ブレークニー弁護人               もどる

2022年、とうとう、北朝鮮は、アメリカに向けて、ICBM(大陸間弾道ミサイル)、を打ち込んだ。
アメリカでは、まさか、北朝鮮が、本当に、ICBMを、アメリカに打つとは、予想していなかった。
そんなことをすれば、北朝鮮が自滅するのは、明らかだからだ。
なぜ、北朝鮮が、こんな無謀なことをしたのか。
その理由は定かではない。
日本海あたりに、ミサイル発射実験をするつもりだったのだが、誤って、アメリカ大陸にまで届いてしまった、可能性がある。
一説によると、中国の秘密工作員が、北朝鮮に潜り込んで、北朝鮮からアメリカにICBMを打ち込んだ、可能性もある。
あるいは、アメリカのABM(弾道弾迎撃ミサイル)が、ICBMを打ち落とすのに失敗した可能性もある。
正確な理由はわからない。
戦争の全てが、そうであるように、本音は、他国を支配したり、植民地にしたり、独裁国家を潰すため、であっても、戦争を起こすには、大義名分がなくてはならない。
満州事変しかり。
真珠湾攻撃しかり、である。
日本の太平洋戦争の真珠湾攻撃も、当時のアメリカ大統領、フランクリン・ルーズベルトは知っていて、日本との戦争の口実のために秘密にしていたのである。
あるいは、日本でも、徳川が豊臣を滅ぼすために、方広寺の鐘に、「国家安康」、と書いたのを、家康を、呪う行為、と、難クセをつけたのと、言いがかり、をつけた、ことと、その歴史は古い。
人間とは、そういう、ずるいものである。
さて。
北朝鮮が、アメリカに、ICBMを打ち込み、それは、ニューヨーク市で、爆発し、多数の死者が出た。
アメリカは、これで戦争の口実が出来る、と、小躍りして喜んだ。
そして、北朝鮮に対して、宣戦布告した。
当然、アメリカは、北朝鮮に、ICBMのお返しをした。
それは、平壌に命中し、多数の死者が出た。
アメリカと軍事同盟を結んでいる、NATOも、北朝鮮に対して、宣戦布告した。
そして、北朝鮮に総攻撃をした。
ロシアは、戦争には加わらず、中立的な態度をとった。
韓国は、といえば。
北朝鮮は韓国には、攻撃してこなかったため、そして、朝鮮民族同士、争って血を流したくはなかったので、韓国も中立的な態度をとった。
北朝鮮に宣戦布告して、北朝鮮に攻撃すれば、当然、北朝鮮からの反撃がくる。
なので、同盟国とはいっても、あまり戦争はしたくないのである。
アメリカと、北朝鮮との戦争では、北朝鮮に勝ち目はない、と思われていたが、中国が、武器や食料、資源、エネルギー、を北朝鮮に送り、北朝鮮を支援したので、戦争は、長引いた。
しかし、やはり、アメリカ、および、アメリカの同盟国、との戦いでは、北朝鮮に勝ち目はなかった。
北朝鮮に勝ち目が無いと、見るや否や、ロシアが、北朝鮮に宣戦布告して、北朝鮮に総攻撃してきた。
さて。
一般的に、独裁国家では、国民は、独裁元首を嫌っていると思っているだろう。
それは、香港や台湾のように、一国二制度で、主権在民、民主主義のような、言論、行動の自由が認められている国の場合である。
独裁国家に生まれ、育った人間は、国家による情報統制、教育によって、そもそも、「民主主義」というものを知らないので、国家の元首が国を統治するのが当然だと思っているので、独裁元首を嫌ってはいないのである。
そのため、北朝鮮では、国民は、金正恩(キムジョンイル)を尊敬し、敬愛こそすれ、嫌うことなどないのである。
そして、金正恩にしてみれば、自分を尊敬し、敬愛している国民を、愛おしいと思っているのである。
なので、北朝鮮のような、独裁国家では、元首と国民が、深い愛情の関係で結ばれているのである。
むしろ、形だけ民主主義をとっていても、政官財が癒着している日本のような国では、総理大臣や政府の人間は、国民のことなど、どうでもよく、自分たちの権力維持しか、考えていないのである。
しかし、やはり、アメリカ、および、アメリカの同盟国、との戦いでは、北朝鮮に勝ち目はなかった。
1年すると、もう北朝鮮の負けは明らかになっていた。
2023年、7月26日、ベルリン郊外の、ポツダムにおいて、アメリカ大統領、バイデン、イギリス首相、ジョンソン、ロシア大統領、プーチン、日本国総理大臣、山本太郎、によって、北朝鮮に無条件降伏を求める、ポツダム宣言が、決められた。
