タイトル ありがとう
作詞/作曲 KOKIA/KOKIA
リリース日 1999/06/17
KOKIA


誰もが 気づかぬうちに 何かを失っている
ふと気づけば あなたはいない  思い出だけを残して 
せわしい 時の中 言葉を失った 人形達のように 
街角に溢れた 野良猫のように 
声にならない叫びが聞こえてくる 

もしももう一度 あなたに会えるなら たった一言伝えたい 
ありがとう ありがとう 

時には傷つけ合っても あなたを感じて居たい 
思い出はせめてものなぐさめ いつまでもあなたはここにいる 

もしももう一度あなたに会えるなら たった一言伝えたい 
ありがとう ありがとう 

もしももう一度あなたに会えるなら たった一言伝えたい 
もしももう一度あなたに会えるなら たった 一言伝えたい 
ありがとう ありがとう 
時には傷つけ合ってもあなたを感じてたい


「2004/07/27 04:28」
きっと俺に罰が当たったんだ。
悪性リンパ腫って…手遅れって…

母さん、マジでありがとう。
ありがとう。ありがとう。ありがとう。ありがとう。ありがとう。
ありがとう。ありがとう。ありがとう。ありがとう。ありがとう。
ありがとう。ありがとう。ありがとう。ありがとう。ありがとう。
ありがとう。ありがとう。ありがとう。ありがとう。ありがとう。
生んでくれてありがとう。
こんな俺でも生んでくれてありがとう。
愛情を注いでくれてありがとう。
沢山笑ってくれてありがとう。
一緒にへこんでくれてありがとう。
一緒に泣いてくれてありがとう。

あなたは最高の母親です。
オヤジも鼻が高いさ。
いっぱい泣きたい。
あと一ヵ月後にはあなたのいない暮らし。

俺が芋ようかん買ってきたくらいで、病院のベッドではしゃがないでよ。
顔をくしゃくしゃにして喜ばないで。
そして食べながら泣かないで…
母さんが喜ぶなら、芋ようかんずっとずっと買ってくるよ。
母さんがいなくなっても、ずっとずっと母さんの為に喜ぶ事をするよ。
母さん、ありがとう。ありがとう。ありがとう。ありがとう。

涙が止まらん…
「2004/07/27 08:08」
今は家にとりに来なきゃいけないものがあって帰ってきた。
急いでるのにウケるよね。
ここに書き込んでる暇があるならさっさと病院行けって感じだろうね。
病院行きたくないんです。

母さん、死んじゃった。

朝死ぬことねぇだろ…本当に母さんらしいね。
ほんっと、人騒がせな親だよなァ。
ねぇ、母さん。死んだら芋ようかん食えないよ?
死んだら、買って行ってあげないよ?
死んだら食べられないんだよ?
本当に急すぎて、ネタと思われるだろ?

人騒がせだなァ… 母さん、ムカついてるでしょ?
医者にはあと一ヶ月って言われてたのにね。
一ヶ月、芋ようかん食べれたのにね。
俺も買って行ってあげたのにね。
何でだよ、棺おけに芋ようかん入れたくないよ。
買って行くから、また食べてよ。
また笑ってよ。 また俺の名前呼んでよ。
「2004/07/27 20:34」
最初って涙なんか出なかった。
親戚や友達に連絡して、それはもう事務的に
お通夜とかの準備をしなければいけなくて。
涙を流す暇がないっていうのかな。
オヤジも姉ちゃんも 同じように忙しくて悲しみにひたる余裕はないって感じでした。
忙しさに追われたから、俺は今日の一日を冷静でいれたのかも。

一度、家に帰ってくる時に三人で夕飯食べたんだ。
ハンバーグ食べた。
オヤジが、「うまくないなぁ…か…」 って
言葉を詰まらせてイキナリ泣き出したんだ。
子供みたいに。
俺はすぐ分かった。
その、「か…」のあとに続けようとした言葉がすぐに分かった。
オヤジと母さんはよく食べ歩きが好きで
うまい店があると家族サービスとかいって よく連れて行ってくれたんだよ
姉ちゃんとか俺を。
オヤジは「うまくないなぁ。母さん」って
いつもの癖でついつい言ってしまうところだったんだろうね。
俺は黙ってた。
姉ちゃんも黙ってた。
俺は泣けなかった。
泣けなかった。
黙って食べた。
何かしゃべったら俺も崩れてた。
「2004/07/27 23:57」
もう今日でここに書き込むのは最後にします。
みんな色々と辛いことを乗り越えての今があるのだと思いました。
だから俺だけが弱くてうじうじしてはいけない。
みんなが通る道なんだよね。

