エコノミストの女神        もどる

2006年(平成18年)初夏の、午後10時頃、京急本線の品川駅-京急蒲田駅間の下り快特電車内である。
植草一秀、は、「植草一秀を応援する会」の会合が終わって、紹興酒を飲んで、ほろ酔い気分だった。
「植草さん。なあに。気にする必要なんて、ありませんよ。男なんて、みんな、スケベですよ。それより、あなたほどの、経済分析能力は、日本を救えます。我々が、応援しますから、どうか、日本を良くして下さい」
と、植草一秀は、会長に言われた。
会長は、
「ささ。どうぞ。本場の紹興酒です」
そう言って、会長は、植草の前に、コップを、置き、紹興酒を注いだ。
「有難うございます。私も、そう言って下さる人がいると、本当に、救われる、思いです」
そう言って、植草は、紹興酒を、飲んだ。
「ささ。植草さん。カラオケです。どうぞ、好きな歌を歌って下さい」
そう言って、会長は、植草に、マイクを、渡した。
植草は、
「ありがとう。では、一つ、歌わせて、頂きます」
と言って、大好きな、広末涼子の、「マジで恋する5分前」、を、歌った。
そして、ほろ酔い加減で、帰途に着いた。
そして、タクシーで、京急線の駅に向かい、京急線に乗った。
植草は、電車の中で、(ああ。もう、オレは、完全に、再起できた)、と、上機嫌だった。
(名古屋商科大学の大学院の客員教授にも、なれたし。実力がある者は、世間が、ほっておかないな)
ふと、前を見ると、一人の女子高生、がいた。
女子高生、は、チラッ、と、植草の方に顔を向けた。
その顔は、植草の憧れの、広末涼子に、似ていた。
植草の心は、ドキン、と、ときめいた。
心臓が、ドキドキしてきた。
幸い、人は、前の駅で、降りてしまって、少ない。
植草の、持って生まれた、悪いクセ、が出た。
植草一秀は、そっと、手を伸ばして、女子校正の、スカートの上から尻を触った。
しかし、女子校正、は、何も言わない。
(しめた。この子は、「痴漢―」、と、叫ばないタイプの子だ)
植草一秀は、そう確信した。
植草一秀、は、女子高生の、スカートに、手を入れた。
そして、そっと、パンツの上から、女子校生の尻を触った。
弾力のある、柔らかい尻だった。
女子校生は、黙っている。
植草一秀、は、パンツフェチだった。
尻は、直接、そのものを、触るのも、いいが、パンツの上から、触るのも、いい。
大きな尻を、ピッチリ収めている、パンツの触り心地といったら、この世のものではない。
(ああ。いい気持ちだ。何て、可愛らしい尻なんだ)
植草一秀、は、紹興酒の酩酊と、ともに、女子高生、の、尻の、柔らかさ、に、酩酊していた。
女子高生、が、何も言わないので、植草一秀、は、だんだん、図に乗って、パンツの縁から、ちょっと、手を入れた。
しかし、女子高生は、何も言わない。
(こうやって、優しく、触ってやれば、愛は伝わるものだ)
植草一秀、は、女の体、を、優しく触ることは、女を、愛撫する行為だという信念を持っていた。
植草一秀、は、女子高生、の、柔らかい、弾力のある、尻を、直接、撫でて触った。
その時である。
女子高生が、植草一秀、の方、に、そっと、顔を向けた。
広末涼子に似た、その女子高生は、目を潤ませていた。
「植草さん」
女子高生は、小さな声で言った。
「なあに?広末涼子ちゃん」
植草一秀、は、優しく、女子高生に、話しかけた。
「私は、広末涼子では、ありません」
女子高生が言った。
「どうして?だって、君は、広末涼子ちゃん、じゃない?」
植草一秀、が、聞いた。
「植草さん。酔っているんですね」
女子高生が言った。
「ああ。紹興酒を、ちょっとね」
と、紹興酒を、あびるように、飲んだ、植草一秀、は、言った。
「植草さん。確かに、私は、広末涼子に、似ている、と、よく言われます。しかし、ちょっと、冷静になって、考えてみて下さい」
と、女子高生は、言った。
「何を?」
植草一秀、は、聞き返した。
「広末涼子は、1980年、つまり、昭和55年、生まれです。ですから、広末涼子さんは、今、26歳です。私は、高校三年の18歳です」
と、女子高生は、言った。
「ああ。そうか。そうだったね。確かに、彼女は、20代半中ばだ。じゃあ、広末涼子ちゃんには、いつまでも、女子高生でいたい、願望があって、こうして、いつも、女子高生の制服を着る、コスプレの趣味があるんだね」
と、植草一秀、は、言った。
「植草さん」
女子高生が言った。
「なあに?」
植草一秀、が、優しく、聞き返した。
「そうとう、酔っていますね」
女子高生が言った。
「いやあ。ちょっと、飲んだだけだよ」
植草一秀、は、紹興酒を、浴びるように、飲んだ後だったので、酩酊していたので、冷静に、物事を考える状態ではなかった。
「植草さん」
女子高生が言った。
「なあに?」
「どうして、私が、(痴漢―)、と、叫ばないか、わかりますか?」
女子高生が聞いた。
「それは、僕の愛撫が、気持ちいいからだろう?」
植草一秀、が、言った。
「いえ。違います」
女子高生は、キッパリと、言った。
「じゃあ。どうして」
植草一秀、が聞いた。
「それは、私が、植草一秀、先生、を、尊敬しているからです」
と、女子高生が言った。
「そうなの。それは、ありがとう」
そう言いながら、植草一秀、は、女子高生の、尻を触り続けた。
「でも、どうして、僕を尊敬してくれているの?」
植草一秀、が、聞いた。
「それは、植草一秀、先生、が、秀才だからです。東京大学に、楽々、合格しました。たいして、勉強していないのに」
と、女子高生が言った。
「いやあ。僕だって、大学受験の前は、必死に勉強したさ」
と、植草一秀、は、言った。
「私も、第一志望は、国立大学で、国立大学に、入りたい、と思っているんです。それで、塾にも、通っているんです。でも、どんなに、頑張っても、数学、や、物理学、は、難しくて、わからないんです。経済学も、難しくて、よく、わからないんです。ですから、国立大学は、無理だと、あきらめているんです。私には、三流私立大学に入れるか、どうか、の、学力しかないんです」
と、女子高生が言った。
「ふーん。そうなの」
と、植草一秀、は、言った。
「それで、涼子ちゃんは、将来、何になりたいの?」
と、植草一秀、は、聞いた。
植草一秀、は、浴びるように、飲んだ紹興酒の酩酊のため、目の前の少女、が、広末涼子、なのか、大学受験を、ひかえた、女子高生、なのか、の、区別が、つかなくなっていた。
「将来は、人の役に立つ、仕事に就きたいと、思っています」
と、女子高生、は、言った。
「ふーん。立派だね」
と、女子高生が言った。
「私は、毎日、ニュースを見ています。(朝まで生テレビ)、や、(ワールドビジネスサテライト)、でも、植草一秀、先生の、経済理論は、見ていましたが、難しくて、よく、わからないんです。でも、日本を良くしようと、考えていることは、何となく、わかるんです」
と、女子高生が言った。
「ああ。竹中平蔵。あいつが、日本の、ガンだ。それと。ハゲタカ(外国資本)、ハイエナ(国内資本家)、シロアリ(財務官僚)、も、退治しなくては、日本は、良くならないんだ」
と、植草一秀、は、強気の口調で言った。
「植草一秀、先生は、そのように、純粋に、日本を良くしようという、志をもって、おられます。ですから、2004年(平成16年)、の、手鏡事件から、ようやく、ほとぼりがさめて、せっかく、名古屋商科大学からも、お呼びが、かかって、名古屋商科大学の、大学院の客員教授にも、なれた、植草一秀先生の、地位を、私なんかのために、失わせたくないんです。植草一秀先生、には、頑張って、日本で一番の、エコノミストとして、活躍して欲しいんです。ですから、私は、痴漢さても、黙っているんです」
と、女子高生が言った。
「ふーん。涼子ちゃんは、立派だね」
と、植草一秀、は、言った。
「私は、植草一秀、先生を、尊敬しているので、触られても、黙っていますが、他の、女子高生、は、触られたら、(痴漢―)、と、叫びますよ。ですから、これから、電車に乗る時は、お酒は、ほどほど、に、して下さいね」
と、女子高生が言った。
「うん。忠告、ありがとう。これからは、酒は、ほどほどにするよ。涼子ちゃん、って、本当に、人思いなんだね」
と、植草一秀、は、言った。
その時である。
近くに、座っていた、男が、立ち上がって、植草一秀、に、近づいてきた。
そして、植草一秀、に、向かって、
「あんた。痴漢は、やめなさいよ。男として最低だよ。人間として、卑劣だよ」
と、言った。
植草一秀、は、咄嗟に、酔いが覚めて、サッ、と、スカートの中から、手を引いた。
男は、今度は、女子高生、に目を向けた。
「あなたは、痴漢されているのに、どうして、(痴漢―)、と、叫ばないんですか?」
と、聞いた。
女子高生、は、男を見て、
「私は、痴漢なんか、されていません」
と、キッパリ、と、言った。
「そうかなー。私は、この目で、ちゃんと、見たよ。あなた。この男が、怖くて、言えないんじゃないの?」
と、男が言った。
「あなたは、いつから、私、と、この人、とを、見ていましたか?」
女子高生、が、男に聞いた。
「最初から、見ていたよ」
男が言った。
「これは、痴漢プレイです。この人とは、少し歳が離れていますが、私の、恋人です。彼は、こういう、痴漢プレイ、が、好きなんです」
と、女子高生、は、男に、言った。
「彼、が、私、を、触っている間、私と彼は、話していたのを、あなたは、見たでしょう。痴漢されて、嫌がっている、女が、痴漢している男と、長々と、話したりしますか?」
と、女子高生、は、言った。
男は、一瞬、迷っていたが、
