ニナが家に帰って、
部屋のドアを開けるとそこは



別世界だった。



              ・・・ってのは大げさかもしれないが。








これも一夏の思い出として。







「きゃぁぁぁっ!!」



別世界とまではいかないのだが。
部屋がびしょ濡れだったのだ。
まるで、トドでも這い回ったように。



「なっ・・・何これ・・・!」
ニナは思い出した。
確か、ゼロが先に帰ってるはずだと!



ニナはクローゼットの扉を開けた。
「ちょっと、ゼロ・・・部屋がぬれて・・・」



ニナは言葉を詰まらせた。



「う

             あっ・・・」



「ん、どうした?ニナ」



ゼロ、絶賛着替え中。
しかも、今丁度脱いだところだったりする。



「き・・・きゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!
ニナ、絶叫。
ちなみに本日2回目。
いや、確認もせずに入ってきたニナの方が悪いような気が



   ・   ・   ・   



数分後、
ニナは心が落ち着いてから、そぉっと扉を開いた。
「ゼロ・・・?もう流石に終わったよね?着替え・・・」
「あぁ。終わったぜ?で、何か用?
もしかして部屋がぬれてる理由とか?」
「そ、そうなの!ゼロ、知ってる?」
「知ってるも何も・・・えーと・・・な・・・」
「え・・・何?どうかしたの?」



「それは・・・な、オレがやった」

「え



       えぇぇぇぇ!?



ニナ、唖然。
「なっ・・・なんでこうなったの!?」
「そ、それは・・・」
ゼロは話し始めた。






それは先ほど・・・十数分前のこと。
ニナより先に家へ着いたゼロ。
そこに待ちかまえていたのは



「よ、ゼロ!久しぶりやんな!」



七瀬と八雲。



「お、おう・・・何で此処にいんだよ?」
「それはね。今日はプロの魔法使いのゼロくんが誕生日を迎えたってことで、
八雲がどーしても祝いたいって言うからさー」
「や、言うてへんて」
「それでね、プレゼントを持ってきたんだよ!」
「え、マジ!?」
ゼロは疑わなかった。
「欲しいか?ゼロ!」
「欲しい!」
「じゃぁー・・・」



七瀬はポケットからいつもの呪符を取り出して。

「え」



「呪符魔法!七瀬スペシャル!!



七瀬が叫ぶと
ゼロの頭上から水が降ってきて



ばっしゃぁぁぁぁん☆



ゼロ、クラッシュ。






・・・と、今に至る。



「・・・2人は?」
「逃げられた」
「・・・じゃぁ、ゼロね」
「え?何が・・・」



「ゼロが・・・この部屋を掃除してよね!!
ニナは怒っていった。
「えぇぇぇぇ!?」
「当然でしょ!?何であたしが掃除しなきゃなんないのよ!
いい!?あたし、もっかい出掛けてくるから、
それまでに掃除しておいてね!分かった!?」

「・・・はい」
勢いに負けたゼロ。



そして、ニナが出掛けていった。

「ちくしょー・・・めんどくせーな・・・



・・・そうだ」






一時間後。
ニナ、帰宅。



両手にはゼロへのプレゼントを抱えて。
「ゼロ・・・掃除してくれたかなぁ・・・」
ニナはちょっとウキウキしながら部屋のドアを開けると



「あ      ・・・やべ」
ゼロは大きな本を読んでいた。



部屋の様子はというと。
まったく変わらず。
強いていえば、水が蒸発した分だけくらいだ。



「な・・・何やってんの・・・ゼロ・・・?」
「あ、いや・・・フツーに掃除するのはめんどくさいからさ、
魔法使おうと思って・・・
ほら、オレってプロだけど使える魔法のレパートリー少ないだろ?
だから、この機会にでも増やしておこうと思って」



ニナはキレた。
フツーに掃除しなさいよ!!



***


なんか久しぶりすぎて言葉遣いを忘れました(爆
とくに八雲とか・・・え、関西弁ってどんなのだっけ。
だ、ダメだ。祖母が関西人なのに!(関係ねぇ

8/10は全国一斉打ち水の日らしいです。
それを聞いた時、
あぁ、ゼロの誕生日だなぁ・・・と思って

そしたらこうなりました(爆
打ち水の日に誕生日なら水かけてやれって・・・なんて安易な。