けど、今だけ俺の弱さをどうか許してください。
昨日の今日では強くなれない。
悲しすぎる。
オヤジが俺に封筒を渡してきました。
葬式までに必ず読んでおけって。
オヤジはその中身を知らなかったらしい。
姉ちゃんの分もあるって言ってたから、母さんのものだってすぐに分かった。
俺は本当に弱い。
もっと強いものかと思っていたら全然違った。
弱すぎだ。

その封筒の中身を読んで、泣きじゃくった。
今も涙が止まらない。
どうしてココに書き込んでいるのかもよくわからない。
手紙の内容
アツシへ

お母さんがこんな手紙を書くことなんてなかったから
さぞかしビックリしているでしょう。
アツシも知っている通り、お母さんは後三ヶ月くらいなんだってね。
今のお医者さんはすごいね、余命をすぐに言ってくるなんてね。
時代は変わりましたね。
お母さんがお婆ちゃんを亡くした時は、ひた隠しにされてたのにね。
こっちの方がスッキリしていいかもね。
お母さんね、もっとアツシとナミを見ていたかったんだけどね。
ごめんね。

あと三ヶ月しかみれないのか、うーん、残念だよ。
アツシ、旅行へ連れて行ってくれるって言ってたしね。
お母さん、北海道がいいな。
美味しいものを家族で食べに行きたいじゃない。
それで小樽にも行ってみたいんだ。
アツシ、お母さん頑張って元気になるから、 そのときは北海道旅行をよろしくね。 あなたは家族思いの良い子です。
言葉遣いは汚いけど、それが照れ隠しなんて
お母さんはちゃんと知っているんだからね。
だてにあなたを23年間も育ててきた訳じゃないんだから。
あなたとナミは私たちの自慢の子供です。
あなたもいずれ親になって分かると思います。
自分の子供がどんなにかわいくて仕方ないか、 絶対に分かる日が来ます。

お父さんが頑張って働くのも、お母さんがご飯を一生懸命作るのも
あなたたちがかわいいから。
あなたたちを愛しているから。
あなたたちと幸せを創り上げたいから。

それが親心だよ。
アツシも絶対に分かるはずだよ。
けど、お母さん、子供孝行出来てないよね。
あと三ヶ月の間に出来ることって何かを考えたんだけど
お母さんバカだから分からないや。
ごめんね。

だから、この手紙はあなたたちに謝りたくて、今こうして書いているの。
無責任な親だね、無責任なお母さんだね。
ごめんね、お母さん無責任で。

アツシ、お母さんの子供で幸せでしたか?
お母さん、自信ないな。
お母さんなりに頑張ってきたつもりだけど、自信ないよ。
お母さんの息子で幸せだったか、素直に言って。
もし、幸せだったなら、お母さんもっと頑張っちゃう。
もし、幸せじゃなかったんなら、お母さんもっともっと頑張っちゃう。
大好きなあなたたちの為に、お母さんは頑張るよ。
エイエイオーって頑張るよ。
あなたたちを授かって良かった。
本当に良かった。
お母さんは幸せ者だね。
幸せすぎるね。

あ、しつこいけど、お母さんは夏くらいに北海道行きたいな。
家族で行こうよ、北海道。 きっといいところだよ。
美味しいものたくさん食べようね。
アツシの運転する車で、北海道をぐるぐる家族四人でまわるの。
ステキでしょう。
期待してるよ、アツシ。
ナミには別のものを頼んであるから一人だけの手柄なんかにしないこと!
夏に家族四人で北海道行こうね、お母さん頑張るよ!!
字が汚くてゴメンね。
お父さんも、ナミもアツシも、お母さんはみんなを愛してるよ。
幸せだよ。

アツシのお母さんより


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