「そうですか。それなら、構いませんが・・・。しかし、人に、誤解を与えますからね。そういう事は、あまり、やらない方がいいですよ」
と、男が、女子高生、に、言った。
「ええ。それは、わかっています。ですから、半年に一回、程度、電車が、混んでいない、時に、制限して、やっているのです」
女子高生、は、言った。
「そうですか。わかりました」
そう言って、男は、去って行った。
植草一秀、は、一気に、酒の酔いが覚めた。
そして、現実を、認識した。
植草一秀の顔は、真っ青になった。
「君。すまないことをした。許してくれ」
と、植草一秀、は、謝った。
「いえ。いいんです。これからは、電車に乗る時は、お酒は飲み過ぎない方がいいですよ」
と、女子高生、は、言った。
しかし、植草一秀は、不安だった。
二度、痴漢冤罪を犯したら、もう、世間から、見放されるだろう。
それで、植草一秀は、少女が、降りようとした蒲田駅で、一緒に降りた。
「君。ちょっと、話してもらえないかね?」
植草一秀が言った。
植草一秀は、もう、酒の酔いが、すっかり、覚めていた。
「はい。いいですよ」
と、少女は、淡々と言った。
植草一秀と、女子高生は、駅のプラットホームの、待合室に、入った。
そして、椅子に座った。
「君。本当に、すまないことをした。悪かった。許してくれ」
植草一秀は、ペコペコ、頭を下げて、謝った。
「いえ。いいんです。私。気にしてませんから」
「このことは、どうか、誰にも言わないでくれないかね?」
少しばかりだが・・・と言って、植草一秀は、財布から、1万円を出した。
そして、それを、少女に渡そうとした。
「いえ。いいんです」
と、少女は、断った。
「でも。それでは、僕の気がすまない」
植草一秀は、食らいついた。
「では。植草一秀先生」
と少女が言った。
「なあに?」
「私とデートしてもらえないでしょうか?」
少女の意外な、申し出に、植草一秀は、驚いた。
「それは、かまわないけれど。どうして、そんなことを言うの?」
「私。植草先生のファンなんです」
と、少女は、言った。
植草一秀は、首を傾げた。
芸能人とか、俳優、とか、を、ファン、というのなら、わかるが、自分は、経済学者である。
しかし、ともかく、少女が、そういう条件を出して来たのだから、それに従うしかない。
「それでは。いつ、どこで、デートするんでしょうか?」
植草一秀は、聞いた。
「そうですね・・・・今週の土曜日の正午に、ここの蒲田駅の待合室で、会う、というのは、どうでしょうか?」
少女が言った。
「わかった。今週の土曜日の正午に、ここで、だね。必ず来るよ」
植草一秀は、言った。
「うわー。嬉しいわ」
と、少女は、喜んだ。
「では。私。今週の土曜日の正午に、ここで、待っていますので、よろしかったら、来て下さい」
「ああ。必ず、行くよ」
「では。さようなら」
そう言って、少女は、立ち上がって、笑顔で、手を振って、改札を出ていった。
植草一秀は、キツネにつつまれれた、ような、感覚だった。
しかし、ともかく、一大事にならなくて、ほっとした。
電車が、やって来たので、植草一秀は、乗った。
・・・・・・・・・・
家に着いた植草一秀は、ほっとして、すぐに、布団に入った。
植草一秀の、妻と息子は、植草一秀の、2004年の、事件以来、別居していて、植草一秀は、一人暮らしだった。
一時、抜けきったと思った紹興酒の酔いが、また、戻ってきて、植草一秀は、グーガー、と、深い眠りについた。
・・・・・・・・・・
翌日になった。
植草一秀は、昼頃、目を覚ました。
「昨日のことは、あれは、夢だったのだろうか?それとも、本当だったのだろうか?」
と、大きな欠伸をしながら、植草一秀は、考えた。
(飲み過ぎて、悪酔いしていたから、あれは、夢だったのかもしれない)
と、植草一秀は、思った。
しかし、どうも、「夢」、と、ばかりも、断定しきれない気持ちだった。
植草一秀は、2004年の手鏡事件で、早稲田大学大学院の教授の職も、テレビコメンテーターの仕事も、すべてを失ってしまったが、ようやく、ほとぼりが冷め、今は、名古屋大学から、お呼びが、かかって、名古屋商科大学大学院客員教授の身分だった。
明日から、名古屋商科大学での、授業がある。
なので、植草一秀は、家を出て、東京駅に行き、東海道新幹線に乗って、名古屋に向かった。
そして、三日ほど、大学院の生徒たちに、講義をして、三日目の夕方、新幹線で、東京にもどってきた。
・・・・・・・・・
夢か現実か、わからない、少女との約束の土曜日になった。
植草一秀は、おそるおそる、家を出て、品川駅から、京急線の下りに乗った。
そして、「京急蒲田駅」、で、降りた。
乗り降りしたことの無い、駅だった。
蒲田駅のプラットホームには、待合室が会った。
時刻は、11時50分だった。
植草一秀は、早く、正午にならないかと、待った。
待つ時間というものは、すごく、長く感じられた。
正午になった。
植草一秀は、30分、待って、12時30分に、なったら、帰ろう、と思った。
植草一秀は、イライラしながら、腕時計を見た。
時計は、ちょうど、正午を指していた。
トントン。
「植草さん」
植草一秀は、肩を叩かれた。
パッ、と、振り返ると、何と、びっくりしたことに、広末涼子に、似た、月曜日の夜に見た、少女が、笑顔で立っていた。
「植草さん。来てくれたんですね。嬉しいです」
と、少女は、ニコッと、笑った。
植草一秀は、心臓が止まるかと、思うほど、びっくりした。
(あれは、夢、ではなかったんだ)
と、植草一秀は、実感した。
「や、やあ。久しぶり」
植草一秀は、へどもどと、挨拶した。
「植草さん。私のことを、夢、かもしれない、と、思っていたんでしょう?」
少女は、ニコッと笑って言った。
「ああ。実を言うと、そうなんだ。あの時は、深酔いしててね。でも、現実だったんだね」
「あの時の、約束、覚えていますか?」
「ああ。覚えているよ。君と、デートするんだよね。君のような、かわいい女子高生と、デート出来るなんて、僕も嬉しいよ」
「そう言ってもらえると、私も嬉しいです」
「じゃあ、デートしよう。どこに行く?ディズニーランド?それとも、後楽園?原宿?」
と、植草一秀は、聞いた。
「あ、あの。植草さん。よろしかったら、私の家に来て頂けないでしょうか?」
少女は、突飛な事を言った。
「で、でも・・・・」
「大丈夫です。私は、父子家庭ですし、父は、大阪支社に、一カ月、出向していますので、家は、私一人です」
「わかった。じゃあ、君の家に行くよ」
「ありがとうございます」
「ところで、君の名前は?」
「佐藤京子と言います」
そうして、改札を出て、二人は、タクシーをひろって、京子の家に行った。
二階建て、の、建て売り住宅だった。
「どうぞ。お入り下さい」
「では。お邪魔します」
かなり、大きな、間取りで、ゆったりとした居間も、食卓も、あった。
一人で、暮らすには、大き過ぎるな、と、植草一秀は、思った。
「植草さん。昼ご飯は、もう食べましたか?」
「いや。まだ、食べていないよ」
「そうですか。それは、よかった」
何が、よかった、のか、植草一秀には、わからなかった。
「植草さん。私が、お昼ご飯を、作りますから、食べて頂けないでしょうか?」
「ああ。それは、嬉しいね」
「では。腕に寄りをかけて、作りますので、少し、待っていて下さい」
台所で、ジュージュー音がした。
「さあ。出来ました。植草さん。食卓について下さい」
言われて、植草は、食卓についた。
京子は、ハンバーグと、ポテトサラダ、と、みそ汁、を、食卓に乗せた。
「うわ。美味しそうだね」
「では、どうぞ、召し上がって下さい」
「いただきます」
と言って、二人は、京子の作った、ハンバーグご飯、を食べた。
「いやー。美味しい。美味しい」
と、言いながら、植草一秀は、ご飯を食べた。
植草一秀は、小食だったが、京子の作った、料理なので、腹一杯、食べた。
「ところで、佐藤京子さん」
「はい。何ですか?」
「どうして、僕のような、エコノミストを、好きなの?」
植草一秀が、聞いた。
「では、これから、その理由を説明します」
そう言って、京子は、アルバムを、持ってきた。
「これは、三年前に死んだ母のアルバムです」
そう言って、京子は、植草に、アルバムを渡した。
植草一秀は、それを、開いた。
植草一秀は、アルバムを見て、思わず、「あっ」、と、叫んだ。
なぜなら、アルバムには、東大生だった頃の、自分と、きれいな、若い女性が、一緒になって、写っている写真が、たくさん、あったからである。
植草一秀は、その女性を、知っていた。
東京大学には、1974年に、前川喜平、泉、山森、の、三人によって、作られた、アルディック、というテニスサークル、があるのである。
もちろん、テニスが好きで、テニスを楽しむために、作られたサークルではない。
日本女子大学。お茶の水女子大学。聖心女子大学、などの、女子大学の生徒を、勧誘して、合コン、をするために、つくられたインカレサークルである。
植草一秀も、友人に誘われて、そのサークルに参加したのである。
学生時代、そして、大学に入っても、勉強一筋の、植草一秀だったが、ある時、友達、3人が、(おい。植草。お前も勉強ばかりしていないで、合コンに、行ってみないか?)、と、誘ったのである。
植草一秀は、興味本位で、友達と、合コンに、行ってみた。
相手の女性は、聖心女子大学の、女子大生、3人だった。
東大生3人と、聖心女子大学の、生徒3人、が、お互いに、喫茶店に入って、話しているうちに、植草一秀は、山崎夏子、という女性を、気が合ってしまった。
