hollow,天の逆月)
………自分に欠ける“理想”。
「おまえは正しい、衛宮士郎。
その誤認、その感傷の罪深さに目を焼かれるとしても。
美しいと感じたものに、オレも、そうやって憧れたかった。
ただ、憧れてみたかった―――」
(−Hollow,カレンX)
この世の全ての悪だなどと笑わせる
その異名は人間の総称だ。
お前達が作り上げた鏡を見ろ。
我が罪は全て人が作り上げたもの。
言い逃れは出来ない
喜ぶがいい、人の子よ
君はあらゆる悪を再現可能だ。
ああ、けれど――
(−Hollow,スパイラル・ラダー)
「−でも、あなたはそれを許せない。我慢できない人だから
そうでしょう? この、誰も失われていない理想郷で。
貴方だけは失われたものに価値を見出そうとしている。」
(−Hollow,wish)
それは決して親愛からではなく
いつか貰ったどうしようもないほど
見当違いの手のひらだった
「――それは同情から?」
(−Hollow,Void)
「そうだ。
それでも何かをしたいというのなら
せめて、笑いながら救いにいけ。
見捨てられないから残るとか、可哀想だから戻るとか
そういうのは余計なお世話だ。
一緒に苦楽を共にしようなんて
間違っても抱くなって言うコト・・・」
(−Hollow,Void)
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