「漆黒の森」

吐く息も凍り付きそうな壮絶な寒さ。
雪のうっすらつもった林の中、月明かりを頼りに遠い記憶の中の道を辿る。
「確かこのあたりにあったはずなんだけどな‥‥」
めったに人の立ち入ることのない林の中にひっそりと、その小屋はたっていた。
「ああ、助かった。これ以上歩かされたら身が持たねえじゃん‥‥」
疲労困憊した体を引きずるようにして中に入る。
ほこりをかぶった暖炉に、傍らにあった、これまたほこりじみた薪をくべて火をつける。
背中にかついでいた彼女をそっと暖炉の前に横たえると、カンクロウは大きなため息とも、安堵ともとれるうめき声を出して、床に座り込んだ。

とりあえず濡れた服を脱いで、常備してある寝具をひっかぶる。
さなぎをむき出しにするような罪悪感を感じながら、濡れて体にまとわりつく服を彼女から脱がせる。
呼吸が浅く荒い。
カンクロウは、黙って彼女の冷えた体を自分の冷たいけれど火照りだした体でかき抱いた。

暖炉のなかでおき火が黒い炭から明るい色を覗かせる。
毛布の固まりが、そっと動いた。
「目、さめたか」
毛布の横でシーツにくるまって座っているカンクロウが尋ねる。
まだ意識がハッキリしていないのか寝ぼけたような声が返ってくる。
けれど、氷のような水中で溺れる自分をカンクロウが必死に助けてくれた映像は
はっきりと彼女の脳裏にあった。
だれかが一晩中自分を暖めていてくれたから、あのまま凍り付いてしまわずにすんだのだ。
「ありがと‥‥」
「どーいたしまして」 
暖炉の方をむいて、傀儡ならぬ薪をチャクラの糸で操っているカンクロウの表情はいつも通りの不敵な笑み。
彼女に暖かい毛布を譲ってしまったから自分は薄いシーツ一丁、鍛え上げた体の線が見え隠れする。
あの腕に一晩中意識がなかったとはいえ、抱かれていたのかと思うと頬があつくなる。
頭から毛布をひっかぶる。
「どうしたんだよ」
「‥‥何でもない‥‥」
「意識がない奴に手なんか出さないぜ、俺」
「バ、バカ、わかってるよ」
「でも、意識が戻ったなら話は別じゃん?」
それがどう証明されたかはツーマンセルの二人の秘密。







++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

circle K9
小説は keiko様より頂きました

我愛羅スキーの私は 下心無しで この絵を描いたのですが
やはりカンクロウスキーの方には 結構刺激が強かった絵だったようです(←他人事のように言ってみる)
白い服は‘シーツ’に見え(笑) この手つきがゲホゲホ…(笑)
Keikoさんが こんなにロマンティックなお話を書いて下さり
拝読すると ますます そんな感じの絵に見えてきます(笑)
でも 素敵♪男っぽいカンクロウとは こんなシチュエーションがいいな…
カンクロウ至上主義じゃない私も 思わず萌えてしまいました(^^ゞ

Keikoさん!本当に有難う御座いました!
そして これからも拙宅のカンクロウを より一層カッコイイ兄貴にしてやって下さい!



目次に戻る