そして、付き合うようになった。
二人で、ボーリングに行ったり、映画を観たりと。
頭のいい、植草一秀は、夏子に、勉強を教えてやったり、優しく接した。
(将来は、夏子と結婚・・・)
ということまで、本気で考えた。
しかし、植草一秀は、東大経済学部を卒業して、野村総合研究所に入社し、経済調査部を担当するように、なると、仕事が忙しくなって、夏子と、会えなくなってきた。
一方の、夏子も、聖心女子大学を卒業すると、××物産に就職したが、一年後、夏子の父親の命令で、××物産の、エリート社員、佐藤隆司と、見合い結婚させられて、結婚してしまったのである。
それ以来、二人は、会うことが、無くなった。
「植草さん。その写真、の女性に、見覚えが、ありますか?」
「ああ。あるとも。大学時代、付き合っていた、山崎夏子さんだ」
「そうですよ」
と、京子は、ニコッと、笑って、言った。
「じゃあ、もしかして君は、夏子さんの、娘さん、なんだね?」
「ええ。そうです」
「そうか。これで、やっと、納得できたよ」
と、植草一秀は、は、ほっと、胸を撫でおろした。
「母は、三年前に、交通事故で死んでしまいました」
「ええー。そうだったの。知らなかった」
「植草さん。母は、よく、植草さんの、ことを、よく、話してくれましたよ。本当は、植草一秀さんと、結婚したかったけれど、会社での、玉の輿の、ため、仕方なく、父と、結婚した、と、言っていましたよ」
「そうだったのか。僕が、もう少し、早く、プロポーズしていれば、夏子さんと、結婚できたのに・・・」
と、植草一秀は、残念そうに、言った。
「植草さん。近くに、テニススクールがあります。コートを借りて、一緒に、テニス、やりませんか?」
京子が提案した。
「ああ。いいけれど・・・僕は、ラケット、持ってないし・・・」
「大丈夫ですよ。テニススクールには、貸しラケットが、あって、タダで貸してくれますから・・・」
「ふーん。そうなんだ」
「じゃあ、行きましょう」
こうして、二人は、近くの、テニススクールに行った。
「植草さん。テニスを、やったことは、ありますか?」
「夏子さんと、アルディックという、東大のテニスサークルで、数回、彼女と、やったことがあるよ」
「じゃあ、やりましょう」
そうして、二人は、ラリーを始めた。
植草一秀は、運動が、苦手だったので、あまり、上手く出来なかった。
しかし、多少なりとも、テニスをやったことがあったので、初心者レベルでは、あったが、多少は、出来た。
「植草さーん」
京子が、ネットに近づいてきた。
植草一秀も、ネットに、寄って来た。
「なあに?京子ちゃん」
「試合をしませんか?」
「いいけど・・・・」
「では。フィッチ」
と、言って、京子は、ラケットヘッドを、コートにつけた。
「スムース」
と、植草一秀が言った。
京子は、ラケットを、クルクルクルッ、と、回した。
ラケットは、クルクルクルッ、と、回って、パタリと、コートの上に、乗った。
ラケット面を見ると、「ラフ」、だった。
「ラフですね。では、サービス、か、レシーブ、かは、私が決める権利がありますよ」
「ああ。そのくらいのルールは、知っているよ」
「じゃあ、私から、サービスしても、いいですか?」
「ああ。いいとも」
「では、ベースラインに下がって下さい」
「ああ」
言われて、植草一秀は、ベースラインに下がった。
京子もベースラインに下がった。
「じゃあ、いきますよー」
そう言って、京子は、ボールを、宙高く、トスアップした。
そして、頭の上の、ボールを、サーブした。
ボールは、かなり、速く、センターギリギリに入った。
植草一秀は、あわてて、ボールをとりに、走った。
しかし、そうとう速い球だったので、植草一秀は、返せなかった。
京子の、サービスエースである。
「15―0」
と、京子は、言った。
位置を、変えて、二度目のサービスを、京子は、打った。
これも、植草一秀は、とれなかった。
「30―0」
と、京子は、言った。
また、位置を、変えて、三度目のサービスを、京子は、打った。
これも、植草一秀は、とれなかった。
「40―0」
と、京子は、言った。
マッチポイントとなった。
また、位置を、変えて、四度目のサービスを、京子は、打った。
これも、植草一秀は、とれなかった。
京子の、ストレート勝ち、だった。
「京子ちゃん。上手いね」
「いえ。それほどでも・・・・」
と、言いつつも、京子は、高校の、テニス部員で、都大会では、優勝したことも、あるほどの実力だった。
サービスが、変わって、植草一秀の、サービスの番となった。
「じゃあ、今度は、植草さんの、サービスの番ですよ」
京子が言った。
「うん」
植草一秀は、たどたどしい動作で、ボールを、トスアップして、サービスした。
しかし、植草一秀は、初心者だったので、ネットしたり、オーバーしたりと、ボールを相手のサービスコートに入れることが出来ず、全部、ダブルフォルトの連続で、ラブゲームで、負けた。
「京子ちゃん。ちょっと、休憩させて」
植草一秀が言った。
「ええ」
二人は、ベンチに並んで、座った。
「はい。植草さん」
と、言って、京子は、植草に、ポカリスエットを、渡した。
植草一秀は、ポカリスエット、を、ゴクゴク飲んだ。
「いやー。京子ちゃん。上手いね。とても、かなわないよ」
「いえ。それほどでも・・・」
と、言って、京子も、ポカリスエット、を飲んだ。
「ふふふ。植草さん。私。私、勉強は、全科目、植草さんに、全然、かなわなくて、植草さんより、あらゆる点で、下の人間だと、劣等感を持っていましたけれど、テニスは、私の方が、上ですね。何だか、劣等感が、少し、解消されて、嬉しくなってきました」
と、京子は、悪戯っぽく笑った。
「では、続きをしましょう」
「よし。やろう」
そう言って、二人は、また、コートに入った。
京子は、今度は、全力サーブではなく、遅い山なりの、サーブを打って、手加減してやった。
植草一秀は、何とか、かろうじて、それを、返すことが出来た。
しかし、植草一秀は、日頃、運動は、全然していないので、ボールを追いかけつづけて、ヘトヘトに疲れた。
なので、京子は、全力のストロークではなく、山なりの、ゆるい球を、植草一秀の、打ちやすい、フォア側に、手加減して、打ってあげた。
なので、植草一秀も、何とか、球を返すことが出来た。
京子の手加減によって、「30―40」、までにしてやった。
しかし、マッチポイントからは、強烈スマッシュ、や、ドロップショット、で、勝ち、までは、譲らなかった。
今度は、植草一秀が、サービスの番となった。
「植草さん」
京子が、声をかけた。
「植草さん、が、サービスすると、全部、ダブルフォルトになってしまいます。なので、私が、全部、サービス、で、試合をしても、いいでしょうか?」
京子が聞いた。
「ああ。僕としても、そうしてもらえると、助かるよ」
植草一秀が、言った。
それで、その後は、全部、京子が、サービス、をする、試合をした。
京子は、全力サーブではなく、植草一秀が、とりやすいように、山なりの、サーブを、打ちやすい、フォア側に打ったので、植草一秀も、何とか、レシーブで、ボールを、返すことが出来た。
ストロークでも、京子は、手加減してやって、「40―30」、まで、つなげてやった。
しかし、マッチポイントでは、勝利までは、譲らず、スマッシュ、や、ドロップショット、で、決めた。
テニスを、始めて、1時間、経っていた。
植草一秀は、日頃、運動は、全然していないので、ボールを追いかけつづけて、ヘトヘトに疲れていた。
「植草さん。そろそろ、終わりにしましょう。疲れたでしょう?」
京子が言った。
「ああ。日頃、運動なんて、全然、していないからね。ヘトヘトに疲れたよ」
と、植草一秀は、言った。
「では、家にもどりましょう」
そう言って、二人は、京子の家にもどった。
「しかし、京子ちゃん。テニス、上手いねー。驚いたよ。テニス部に入っているの?」
「ええ。一応。テニス部に入っています。でも、特別、上手いわけでは、ないですよ。テニス部の、部員の、普通のレベルですよ」
と、京子は、女子シングルスで、高校の、都大会でも、優勝したことも、あるほどの実力でありながら、普通、を、装った。
「ふふふ。植草さん。私。勉強は、全科目、植草さんに、全然、かなわなくて、植草さんより、あらゆる点で、下の人間だと、劣等感を持っていましたけれど、テニスは、私の方が、上ですね。何だか、劣等感が、少し、解消されて、嬉しくなってきました」
と、京子は、悪戯っぽく笑った。
「植草さん。私、今日、植草さんが、来るので、お菓子を、作っておきました。よろしかったら、召し上がって下さい」
そう言って、京子は、フォンダンショコラ、と、シュークリーム、を、持ってきた。
そして、紅茶も。
植草一秀は、フォンダンショコラ、と、シュークリーム、を、見て、目を白黒させた。
「ええー。これ。君が作ったのー?」
菓子は、あまりにも、市販の、それと、見分けがつかないほど、だったので、植草一秀は、びっくりした。
「ええ。私。お菓子、作るの、趣味なんで・・・」
植草一秀は、フォンダンショコラ、を、とって、食べた。
「美味い。これは、プロ級だ」
と、植草一秀は、言った。
「ふふふ。そう言って、もらえると、嬉しいです。私。勉強は、苦手だけど、お菓子を作るのは、得意なんです」
と、京子は、言った。
「たくさん、作りましたので、うんと、召し上がって下さい」
植草一秀は、そう言われて、京子の作った、フォンダンショコラ、と、シュークリーム、を、全部、食べた。
「植草さん」
「何?京子ちゃん」
