それでも生きていこう
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中学生の頃。周りは小学校と同じメンバー。 そんな俺にも初めての友人ができた。 うれしかった。 そいつはとても面白くて、いつもクラスの中心にいた。 あるとき、トイレで用を足している(大)と、外で話し声が。 男1「おまえさあ、あいつと仲良いよな、○○。なんでよ?」 そして、友人の声、、、 「いや、一応席近いしさ、話しかけないとまずいと思ったのよ。 トイレから出れなかった。 父親に悩みを打ち明けたことがあった。 父親は俺にそっくりな無愛想な顔をして 「…生きていれば良いことがあるかもしれない。少なくとも俺は
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葬式にきた数人の同僚、部下、上司は笑っていた。 涙は出なかった、怒りも沸かなかった。 母親も俺と同じ顔をしていたのが印象的だった。 ちいさな会社に入った。 入って3ヶ月目の上司の評価。 仕事は忙しかった。40度近い熱でも休まなかった。休めなかった。 |
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「おはようございます」の一言と、その笑顔が俺を癒してくれた。 「変われるかもしれない」 すでに人を好きになることを諦めていた俺がそう思った。 数ヵ月後。 彼女の答えは 生まれて初めて、生まれて良かったと思えた。 告白した。 それなのに、言えたのはたった一言。 「ごめんなさい。今は付き合うとか考えられないんです 悲しかったけど、妙に納得してしまった。 数ヵ月後、彼女は寿退社をした。 傷心… 仕事に命をかけよう。父親のように。 |
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俺は馬鹿だけど、上司が何を言いたいのかは分かった。 その日夜遅くまで公園で時間を潰した。 家に帰った俺に、母親がいつもの笑顔で 「会社、辞めてきたよ」と言った俺に、一言。 「お疲れ様」 |
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夜遅くに電話が鳴った。 いつもの優しい声で、具合が悪くなったので医者にいったら 癌だと、医者から告げられた。 いつものように優しい母親。 一人で家に帰って、父親(遺影)に告げた。 1ヶ月ほどたった日、母親がかすれた、それでも優しい声で言った。 母親はいつものように優しい声で 俺は我慢しきれずに泣いてしまった。 |
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俺は淡々と喪主を勤めた。 ここ数ヶ月、ずっと独りで、とても広く感じていた家。 骨壷は思っていたよりも軽かった。 家に帰った俺は机の上においてあったノートを手にとった。 日記だった。 その日記は父親との会話でつづられていた。 最後のページから数日前の日記。 |
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覚えてる?高校2年の頃。私は酔ってあなたに言ってしまったね。 (中略) 私はあなたを産んで本当に良かった。幸せだった。 |
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ずっとそのことで悔やんでいたんだと思った。 号泣した。 死ぬことを考えていた俺は思った。幸せになろうと。 「それでも生きていこう」 |
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