アメリカは、北朝鮮に、ポツダム宣言を受け入れるよう求めた。
北朝鮮の平壌では、ポツダム宣言を受け入れるか、どうかの、御前会議が開かれた。
血気さかんな軍部は、最後の一人まで、戦うことを、主張し、内閣は、ポツダム宣言を受け入れることを主張した。
最後に、金正恩総書記の、お言葉が述べられた。
「朝鮮民族の血を絶やしてはならない。私の身はどうなってもいい。この戦争を終わらせるべきである」
私はどうなってもいい、という将軍様のお言葉に、軍部も内閣も涙した。
翌日、金正恩総書記の玉音放送が北朝鮮、全土に流れた。
「朕(ちん)、深く世界の大勢と、帝国の現状とにかんがみ、非常の措置をもって、時局を収拾せんと欲し、ここに忠良なる汝臣民に告ぐ。朕は、帝国政府をして、米英日ロ四国に対し、その共同宣言を受諾する旨、通告せしめたり。そもそも帝国臣民の康寧(こうねい)をはかり、万邦共栄の楽を共にするは、皇祖皇宗の遺範にして、朕の挙々おかざるところ。先に米英二国に宣戦せるゆえんも、また実に帝国の自存と東亜の安定とを庶幾(しょき)するに、出でて他国の主権を排し、領土を侵すがごときは、もとより朕が意志にあらず。しかるに、交戦すでに四歳をけみし、朕が陸海将兵の勇戦、朕が百僚有司の励精、朕が一億衆庶の奉公、おのおの最善を尽くせるにかかわらず、戦局、かならずしも好転せず、世界の大勢、また我に利あらず。しかのみならず、敵は新たに残虐なる爆弾を使用し、しきりに無辜(むこ)を殺傷し、惨害の及ぶところ、まことに測るべからざるに至る。しかもなお交戦を継続せんか。ついにわが民族の滅亡を招来するのみならず、のべて人類の文明をも破却すべし。かくのごとくむは、朕、何をもってか、億兆の赤子を保し、皇祖皇宗の神霊に謝せんや。これ朕が帝国政府をして共同宣言に応ぜしむるに至れるゆえんなり。朕は帝国とともに、終始、東亜の開放に協力せる諸盟邦に対し、遺憾の意を表せざるをえず。帝国臣民にして、戦陣に死し、職域に殉し、非命に倒れたる者、及びその遺族に想を致せば、五内ために裂く。かつ戦傷を負い、災禍をこうむり、家業を失いたる者の厚生に至りては、朕の深く軫念(しんねん)するところなり。おもうに今後、帝国の受くべき苦難は、もとより尋常にあらず。汝臣民の衷情も、朕よくこれを知る。しかれども、朕は時運のおもむくところ、堪えがたきを堪え、忍びがたきを忍び、もって万世のために太平を開かんと欲す。朕はここに、国体を護持しえて、忠良なる汝臣民の赤誠に信倚(しんい)し、常に汝臣民と共にあり、もしそれ情の激するところ、みだりに事端をしげくし、あるいは同胞排擠(はいせい)、互いに時局を乱り、ために大道を誤り、信義を世界に失うがごときは、朕もっともこれを戒む。よろしく挙国一家、子孫、相伝え、よく神州の不滅を信じ、任重くして道遠きをおもい、総力を将来の建設に傾け、道義を篤(あつ)くし、志操を固くし、誓って国体の精華を発揚し、世界の進運におくれざらんことを期すべし。汝臣民、それよく朕が意を体せよ」
この玉音放送に北朝鮮の国民は、皆、涙した。
アメリカ軍が、北朝鮮に入って来た。
そして、北朝鮮を徹底的に、平和憲法を作り、民主主義国家にした。
金正恩、妹の金与正、および、金正恩に従っている体制派の重鎮たちは、戦犯として捕まえられた。
そして、アメリカは、北朝鮮に対し、平和に対する罪を、犯した、として、金正恩はじめ、戦争指導者たちを逮捕した。
そして、平和に対する罪、として、彼らの裁判を行うことにした。
これは、平壌で行われたので、平壌裁判と呼ばれた。
金正恩(キムジョンイル)、金与正(キムヨジョン)、および戦争指導者たちは、裁判を行うのなら、国際法に精通したアメリカの弁護人を求めた。
金正恩、金与正、は、裁判である以上、アメリカ人でもいいから、北朝鮮の弁護人をつけて、裁判を行って欲しい、と、バイデン大統領に訴えた。
バイデン大統領は、人道主義者なので、これを認めた。
「お兄ちゃん。私たち、どうなるのかしら?」
金与正(キムヨジョン)が、兄の金正恩に不安そうに聞いた。
「どうせ、裁判の公正を装うための見せかけだろう」
金正恩が言った。
こうして、数名の、北朝鮮を弁護する、アメリカの弁護団が北朝鮮に送り込まれた。