「考えてみれば・・・当然のことですが・・・私は、植草さんに、痴漢されたんですよねー」
と、京子は、思わせぶりな口調で、言った。
植草一秀は、咄嗟に、その事実を思い出して、焦った。
「す、すまない。酒に酔っていたとはいえ、弁解の余地が無い。申し訳なかった」
「ふふふ。私が、警察に、訴えれば、今からでも、警察は、植草さんを、逮捕しますよ。あの時、(痴漢はやめなさい)、と言った、目撃者も、証人として、名乗り出るでしょう。日本の、痴漢の有罪率は、99.9%です。今からでも、警察に、訴えようかなー」
と、京子は、虚空を見て、独り言のように、言った。
それは、勝者の優越感に浸っているような、感じだった。
「京子さん。すまない。どうか、訴えないで下さい。何卒、穏便にはからって頂けないでしょうか?」
「じゃあ、私の、お願い、聞いてくれますか?」
「はい。何でも」
「じゃあ、私の家庭教師になって下さい。植草さんの時間のある時で、いいです。そうすれば、痴漢されたことは、保留にしておきます」
「ああ。ありがとう。それぐらいなら、お安い御用だ。むしろ、嬉しいくらいだ。夏子さんの娘さんの家庭教師になれるなんて・・・」
こうして、植草一秀は、佐藤京子の、家庭教師になることになった。
植草一秀は、週に2回、佐藤京子、に、英、数、国、理、社、全科目を教えた。
「2」
ある日のことである。
京子は、学校が終わって、電車に乗って、帰宅の途に着いた時のだった。
電車が、蒲田駅に着いて、京子が、降りて、改札を出ると、京子は、後ろから、ポンと、肩を叩かれた。
振り返って見ると、一人のスーツを着た、男が、立っていた。
見知らぬ男だった。
「君。突然、すまないが、少し、君に話したいことが、あるんだ。少し、話してくれないかね?」
京子は、この、唐突な申し出に、キョトンとした。
しかし、相手の男は、礼儀正しそうである。
「ええ。いいですけれど・・・」
「それは、ありがたい。ちょっと、立ち話も、何だから、喫茶店にでも入って、話さないかね?」
「ええ。いいですけれど・・・」
すぐ、近くには、よく行く喫茶店、ドトールコーヒー、が、あった。
「では、そこに、入って、少し、話してもいいかね?」
「ええ。いいですけれど・・・」
こうして、二人は、ドトールコーヒー、に、入った。
「君。日向女子高等学院の生徒だね。制服から、わかるよ」
男が言った。
「ええ。そうですけど・・・」
「で、家は、蒲田なのだから、君は、学校にぱ、京急線で、通学しているんだね?」
「ええ。そうですけど・・・」
「ところで、君は、植草一秀という男を知っているかね?経済学者だ」
「ええ。知っています。2年前の、2004年(平成16年)に、品川駅のエスカレーターで女子高生のスカートの中を手鏡で覗こうとして現行犯逮捕されましたよね。ニュースで、大きく報道されましたから、知っています」
「そうか。植草一秀の家は、品川駅で、京急線に、よく乗るから、君は、朝、か、夕方に、植草一秀と、一緒の電車に、乗り合わせることは、ないかね?」
「ええ。ありますよ。私。植草一秀さんの、顔、知っていますから。何度か、同じ車両に乗ったことが、ありますよ。あっ。植草一秀さんだって」
「そうか。ところで、君は、植草一秀について、どう思う?」
「どう思う、って、どういうことですか?」
「彼は、エコノミストとして、そして、コメンテーターとして、偉そうに、世間の不正、を、批難しているクセに、女子高生のスカートの中を手鏡で覗くなんて、最低なヤツだと思わないかね?」
「でも、植草さんは、無実を主張していますし、品川駅のエスカレーターには、防犯カメラ、があって、植草さん、は、防犯カメラ、を、再現して欲しい、そうすれば、真実がわかるから、と、主張しているのに、検察は、それを、使っていません。これは、どう考えても、おかしい、と思います」
「それは、防犯カメラ、が、故障していたからさ」
「そうなんですか?」
「ああ。そうだとも」
「ところで、私に、話したいことが、あると言って、いましたけれど、それは、何ですか?」
「植草一秀は、日本のガンだ。あいつを、徹底的に懲らしめなければならない。そこでだ。植草一秀は、9月13日の、品川午後10時発の、京急本線の下りの快特電車に乗る。あいつは、いつも、最前の車両に乗る。そこで、君に、品川午後10時発の、京急本線の下りの電車に乗って、欲しいんだ。あいつは、その日、酒に酔っている。そこで、あいつの近くに、行って、(痴漢―)、と、叫んで欲しいんだ。それだけでいい。頼み、というのは、それだけだ」
「・・・・」
京子は、黙って聞いていた。
「君も、お小遣い、が、少なくて困っているだろう。これは、少ないけれど、謝礼だ。100万円、入っている。どうか、受け取ってくれ」
と、男は、封筒を差し出した。
京子は、しばし、黙っていた。
が、
「わかりました。そうします」
と、京子は、言った。
「そうか。ありがとう。では、くれぐれも、よろしく頼むよ」
そう言って、男は、ドトールコーヒー、を、出ていった。
・・・・・・・・・・
京子は、あの男は、きっと、植草さんを、おとしめたい人だと、思った。
9月13日のことである。
その日、その日、植草一秀は、「植草一秀を応援する会」、に呼ばれた。
植草一秀は、決して、酒は飲むまいと、決意していた。
しかし、「植草一秀を応援する会」、の会長に、さかんに、紹興酒を勧められたので、一杯だけなら、と、植草一秀は、紹興酒を飲んだ。
植草一秀は、無類の酒好きなので、
「それでは・・・一杯だけ」
と言って、一杯、飲んだ。
植草一秀は、家でも、京子の忠告から、禁酒していたので、久しぶりに飲む酒は、この上なく、美味かった。
植草一秀は、つい、もう、一杯、もう一杯、と、植草一秀は、紹興酒を飲んでしまった。
「植草一秀を応援する会」、が、終わりになる頃には、植草一秀は、紹興酒を、20杯、ほど、飲んで、ぐでんぐでん、に、酔っぱらっていた。
そして、帰りの、京急線に乗った。
・・・・・・・・・・・・・
京子は、品川、午後10時発の、下りの、京急線に乗った。
そして、植草一秀を、探し出そうと、走っている電車の中を、走り回って、各車両を点検した。
そして、べろんべろんに、酔って、座っている植草一秀を見つけた。
京子は、何が起こるのかは、わからないが、「きっとこれは何かある」、と、思っていたので、その場に居合わせることで、証人になれる、と思っていたのである。
車両は、ギューギュー詰めでは、なく、座席は、全部、人が座っていて、立っている人が、数人いる程度だった。
植草一秀は、座席に、座って、グーグー、いびきをかきながら、寝ていた。
出来たら、京子は、植草一秀の隣に、座りたかったのだが、植草一秀の隣には、すでに、女子高生が座っていた。
京子は、その、女子高生を、見て、驚いた。
「あっ」、と、驚きの声を出した。
制服から、彼女は、京花女子高等学校の生徒だと、わかった。
京子の、日向女子高等学校、と、京花女子高等、は、距離的にも近い。
スポーツ部、の部活で、日向女子高等学校、と、京花女子高等、は、対抗試合、や、練習試合、を、することが、しょっちゅう、あった。
京子は、その女生徒も知っていた。
3年の、バレーボール部、の、キャプテンの、大森順子である。
彼女は、強烈な、スパイクが、得意で、彼女に、スパイクされると、まず、とることは、出来ず、決まってしまった。
京子は、彼女と、話したことは、無かったが、バレーボール部の、対抗試合の時は、必ず、観戦したいたので、大森順子を知っていた。
京子は、順子に、気づかれないように、植草一秀と、向かいの席に座った。
電車が、京急蒲田駅に、近づいた時である。
植草一秀の隣に、座っていた順子が、
「痴漢―」
と、大声で叫んだ。
植草一秀は、あまりの大声に、パッ、と、目覚めた。
そして、辺りを、キョロキョロ、見まわした。
すると、右隣に座っていた女子高生が、皆に、
「この人、痴漢です。さっきから、ずっと、私の、お尻、や、胸を、触り続けていたんです」
と、隣の植草一秀の手を、つかんで言った。
植草一秀は、紹興酒の酔いのために、何が起こったのか、さっぱり、わからなかった。
植草一秀の前にいた、男二人が、
「あっ。お前は、植草一秀じゃないか」
「2年前にも、女子高生のスカートの中を手鏡で、覗いて逮捕されたのに。お前の、性懲りもない、痴漢の性癖は、治らないんだな」
と、言って、植草一秀の、腕を、ガッシリと、つかんだ。
京急線が、蒲田駅に着いた。
「植草一秀。出ろ」
植草一秀は、蒲田駅で、二人の男に、引きずり出されるようにして、降ろされた。
そして、駅事務室に連れて行かれた。
「駅長。こいつは、痴漢です。引き渡します」
「こいつは、植草一秀です。2年前にも、女子高生のスカートの中を覗き見した、ことは、覚えているでしょう」
と、二人の男は言った。
そう言って、二人の男は、植草一秀を駅長に引き渡した。
「御協力、ありがとうございます。あとは、警察に連絡して、引き渡しますので、おまかせください」
と、駅長は言った。
「植草一秀。すぐに、警察に電話するからな。お前の顔は、みんなに、知れ渡っているから、逃げても無駄だぞ。じっとしていろ」
そう言って、駅長は、すぐに、警察署に電話した。
植草一秀は、ここに至って、ようやく、まだ酔いながも、自分が置かれている状況を察した。
(どうやら。オレは、寝ている間に、隣に座っていた、女子高生に、触った、痴漢に、されてしまったらしい)
植草一秀の頭に、2年前の、「手鏡、スカート覗き事件」、の悪夢が、思い出された。
