バレンタインの風景――悩み――



「イチイ――!はい、コレあげる!」



朝から響いたその声―――それが、ゼロのいらだちの元であった。

今日一日、ゼロはそれで悩むことになる。



そのニナの声は、どう考えてもイチイだけに向けられた言葉であって。



「あぁ、有り難う・・・嬉しいよ」

イチイは快く受け取った。

「何処で買ったの?このチョコ」

「えぇとね、昨日初花とかと一緒に行ったお店でー。

結構おしゃれなお店だったよー」



あれ?

何でイチイだけ?

オレには無いの?



イチイとニナが楽しそうに話している、それが何故かひっかかって。

何でか分からないけど・・・



いつも通り、学校に3人で行って。

いつも通り、授業を受けて。



ニナは、いつも通りの表情だし。

クラスだっていつもの雰囲気だし。

(たまに甘い匂いがするのは別として)

別に、何も変わらないはずなのに。



何が、こんなに引っかかってるんですか。



昼休みのベルが鳴った。

生徒はそれぞれ、好きなところへ散っていく。



ニナは・・・いつも通り友達と購買へ、か。



ゼロは、どうしようか考えながら、ニナを追って購買へ行こうとした。



しかし、その瞬間、イチイに呼び止められることになる。

「何やってんだよ!逃げろ!ゼロ!」

「え・・・えぇ!?何で!?」



イチイに連れられて、何故か急いで屋上まで逃げてきた。

「な・・・何だよ・・・いきなり・・・」

「・・・ほら、あれ」

イチイが指さした先は。



廊下に群がる女子達。

「ねぇーっ、ゼロくん居ないの?何処行ったの!?」

「あたしイチイくん狙ってきたのに!手渡ししようと思ってたのに・・・!」



数が尋常じゃなかった。

そりゃぁもう・・・廊下が女子達でふさがるくらい。



「・・・去年より増えてんな、人数・・・」

「あぁ、予想以上だ・・・逃げてきて良かっただろ?

あんなのに捕まったら昼休み全部潰れるしな。」

「まぁ・・・な」



どうしたんだよ、ニナ。

恥ずかしいとか、そう言う訳じゃないだろ?

2人きりになるチャンスなんて、今日何回もあったのに、さ。



「なぁ・・・イチイ」

「え?何?」

ゼロは、一息置いてから言った。



「ニナから貰ったチョコ・・・どうだった?」

「・・・は?何でそんなこと聞くの?」

イチイは思いっきり何故?と言う顔をする。

「ゼロも貰ったんじゃねぇの?ニナから・・・」

「・・・貰ってない」

「えぇ!?」



「そんなに意外?」

「あ、あぁ・・・うん・・・

てか、オレにくれないのかとまで思った・・・今年は」

「え?何で?」



「だってさ・・・絶対ニナはゼロのことが好きだと思ってたから、さ」



え?



え、何だって。

イチイが?何でそう思ってるんだよ。



「だって、さ・・・そうしか考えられないじゃん。ニナ見てたら。

んで・・・ゼロは?ニナからチョコ欲しいの?」

「え」



ゼロは答えられなかった。



「・・・あ、ニナ・・・中庭に居るよ」

イチイが指さした先に、小さいけどニナが見えた。



「行ってくれば?何なら。」

「・・・あぁ」



こうなったら、ホントの自分の気持ちを確かめてやろうじゃないか。

直接、ニナにあって、さ。



「あ、ニナ、じゃぁあたし先生に呼び出されてるからー、

先教室行っててー。」

「うん、分かったー」

ニナは初花、陽華と別れて一人きりとなった。



そして、ニナが後ろを向いた、その時。



「あ・・・」



そこには、ゼロが。

「ニナ」



「あ、あたし・・・教室戻るから」

何故か、ニナはゼロから逃げるように弁当箱を拾い上げて、

その場から立ち去ろうとする。

「ちょっ、待てよ、ニナ!」

あわてて、ゼロはニナの肩をつかむ。



しかし、ニナは。



その手を振りほどいて、走り去っていった。

「な、ニナ!?」

ゼロは、ただそれを呆然と見つめるだけだった。



ご、ゴメン・・・ゼロ。

まだ、ゼロに合わす顔が無くて・・・



そして、昼休みの終了を告げる予鈴のベルが鳴った。



放課後。

ゼロはまだイライラしていた。



何で、チョコ貰えないだけでこんなイライラするんだよ。

そんな自分が訳わかんねぇ。



そのせいで、部活にも集中できなかったし。

ったく、今日は・・・何なんだ?