そうして、平壌裁判が開かれた。
裁判長は、ウェッブという者だった。
金正恩、金与正は、アメリカ人の弁護団など、どうせ、裁判の公正を装うための、見せかけ、だろうと、確信していた。
ともかく平壌裁判が開かれた。
1日目。
アメリカ人弁護団たちは、やはり、北朝鮮、は、平和に対する罪がある、と妥当なことを言った。
2日目。
まず、ファーネスという弁護人が発言台に立った。
ファーネスは言った。
「真に公正な裁判を行うのならば、戦争に関係のない中立国によって行われるべきで、勝者による敗者の裁判は決して公正な裁判ではありえません」
続いて、ブレークニー弁護人が発言台に立った。
ブレークニーは、ます、「戦争は犯罪ではない」、と言った。
以下、ブレークニーは、このように述べた。
「戦争は犯罪ではありません。戦争法規があることが戦争の合法性を示す証拠です。戦争の開始、通告、戦闘の方法、終結を決める法規も、もし戦争が非合法であるならば全く無意味です。国際法は、国家利益追及の為に行う戦争をこれまでに非合法と見做したことはありません」
コホンと、ブレークニーは咳払いをし、続けて言った。
「歴史を振り返ってみても、戦争の計画、遂行が法廷において犯罪として裁かれた例はありません。我々は、この裁判で新しい法律を打ち立てようとする検察側の抱負を承知しています。しかし、そういう試みこそが新しくより高い法の実現を妨げるのではないでしょうか。“平和に対する罪”と名付けられた訴因は、故に当法廷より却下されねばなりません」
ブレークニーは、コップの水を飲んだ。
「国家の行為である戦争の個人責任を問うことは、法律的に誤りです。何故ならば、国際法は国家に対して適用されるものであって、個人に対してではありません。個人に依る戦争行為という新しい犯罪をこの法廷で裁くのは誤りです。戦争での殺人は罪になりません。それは殺人罪ではありません。戦争が合法だからです。つまり合法的な殺人なのです。たとえどんなに嫌悪すべき行為でも、犯罪としてその責任は問われてきませんでした」
ブレークニーは、もう一度、コップの水を飲んだ。
「北朝鮮によるニューヨーク市民の死が殺人罪になるならば、我々は、平壌に核ミサイルを打ち込んだ者の名を挙げることができます。それを計画した参謀長の名も承知しています。その国の元首の名前も承知しています。彼らは、殺人罪を意識していたでしょうか?してはいないでしょう。我々もそう思います。それは彼らの戦闘行為が正義で、敵の行為が不正義だからではなく、戦争自体が犯罪ではないからです。何の罪科でいかなる証拠で戦争による殺人が違法なのでしょうか。核ミサイルを平壌に打ち込んだ者がいます。それを計画し、その実行を命じ、これを黙認したものがいます。その者達が裁いているのです。彼らも殺人者ではないでしょうか」
このブレークニー弁護人の発言は、全世界に放送され、人々の心を打った。
このブレークニーの発言によって、金正恩、金与正、の死刑は行われなかった。
そして、北朝鮮は、民主主義国家となり、北朝鮮と韓国は、統一されて、一つの国となった。
ちょうど、1989年に、ドイツで、ベルリンの壁が壊され、東西ドイツが統一したのと同じようになった。
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そもそも、朝鮮民族が、北と南に、分断されたのは、1950年に、勃発した朝鮮戦争が原因であり、それは、第二次世界大戦後の、全世界の中の二大大国である、米ソの冷戦の対立、によるもので、民主主義国家を是とするアメリカと、世界を社会主義(共産主義)国家にしようという、ソ連の、代理戦争によるものである。
日本も第二次世界大戦(太平洋戦争)から、復興できたのは、朝鮮戦争による特需景気による所が大きい。
日本は、翌1951年に結ばれた、日米安保条約も加わって、アメリカの朝鮮戦争に経済的に協力した。
日本の本土や、沖縄には、米軍基地があり、地理的にも、アメリカにとって日本は、極めて便利な極東軍事基地であった。
日本は、アメリカに、食料、燃料、兵器、などで、朝鮮戦争によって、36億ドルもの利益を得た。
ともかく、こうして、北朝鮮と韓国は統一され、一つの民主主義国家が出来あがった。
めでたし。めでたし。