(オレは、これから、警察に連れて行かれるだろう)
警察、の、取り調べで、いくら、無実を、訴えても、無駄だ。
日本の司法は、狂っている。
マスコミも、喜んで、大々的に、また、報道するだろう。
マスコミにつるし上げられるのは、もう、まっぴらだ。
(もう、こうなったら、死ぬしかない)
植草一秀は、そう、酔った頭で、ぼんやりと思った。
植草一秀は、駅長が、植草一秀に背を向けて、警察と、電話している、隙に、ネクタイを、外した。
そうして、ネクタイを首に巻いて、急いで、首を吊ろうとした。
その時である。
「ダメ。植草さん。死んじゃだめ」
そう言って、一人の少女が、植草一秀の体に、しがみついてきた。
京子だった。
「植草さん。はやまったことは、しないで。お願い。私は、植草さんの、正面の席で、ずっと、植草さんを見ていました。私が、証人になります。ですから、お願いですから、はやまったことは、しないで下さい」
京子は、必死に訴えた。
植草一秀は、京子の、涙がかった澄んだ瞳を見た。
植草一秀の心が動いた。
「わかった。京子ちゃん。ありがとう。あやうく、はやまった事をする所だった」
そう言って、植草一秀は、首吊り、を、やめた。
やがて、警視庁から、パトカーが、やって来た。
そして、二人の警察官が、駅長に、
「どうもご苦労様でした」
と、お礼を言った。
そして、植草一秀を見て、
「また。お前か。懲りないヤツだ。植草一秀。お前を逮捕する。警察署へ来い」
と、言った。
植草一秀は、黙って頷いた。
そして、二人の警察官と、共に、パトカーに乗り込んだ。
そして、警視庁に連行された。
連日のように、「犯行を認めろ」、の、一点張り、自白の強要の取り調べ、が、行われた。
しかし、植草一秀、は、否認を貫き通した。
それは、2004年の、「手鏡、スカート覗き事件」、の、決して、取り調べに、屈してはならない、との教訓から、と、事件を、一部始終、目撃していた、京子が証人になって、くれる、という、京子に対する、期待からだった。
「3」
翌日の朝、京子は、京花女子高等学校の正門の前で、生徒が、来るのを待っていた。
ちらほら、と、生徒が、やって来だした。
しばしして、京子は、大森順子、の姿を見つけた。
京子は、大森順子に、近づいた。
「おはようございます。大森順子さん」
と、京子は、頭を下げて、挨拶した。
「あなたは誰?制服から、日向女子高等学校の生徒だとは、わかるけど、あなたは、初めて見るわ」
「あ、あの。順子さん。ちょっと、お話していただけないでしょうか?放課後でも、構いません」
「何の話?」
「順子さん。私、昨日、植草一秀さんと、同じ車両にいました。そして、順子さんに、気づかないよう、私、植草さん、と、あなた、のことを、ずっと、見ていました。植草さんは、順子さんに、触ってなんか、いないじゃないですか。どうして、植草さんのことを、(痴漢―)、なんて、叫んだんですか?」
「あら。なんだ。そんなこと、だったの。私は、本当に、痴漢されたんだもの。だから、(痴漢―)、って、叫んだだけよ。そんな話なら、したくないわ。不愉快だわ・・・」
そう言って、順子は校内に入っていった。
順子に、とりあおうという気は、全く無かった。
京子は、順子が、植草一秀を、痴漢に仕立て上げようと、している、と、確信していたので、その決定的な、証拠をとるために、何とかしようと思った。
京子は、同じクラスの、親しい、正義感の強い、桂子に、昼休み、会いに行った。
桂子は、バレーボール部で、大森順子も、バレーボール部で、対抗試合などで、親しい間柄である。
桂子は、正義感の強い、生徒だった。
「桂子。お願いがあるの?」
京子が言った。
「なあに?」
「京花女子高等学校の、バレーボール部の、順子さんに、植草一秀さんの、痴漢のことを、聞いて欲しいんです」
「どうして?」
「桂子。あなたは、植草一秀さんの、痴漢のことを、どう思う?」
京子が、桂子を、じっと見詰めて聞いた。
「うーん。そうねー。植草一秀さんは、紹興酒を、20杯も、飲んで、ぐでんぐでんに、酔っていたんでしょ。そんな人が、痴漢なんて、出来るかしら?それに、植草一秀さん、は、2年前の、2004年にも、エスカレーターで、手鏡で、女子高生の、スカートを、覗いたんでしょ。それで、全ての仕事を失ってしまったんでしょ。そういう人は、もう、二度と、痴漢じみた、ことは、しないと、思うわ」
と、桂子が言った。
京子は、(やった。見方をみつけた)、と、内心、喜んだ。
「じゃあ、桂子。順子さんに、植草一秀さんの、痴漢のことを、喫茶店か、どこかで、二人きりで、聞いてくれない?」
「わかったわ」
「そして、その会話を、こっそり、スマートフォンに、録音して欲しいの?」
「いいけれど、どうして、京子は、そんな事を、私に頼むの?」
「私。植草一秀さんと、親しいの。だから、植草さんを、救いたいの。このままだと、植草さんは、また、痴漢にされてしまうでしょ。だから、植草さんに、有利な、決定的な証拠を手に入れたいの」
「ふーん。京子は、植草さんと、親しいのね。何か、よくわからないけれど、その役目、私。引き受けるわ」
と、桂子が言った。
こうして、二人は別れた。
「4」
数日後のことである。
その日は、日向女子高等学校、と、京花女子高等学校、の、バレーボール部の、練習試合で、日向女子高等学校の、バレーボール部の、部員たちは、京花女子高等学校に行った。
対抗試合の部活が、終わった。
部員たちは、着替えて、帰途についた。
「順子。ちょっと、喫茶店に寄らない?」
と、桂子は、順子を誘った。
「ええ。いいわよ」
と、順子は、応じた。
二人は、喫茶店、ドトールコーヒーに入った。
二人は、こんな会話を始めた。
「順子。痴漢にあって、大変だったわね」
と桂子。
「いやあ。私、本当は、痴漢なんか、されていないわ」
と順子。
「ええっ。それ。一体、どういう事?」
と桂子。
「あのね。数日前に、見知らぬ男に、相談をもちかけられたの」
と順子。
「どんな相談?」
「9月13日に、京急線に乗って、植草一秀さんの、隣に座って、(痴漢―)、って、叫んでって。そうしたら、100万円、あげるからって」
「それで、順子は、どうしたの?」
「引き受けたわ」
「ふーん。そうだったの。じゃあ、植草さんは、冤罪なのね」
「ええ。そうよ」
「でも、何のために、植草一秀さんを、痴漢にする必要があるのかしら?その人は何か言ってなかった?」
「知らないわ。そんなこと」
「でも、そんなことしたら、植草さんが、可哀想じゃない?」
「だって、植草一秀さん、って、2年前も、痴漢じみたことを、しているじゃない。きっと、痴漢の常習犯なのよ。だから、懲らしめておいた方が、いいと思うの」
「でも、どうして、その男は、順子に、その役割り、を、頼んだのかしら?」
「それはね。何でもね。以前、日向女子高等学校の女生徒にも、同じ事を頼んだらしいわよ。その生徒は、引き受けたらしいわ。でも、彼女は、何だか、うかない顔をしているので、その男は、この子は、もしかすると実行しないかもしれない、と思ったんだって。それで、万全を期すために、彼女が、(痴漢―)、って、叫ばなかったら、代わりに、私が、植草一秀、に、(痴漢されたー)って、叫んでくれって、頼んだの」
「ふーん。そうだったの。知らなかったわ」
それから、少し、たわいもない雑談をして、二人は、喫茶店を出た。
・・・・・・・・・・
翌日、桂子は、京子のクラスに来た。
「京子。植草一秀さんの、痴漢事件のこと、聞いて、録音しておいたわよ」
そう言って、桂子は、昨日の会話を録音した、スマートフォンを、京子に渡した。
「ありがとうございました。それで、どうでした?」
「やっぱり、あれは、冤罪だったわ」
と、桂子は言って、スマートフォンを取り出した。
「これを、聞いて」
そう言って、桂子は、昨日の順子との、会話を再生した。
順子と桂子の会話が、再生された。
京子は、ほっとした。
「ありがとう。桂子」
そう言って、京子は、その会話を、自分の、スマートフォンに、移した。
「5」
やがて、×月×日。東京地裁で、植草一秀の、飲酒痴漢事件の、初公判が開かれた。
植草は、「天に誓ってやっていません」、と無罪を主張した。
・・・・・・・・・・・
同年×月×日。第2回目公判が開かれた。
検察側証人として目撃者が出廷し、被害女性の、順子も、証人尋問に応じた。
検察側証人の目撃者は「痴漢をしたのは植草被告人に間違いありません」と、毅然とした態度で述べた。
・・・・・・・・・・・
×月×日。第3回目公判が開かれた。
弁護側証人として、京子が、出廷した。
裁判官「それでは、これから、植草一秀、飲酒痴漢事件の、第3回、公判を行います。本日は、証人として、佐藤京子という女性が、来ています。では、まず、佐藤京子さんには嘘を言わないという宣誓をしてもらいます。 宣誓書を読み上げてください」
佐藤京子「良心に従って真実を述べ、なにごとも隠さず、偽りを述べないことを誓います」
裁判長 「いま宣誓してもらったとおり,質問には記憶のとおり答えてください。 わざと嘘を言うと、「偽証罪」という罪で処罰されることがあります。それでは、どうぞ」
弁護士「あなたの職業は?」
佐藤京子「高校生です」
弁護士「あなたは、被告人・植草一秀氏と、どのような関係なのですか?」
佐藤京子「植草一秀さんは、私の家庭教師で、私の友達です」
弁護士「それを証明できる物はありますか?」