ゼロは部活が終わると、さっさと荷物をまとめて、

いつも、ニナが待っている所へ向かった。



だけど。



「・・・あれ?」

今日に限って、そこにニナの姿はなかった。



・・・何で?



「あ、ニナなら『用事がある』って言って帰ってったよー」

偶然、その場に居合わせた初花が言った。




用事?んなもん聞いてねーぞ?

何でだ?



ゼロは、何を感じたのか。

とにかく急いで、家に帰っていった。



「ニ・・・ナ!?」

ゼロは急いでニナを探す。



丁度その時、ニナの両親は出払っていて、

家にはニナしか居ないはず。



そして、ゼロはこの家で、

一部屋だけ明かりがついている部屋を見つけた。



キッチンだった。



「あ・・・っ、ゼロ・・・!」

「ニナ・・・何やってんだ?」

ゼロは、ニナが料理していることにかなりびっくりした。

「あ、ちょ・・・来ないで!今!」

「え?」



と、その時。



「・・・!?」

突然、そこに異臭が漂い始めた。

「な、何だぁ!?」



「あぁっ!!チョコが・・・湯煎にかけてたの忘れてた!!」

ニナはあわててコンロの方に駆け寄った。

ゼロは、それを呆然と見つめていた。



「ニナ・・・換気扇くらい付けろよ・・・」

「あ、あの、その・・・焦ってて・・・」

「何で?何でそんなに焦ることあったんだよ?」



「・・・だってさ、ゼロにだけは買うより、

自分で作りたいと思った、から・・・」



「・・・え?」

ゼロは一瞬戸惑った。



「・・・って、別にあたしの作ったチョコなんて欲しくないよね・・・

な、何考えてるんだろ・・・あたしったら」

ニナは笑ってみせる。

明らかに、作られた笑顔で。



「・・・別に、そうでもないけど」

「・・・え?」



「別に、嫌じゃねぇよ。ニナの作ったチョコ食うの」

ゼロは、少しだけ顔を赤らめていった。



「え・・・あ・・・・・・本当?それ」

ニナは、予想外の言葉が返ってきてびっくりした。

そんな、優しい言葉が返ってくるとは思わなかったから。



「そんな、見た目は良くなくて良いから・・・さ、

なんか・・・出来た奴ない?腹減ったー」

「え・・・えとね、比較的上手くいったのは・・・これ・・・かな?」

ニナが、冷蔵庫からチョコのかけらを取り出した。



それはまぁ、いびつな形のチョコレートでして。

「ご・・・ゴメン、それが・・・あたしの精一杯でした」



「・・・けっこー旨いじゃん」



ゼロは笑ってみせた。

そして、ニナも笑った。

それこそ、本当の「嬉しい」笑顔だった。



その雰囲気を壊してはならぬと、

玄関の外で事が終わるのをじっと待っていたのは、イチイだった。



***


・・・げふん(ぁ
あーあー有り得ないねーこんな話!!(ぁ
うん!あり得なさすぎるよ!(何。
ゼロ→ニナなんて聞いたこともねぇ(は
まぁ、だから書いたと言うこともあるんですが。(何

実は私、三角関係とかあまり好きじゃなかったり(ぁ
だからどーしてもイチイが割って入るのは好きじゃない・・・んです。
だから思い切って「ゼロニナを静観するイチイ」にしちゃった!!あは!!(殴っ

やっぱり私はギャグの方が向いてるっぽいです。
うん!真面目な話は向かない!(ぁ

ではでは。(逃げるらしい