佐藤京子「はい。×月×日。××テニススクールで、テニスコートを借りて、一緒に、テニスをしたことが、あります。ですから、テニススクールに、問い合わせれば、スクールの人が、証人になってくれます。それと、私と植草一秀さん、を一緒に写した写真がありますから、それが証拠になると、思います。植草一秀さんが、私の部屋で、私と写した写真もあります」
弁護士「あなたは、9月13日、植草一秀氏、が、事件を起こした時、どこに、いましたか?」
佐藤京子「私は、植草一秀さんと、同じ車両の、向かい側の席に、座って、いました」
弁護士「あなたは、植草一秀さんの、痴漢事件を目撃していましか?」
佐藤京子「はい。私は、ずっと、植草一秀さんの、行動を注意深く見ていました」
弁護士「どうして、あなたは、植草一秀さんの、行動を注意深く見ていたのですか?」
佐藤京子「はい。また再び、植草一秀さん、が、国策捜査によって、痴漢冤罪にされて、しまうのではないか、という不安があったからです」
弁護士「あなたは、どうして、そういう不安を持ったのですか?」
佐藤京子「私は、事件の前に、植草一秀さん、を、痴漢冤罪にするよう、見知らぬ男から、頼まれたことが、あるからです」
弁護士「それは、具体的に、どういうことを、頼まれたのですか?」
佐藤京子「はい。私は、以前、ある見知らぬ男に、声をかけられ、喫茶店、ドトールコーヒー、に入りました。そして、そして、9月13日に、品川10時発の、京急線に乗って、植草一秀さん、のいる車両に行って、植草一秀さんの近くで、(痴漢―)、と、叫んで、欲しい、と言われました。その男は、謝礼として、100万円、私にくれました」
弁護士「それを、証明できる物は、ありますか?」
佐藤京子「ドトールコーヒーは、私が、帰りがけに、勉強のため、よく行く喫茶店です。ですから、あの日のことも、喫茶店の店員さんが、覚えていて、証人になってくれると思います」
弁護士「では。あなたは、被害者の順子さんが、虚偽の答弁をしていると、考えているのですか?」
佐藤京子「はい」
弁護士「それを証明できる物は、ありますか?」
佐藤京子「はい。あります」
弁護士「それは、何ですか?」
佐藤京子「私の学校の、同じクラスで、親友の、バレーボール部の、桂子さん、に、被害者である、京花女子高等学校の、バレーボール部の順子さんに、対して、植草一秀さん、の事件のことを、話してもらい、それを、録音してもらいました」
弁護士「その録音テープを、あなたは、今、持っていますか?」
佐藤京子「はい。今、持っています」
弁護士「裁判長。今、そのテープを再生することを求めます」
裁判長「許可します」
佐藤京子は、スマートフォン、を、取り出した。
そして、ボリューム・Maxで、再生した。
順子、と、桂子、の、会話が、再生された。
・・・・・・・・・・・
「順子。痴漢にあって、大変だったわね」
と桂子の声。
「いやあ。私、本当は、痴漢なんか、されていないわ」
と順子の声。
「ええっ。それ。一体、どういう事?」
と桂子の声。
「あのね。数日前に、見知らぬ男に、相談をもちかけられたの」
と順子の声。
「どんな相談?」
と桂子の声。
「9月13日に、京急線に乗って、植草一秀さんの、隣に座って、(痴漢―)、って、叫んでって。そうしたら、100万円、あげるからって」
と順子の声。
「それで、順子は、どうしたの?」
と桂子の声。
「引き受けたわ」
と順子の声。
「ふーん。そうだったの。じゃあ、植草さんは、冤罪なのね」
と桂子の声。
「ええ。そうよ」
と順子の声。
「でも、何のために、植草一秀さんを、痴漢にする必要があるのかしら?その人は何か言ってなかった?」
と桂子の声。
「知らないわ。そんなこと」
と順子の声。
「でも、そんなことしたら、植草さんが、可哀想じゃない?」
と桂子の声。
「だって、植草一秀さん、って、2年前も、痴漢じみたことを、しているじゃない。きっと、痴漢の常習犯なのよ。だから、懲らしめておいた方が、いいと思うわ」
と順子の声。
「でも、どうして、その男は、順子に、その役割り、を、その男は、頼んだのかしら?」
と桂子の声。
「それはね。何でもね。以前、日向女子高等学校の生徒にも、同じ事を頼んだらしいわよ。その生徒は、引き受けたらしいわ。でも、彼女は、何だか、うかない顔をしているので、その男は、この子は、もしかすると実行しないかもしれない、と思ったんだって。それで、万全を期すために、彼女が、(痴漢―)、って、叫ばなかったら、代わりに、私が、植草一秀、に、(痴漢されたー)って、叫んでくれって、頼んだの」
と順子の声。
「ふーん。そうだったの。知らなかったわ」
と桂子の声。
ここで、京子は、テープを切った。
被害者である順子の顔が、みるみる青ざめた。
裁判長「順子さん。あなたは、桂子さんと、この会話をしたのですね?」
順子は、録音された声から、もう、それを否定することは、出来ないと思った。
順子は、気が動転していた。
順子「・・・・し、しました。し、し、し、しかし、それは・・・ふざけて、です。冗談を言っただけです」
「ち、ちくしょう」
思わず、検察官が、口惜しさをもらした。
裁判長「では、判決は、次回、言います。それでは、今回の公判は、これにて、終わりとします」
みなが、立ち上がって、ゾロゾロと、退場していくと、植草一秀は、すぐに、京子の元に駆け寄った。
「京子ちゃん。ありがとう。決定的な証拠を、とってくれて」
「いえ。いいんです」
「それより、君が、順子さんに、意地悪、されないか、心配だ。しばらく、学校へは、行かない方がいい」
「私なら、大丈夫です」
京子は、ニコッと、笑った。
翌日の、全ての、テレビ局は、ニュース、や、ワイドショー、で、「順子と桂子の会話」、の会話を流した。
植草一秀の飲酒痴漢事件を、特ダネとして、放送して、植草一秀の飲酒痴漢事件は、国策捜査による冤罪説、の可能性が極めて高い、という報道番組を大々的に、報じた。
植草一秀は、京子に、「君が順子さんに、意地悪、されないか、心配だ」、と言ったが、植草一秀の心配は、無用だった。
翌日から、学校に来れなくなったのは、順子の方だった。
・・・・・・・・・・
×月×日。植草一秀・飲酒痴漢事件の判決が、言い渡された。
裁判長「主文。被告人・植草一秀を懲役5年。執行猶予5年、とする。被告人は、2006年(平成18年)9月13日午後10時頃、京急本線の品川駅-京急蒲田駅間の下り快特電車内で、京花女子高等学院3年生の、被害者・大森順子さんの、隣に座り、順子さんの、体を触り続けた。順子さんは、抵抗できず、黙って、この暴行に、耐えるしかなかった。順子さんは、その後、心身喪失状態になり、食事も摂れず、睡眠もとれず、毎日、痴漢事件のことばかり、に苦しめられ、ひいては、男性一般にまで、恐れるように、なってしまった。順子さんは、(私は、一生、男と結婚しない)、(男が、全て悪魔に見える)、と、言っており、彼女の受けた、精神的トラウマは、一生、彼女を、苦しめ続け、彼女は自殺する可能性も十分あると、考えられる。彼女の、受けた精神的苦痛は、想像に余りある。さらに、被告人は、取り調べ、に、おいて、犯行を認めていながら、自らの保身のため、一転、無実を主張するなど、反省の態度が全く見られない。また、被告人は、2004年(平成16年)4月8日午後3時頃、品川駅のエスカレーターで女子高生のスカートの中を手鏡で覗こうとしたとして鉄道警察隊員に現行犯逮捕された前科が、あるにも、かかわらず、1年半で、また、悪質な痴漢行為を行った。なお、証人、佐藤京子、の示した、録音テープは、心神耗弱におちいった、被害者の、荒唐無稽な発言であることは、明らかであり、ここまで、被害者の、心身を錯乱させた、被告人の、罪は、許しがたいものがある。これらの事実から、被告人が、自分の性的快感を得るために、女性に対して、猥褻な行為をする性癖は、常習性があり、再び、同様の犯罪を行う可能性があると、考えられる。よって、被告人を、被告人を懲役5。執行猶予5年、とする。以上」
そう言って、裁判長は、去っていった。
京子の、「順子と桂子の会話」、から、世間の人間は、みな、植草一秀の、冤罪説、を信じて疑わなかったからだ。
ここまで、決定的な証拠を、国民に知られてしまった以上、裁判官、も、検察、も、強引な判決を出してしまうと、検察の信頼性が、疑われるから、植草一秀を、徹底的に、おとしめる判決は、どうしても出せなかったのである。
植草一秀は、急いで、京子の所に駆け寄った。
「京子ちゃん。ありがとう。執行猶予、が、ついたのは、京子ちゃん、が、録音テープを、とってくれた、おかげだよ。そうでなかったら、僕は、拘留され続けただろう」
と、植草一秀は、泣いて、京子に礼を言った。
「いえ。大好きな、かけがえのない、植草さんの、ためですもの」
と、京子は、言った。
「それより、植草さん。控訴するんですか?」
京子が聞いた。
「いや。しないよ。検察も裁判官も、すべて、政府に圧力をかけらけていて、それに従っているだけだ。これは、政府にとって、目障りな発言をする者を葬り去るための、国策捜査だ。控訴したって、判決は、変わらないからね。無意味に、金と時間を、かけるだけなのは、明らかだからね」
と、植草一秀は、言った。
「それより、執行猶予が、ついたんだから、肩の荷が降りたよ」
と、植草一秀は、言った。
「植草さん。今度の日曜、裁判終了パーティーをしませんか?」
「ああ。そうだね。どこかの、レストランで食事しよう。京子ちゃん。どこへ行きたい?」
「どこでも、かまいません」
京子は、ニコッと笑った。
・・・・・・・・・・・・・・・・
その日に植草一秀は、留置場から解放された。
久しぶりに、味わう、自由、である。
植草一秀は、上機嫌たった。
植草一秀には、名古屋大学の教授、や、コメンテーターの依頼が、来るのではないか、という、期待があったのである。
判決は、有罪、だったが、京子が、とってくれた、「順子と桂子の会話」、から、世間は、この事件は、冤罪である、と、植草一秀は、確信してくれると、思った。
しかし、数日、待っていたが、どこかも、電話が来ない。
なので、植草一秀は、自分の方から、各大学に、大学の教授職、や、以前、出ていた、テレビ番組のコメンテーターの仕事を打診してみた。
しかし、全てが、「誠に残念ながら、お受けしかねます」、との返事ばかりだった。
植草一秀は、直感で、これは、竹中平蔵、と、国際金融資本、と、自民党、が、結託して自分に、公の場で、喋らせないよう、圧力をかけたのだと、直感した。
・・・・・・・・・・・・・・・
日曜になった。
植草一秀、と、京子は、ホテルニーオータニの、レストランで、「裁判終了パーティー」、をした。
カンパーイ。
京子は、酒が飲めなかったので、ジュースで、植草一秀は、ワインで、カチン、と、グラスをぶつけ合った。
ゴクゴクゴク。
「いただきまーす」
二人は、パクパクと、豪勢な、フランス料理を食べ出した。
「植草さん。植草さんは、今の小泉政権の、どこが、悪いと思っているのですか?」
京子が聞いた。
「小泉首相は、経済オンチだ。何でも、民営化、すれば、いいと思っている。それを、「改革」、と言っている。これを、新自由主義と言ってね。政府は、あまり、企業に、介入せず、民間企業に、競争させようと、しているんだ。まあ、経済が、好調の時なら、それもいいだろう。しかし、今は、デフレ不況で、銀行は、不良債権を抱えて、困っている。こういう金融不安の時、に、民間企業に競争させれば、弱肉強食で、強い企業が、勝つだけさ。郵便事業は、国営で、働いている人は、公務員だ。公務員は、倒産することは無い。安定した職業さ。公務員は、働かない、などと、言われているけれど、郵便局に行けば、わかるけれど、郵便局員たちは、真面目に働いているだろう。今、郵政事業を民営化させても、経済を混乱させるだけさ。そこで、小泉首相は、竹中平蔵、という民間人を、金融担当大臣、や、郵政民営化担当大臣に任命したんだ。大臣の半分は、民間人から、選んでもいいからね。しかし、郵政事業の民営化、は、実は、アメリカが、日本に、求めたことなんだ。アメリカの、ロックフェラー財団、金融ユダヤ人、などの、アメリカを支配する巨大な資本が、日本の国益を、奪おうとしているんだ。竹中平蔵は、彼ら、の要求を喜んで、受け入れているんだ。なぜなら。アメリカに逆らおうとするのは、いや、逆らう、というより、アメリカと対等な、関係を、アメリカに主張することは、とても勇気が要ることなんだ。アメリカに逆らったら、陰に陽に、アメリカから、いやがらせ、を、受ける。それより、アメリカの言いなりに、なって、その実態を隠している方が、政治は、楽にできるんだ。田中角栄も、アメリカに逆らったから、ロッキード事件で、失脚してしまったんだ。日本人は、小泉フィーバーに、うかされて、みんな、だまされている。竹中平蔵、は、ともかく、言葉巧みに、人をだますのが、うまい。また、竹中平蔵は、「労働の流動化」、といって、労働者派派遣法、を、改悪したんだ。これは、正規社員を減らし、非正規労働者を増やす政策なんだ。派遣会社に登録するだけで、まず、派遣会社に金が入る。そして、どこかの、会社に派遣させれば、派遣会社は、また、金が入る。企業側としては、リストラ移動支援金(労働移動支援助成金)、と言って、企業は、リストラすると、国から、助成金が入る。そして。企業にとっては、派遣会社から、派遣された労働者は、自分の会社の社員ではないので、人件費、はなくなり、派遣会社に、金を払って、頼んだのだから、会社の経費、ということになるんだ。強引な屁理屈さ。派遣労働者の給料は、派遣会社が払っているからね。しかし、企業は、派遣社員に給料を払わなくて労働力を得られるから、そうしてくれた、ありがたい派遣会社に、派遣会社が、社員に払う給料以上の謝礼を払うんだ。だから、会社は、税金を、少なく出来る。つまり、企業は、リストラすれば、するほど、儲かるし、派遣会社も、労働者が、ある企業にリストラされて、別の企業に、再就職する、ほど、儲かるんだ。いまでは、日本は、正社員ではなく、非正規雇用の、派遣労働者、が、たくさん、増えてしまっただろう。竹中平蔵、自身、労働派遣会社である、パソナグループの会長なんだ。搾取されているのは、労働者で、喜ぶのは、企業、と、派遣会社、なんだ。景気をよくするためには、人々が、物、や、サービス、を、買うようにならなくては、ならない。そのために、必要なことは、労働者を安定した正規雇用にして、労働者の賃金を上げることなんだ。しかし、竹中平蔵、の、やっていることは、その真逆で、日本の不景気を推し進めているんだ。りそな銀行の勝田泰久、頭取は私と同様、小泉竹中政権の経済政策を批判していたんだ。りそな銀行は、それまで、何の問題も無く経営できていたんだ。しかし、ロックフェラー財閥は、竹中平蔵に、りそな銀行をつぶすように、命令したんだ。そこで、竹中平蔵は、りそな銀行に、自社株を売却するよう、命じたんだ。りそな銀行は、やむを得ず、自社株を売却した。そのため、経営が不安定になったんだ。りそな銀行の株は、暴落して、紙切れ同然になったんだ。その時、外資系のファンド会社、世界の金融を牛耳る、ロックフェラー財閥、や、自民党議員、などが、紙切れ同然の、りそな銀行の株を、大量に買い占めたんだ。もちろん、竹中平蔵も買った。しかし、竹中平蔵は、金融担当大臣で、国家の政策を決める権限があったから、りそな銀行に、税金を注入して、経営を救って、元のように立て直したんだ。結果、りそな銀行の株は、上がった。ロックフェラー財閥、は、これによって、大儲けしたんだ。しかし、これは、最初に計画したことを、行っただけであって、こうなることは、最初から、わかっていたんだ。これを、インサイダー取引、というんだ。僕が、それを、告発しようとした、まさに、その直前の、2004年(平成16年)4月8日、に、僕は、「手鏡のぞき事件」で、警察に捕まってしまったんだ。これは、明らかに、政府にたてつく者を、抹殺する、国家の犯罪なんだ。僕と同じように、国家を批難して、冤罪にされたり、殺されたりした人は、他にもいるんだ・・・・」
京子は、よくわからないまま、黙って聞いていた。
しかし、植草一秀は、話すことが、出来なくなってしまった。
2004年の、悪夢が、蘇って来たからだ。
植草一秀は、せっかく、京子のおがけで、裁判で、執行猶予が、ついて、一区切り、ついたので、今日は、京子のために、無理して、明るく振舞おうとしていた。
しかし、無理な、やせ我慢も、限界だった。
もう、自分は、経済学者として、公で、活躍できない、という、思いが、植草一秀の胸に、こみ上げてきた。
植草一秀は、急に、黙り込んでしまった。
そして、持っていた、フォークを、落としてしまった。
肩が、ブルブル、震えていた。
「先生。どうしたの?」
京子が聞いた。
「ぼ、僕は、も、もう、すべてを、失ってしまったんだ」
そう言って、植草一秀は、堰を切ったように、泣き出した。
植草一秀は、うつむいて、嗚咽しながら、肩をブルブル、震わせているだけだった。
京子は、なぐさめる言葉を、見つけられなかった。
「先生。無理しないで。泣きたい時は、うんと、泣いて。私も、一緒に泣いてあげるから」
京子も、悲しくなって、目から、涙が溢れ出し、流れ続けた。
その時である。
一人の男が、植草一秀と、京子の、テーブルにやって来た。
「あ、あの。何か、とりこんでいる所を、申し訳ないのですが・・・少し、お聞きしたいことが、ありまして・・・少し、お聞きしても、よろしいでしょうか?」
「は、はい。構いません」
京子が言った。
「あ、あの。失礼ですが・・・お二人は、どのような、関係なのでしょうか?差支えなければ、教えて頂けないでしょうか?」
「そうですね。教師と生徒の関係かな。あるいは、少し、歳の離れた、恋仲、かな」
と、京子は、答えた。
「やはり、そうだと思いましたよ」
「あのー。何で、そんな事を知りたがるんですか?」
京子が聞いた。
「あっ。失礼しました。実は、私は、脚本家でして、野島伸司、と、申します」
「あっ。野島伸司さん、ですね。知っています。いくつか、先生の、脚本の、テレビドラマを見ていますから。私、ファンなんです」
「ああ。そうですか。それは、光栄です。ところで、私は、今、TBSから、高校教師と女生徒の恋、という、テーマの、テレビドラマの脚本を、頼まれているのです。それで、色々と、ストーリーを、考えていたのですが、なかなか、いい、アイデアが、思いつかなくて。それで、今、あなた方が、二人で、泣いているのを、見て、(あっ。これだ)、と、インスピレーションが、閃いたのです。失礼ですが、一体、どのような、ことで、悩んでおられたのでしようか?」
と、野島伸司が聞いた。
「この人は、経済学者の、植草一秀先生、です。植草一秀さん、の事件、知りませんか?」
京子が言った。
「あっ。植草一秀先生、だったのですね。遠くから、見ていたので、気づきませんでした。失礼しました。ところで、あなたは、植草一秀さん、と、どのような、関係なのですか?」
と、野島伸司は、京子に聞いた。
「実は・・・・」
と、言って、京子は、事の顛末を、野島伸司に、詳しく話した。
「なるほど。そういう事だったのですか」
と言って、野島伸司は、腕組みをして、考え込んだ。
しばしして、野島伸司は、口を開いた。
「あのー。今度、つくる、テレビドラマに、ぜひ、出演して、いただけないでしょうか?私の方から、監督に頼んでみます。これ以上の適役は無いと、私は、確信しています」
「うわー。女優になれるなんて、嬉しいな。先生は、どう?」
京子は、植草一秀に、聞いた。
「えっ。でも、いきなり、そんなこと、言われても、私は、役者なんか、したことは、ないし・・・・」
「いや。そんな、難しく考える必要は、全くないですよ。地の性格のまま、演じてくれれば、それで、十分、通用しますよ。ギャラは、はずみますよ」
野島伸司が言った。
植草一秀は、迷った。
京子には、色々と、恩がある。
恩だけではなく、かけがえなく、愛情も持っている。
その京子が、喜んでくれるのなら、これにまさる、恩返し、は、無い。
しかも、植草一秀は、大学教授の職も、コメンテーター、の、職も、失って、これから、どうやって、生計を立てていこうか、と、迷っていた、矢先である。
そんな、ことを、植草一秀は、考えていた。
「わかりました。私で、よければ、お引き受け、致します」
植草一秀は決断した。
「よかったー。それでは、すぐに、ディレクターに、相談してみます」
そう言って、野島伸司は、携帯電話の、番組とメールアドレス、の書かれた、名刺を、渡して、何度も、頭を下げて、礼を言って、去って行った。
数日後、野島伸司、から、佐藤京子に、電話があった。
「佐藤京子さん。プロデューサーに話したところ、佐藤京子、さんと、植草一秀、さん、に、ぜひ、出演を、お願いしたい、ということに、なりました。出演して、頂けないでしょうか?」
と、野島伸司は言った。
「嬉しい」
京子は、小躍りして、喜んだ。
京子は、すぐ植草一秀、にも、連絡した。
「先生。今、野島伸司さんから、連絡が来ました。この前、野島伸司さんが、話していた、テレビドラマの、主演の、ヒーロー、と、ヒロインの、役が、私、と、先生に、決まったそうです。私と一緒に、出演してくれませんか?」
京子が、頼んだ。
「そうか。僕は、役者なんて、やったことは、ないけれど、君には、さんざん、助けてもらっているし、僕は、君が好きだから、君となら、緊張しないで、自然に、会話できそうな気がするよ。やってみるよ」
と、植草一秀、は、言った。
「嬉しい。私、先生が、好きなんですが、私と、先生の、ラブロマンスを、テレビドラマ、という形で、作られて、全国の、視聴者に、見えもらえる、なんて、最高に、嬉しいです」
と、京子は、言った。
こうして、野島伸司、脚本の、テレビドラマ、「高校教師」、の、撮影が始まった。
ストーリーは。
主人公の、羽村隆夫(植草一秀)、は、大学の研究室で三沢祐蔵教授の助手をしていたが、教授は、羽村隆夫(植草一秀)、に、女子高校へ社会科の講師(科目は、政治・経済)として赴任するよう勧めた。羽村隆夫(植草一秀)、は、それを引き受けた。羽村隆夫(植草一秀)、は、3カ月間、女子高の高校教師をした。そして、契約を終え、研究室に戻ろうとしたが、三沢教授は、羽村隆夫(植草一秀)、を相手にしなかった。それは、羽村隆夫(植草一秀)、の書いた、論文を教授が、盗作して、自分の論文にするためであった。羽村隆夫(植草一秀)、は、研究者の道、も、論文も、全て失ってしまった。しかし、女子高に来た時から、羽村隆夫(植草一秀)、に、好意を持っていた、二宮繭(佐藤京子)は、羽村隆夫(植草一秀)、を、慰め、教師、と、女生徒の、温かい、関係が、醸成されていく、という、ものだった。
出演者は。
羽村隆夫 (植草一秀) 経済研究所の若手研究者だが、一時的に、女子校教師となる。
二宮繭 (佐藤京子) 羽村隆夫に好意を寄せる女生徒。
新庄徹 (赤井英和) 保健体育の教師。
藤村知樹 (京本政樹) 女生徒の憧れの、イケメン国語教師。
相沢直子 (持田真樹) 藤村知樹が好きな女生徒。
二宮耕介 (峰岸徹) 二宮繭の父。彫刻家。娘の繭と近親相姦の仲。
三沢祐蔵 (竹中平蔵に似た新人) 羽村隆夫の論文を盗作して、羽村隆夫を罠にはめる悪徳教授。
など、だった。
最初、監督は、羽村隆夫の役は、真田広之、二宮繭の役は、桜井幸子、を、考えていたが、野島伸司の強い、申し出で、急遽、羽村隆夫の役は、植草一秀、二宮繭の役は、佐藤京子、となった。
ストーリーは、羽村隆夫、と、二宮繭、の、関係が、主だった。
京本政樹は、イケメンの英語教師で、全女生徒の憧れ、であったが、女生徒に無関心であった。しかし、なぜか、持田真樹、を、犯して、それを、ビデオテープに撮る、という、変態なのか、意味不明な性格であった。傷ついた、持田真樹は、元プロボクサーで、保健体育教師の、朴訥な性格の、赤井英和、に、なぐさめられ、赤井英和、に好意を寄せていく。佐藤京子の父の、峰岸徹、は、芸術家(彫刻家)だったが、なぜか、娘の、佐藤京子と、近親相姦の関係だった。赤井英和は、京本政樹の悪事を知って、京本政樹を殴る。京本政樹は、なぜか知らないが、意味不明なことを、呟いて、自分の手をナイフで刺す。赤井英和は、京本政樹に暴力を振るったため、退学させられる。ラストは、植草一秀が、京子に、執拗につきまとう、京子の父の、峰岸徹を刺し、植草一秀と、佐藤京子、は、新潟に向かう、エル特急あさま、に、乗り、二人は手をつないで、寝てしまう、という、ものだった。
ストーリーは、荒唐無稽だったが、視聴率は、高かった。
これは、視聴者の意表をつく、ショッキングな、出来事の連続にすれば、ドラマの視聴率が上がるんだから、ストーリーなんか、どうでもいいじゃないか、という、脚本家の、いい加減さ、によるものであった。
ともかく、このドラマの成功によって、佐藤京子、は、人気女優となり、植草一秀、は、演技派俳優、となった。
2007年(平成19年)には、植草一秀には、周防正行、監督・脚本の、「それでもボクはやってない」、という、痴漢冤罪、の、映画の、主人公役に、オファーが来て、植草一秀は、それを引き受けた。
この映画も、大ヒットした。
植草一秀の、実体験に基づく迫真の演技から、植草一秀、は、以下の数々の賞を受賞した。
第32回報知映画賞:最優秀邦画作品賞、最優秀主演男優賞
第31回日本アカデミー賞:優秀主演男優賞
第81回キネマ旬報ベスト・テン:日本映画ベスト・ワン、主演男優賞
第50回ブルーリボン賞:監督賞、主演男優賞
第29回ヨコハマ映画祭:作品賞、監督賞、主演男優賞
同時に、植草一秀、は、小泉純一郎、竹中平蔵、の売国政治、および、自分にふりかかった事件の顛末を、拘置所にいた時に、書いた、「知られざる真実―勾留地にて」、を、出版した。
同時に、植草一秀、は、小学館、徳間書店、講談社、毎日新聞社、朝日放送、に、デタラメを書かれて、名誉棄損された、として、訴えた。
植草一秀、は、気が小さく、あまり、裁判沙汰には、したくなかったのだが、京子が、「先生。訴えた方がいいわよ」、と、強く勧めたので、訴えた。
裁判の結果は、全て、植草一秀、の全面勝訴、となった。
そして、植草一秀、は、その金で、国際政治経済の情報発信、および、投資コンサルティングなどを業務とする、スリーネーションズリサーチ株式会社、を設立した。
京子は、植草一秀の、親切丁寧な、家庭教師のおかげで、大学受験では、慶応大学の経済学部に合格できた。
そして、京子は、大学に通って勉強すると、同時に、スリーネーションズリサーチの事務の手伝いもした。
自民党の腐敗した政治に、国民は、嫌気がさすようになった。
2009年、麻生太郎総理大臣は、解散総選挙を行った。
結果は、民主党の圧勝だった。
政権が交代し、民主党政権となった。
鳩山由紀夫が、総理大臣となった。
しかし、鳩山由紀夫は、与党経験が無いために、「辺野古の基地」問題で、悪質な、石破茂に、徹底的に、批判され、1年も、もたなかった。
次には、菅直人、が首相になったが、2011年3月11日、に、東日本大震災が起こり、その対応の悪さ、から、これも、1年足らず、で、失脚した。
3番目は、野田佳彦が、総理大臣になって、自民党との、大連立を訴えたが、したたかな、自民党は、それを、当然のごとく、拒否した。
野田佳彦は、やむを得ず、消費税増税を訴えたが、これが、国民の不興を買った。
自民党は、勝算あり、と、見て、野田佳彦に、解散総選挙を求めた。
野田佳彦は、約束通り、解散総選挙を、行ったが、結果は、民主党の惨敗、自民党の圧勝となった。
2012年12月26日、から、安倍晋三内閣が、発足したが、安倍晋三は、内閣人事局を、意のままに、操って、さんざんな、悪性を行った。
植草一秀、に、限らず、エコノミストは、みな、安倍政権の、悪政、および、どアホノミクスを批判した。
植草一秀、は、安倍政権を、「戦争と弱肉強食に突き進む政治」、と非難し、「平和と共生」の政治に、変えようと、野党共闘の必要を訴えた。
一方、検察の裏金を告発しようとした三井環事件の有罪判決、鈴木宗男の国策捜査、検察がフロッピーを改ざんした村木厚子事件、小沢一郎の陸山会事件、などで、もう、検察を信用する国民は一人も、いなくなっていた。
2020年になった。
東京で、オリンピックが開催される。
さて、これから、どうなることか。
株価は、どうなるか?
為替は、どうなるか?
アメリカと中国の、関税報復合戦は、どうなるか?
日韓の関係は、どうなるか?
中国、習近平の、一帯一路は、どうなるか?
はたして、どこかの国で、バブルが弾けて、リーマンショック級の、世界的不況が起こるのか?
それは、スリーネーションズリサーチ、に聞いてみましょう。




令和2年3月5日(木)擱筆