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  CASTELLO DI MONTAUTO-CECCHI(カステッロ・ディ・モンタウート/チェッキ)

CASTELLO DI MONTAUTO
-CECCHI
チェッキ

Loc,Montauto 53037 San Gimignano SIENA
Tel:39(0)577-743024
Fax:39(0)577-743057
オーナー:チェッキ一家
エノロゴ:リッカルド・ペリッチョーリ
ルアーノ・ベンシ
http://www.castellodimontauto.it
総ヘクタール:36







 1893年よりワイン生産に従事し、70年代にカステッリ―ナ・イン・キャンティにおいて”キャンティ・クラッシコ”の生産を開始するに至るチェッキ一家が、ここサン・ジミニャ―ノの歴史的な司教館”モンタウート城”を購入したのが1987年のこと。以来、地道な耕地整理や近代的カンティーナの構築を重ね続けてきた”ワイン情熱一家”の懸命な意欲が、今まさに実り始めている。

 スーパー・マーケットにもそのワインを見かけるほどの生産量を誇りながらも、良心的な価格、そして何よりも充実した内容で有名なこの偉大なるワイナリーのスーぺル・トスカン、”Chianti Classico Messer Piero di Teuzzo(キャンティ・クラッシコ・メッセル・ピエロ・ディ・テウッツオ)”、”Spargolo(スパルゴロ)””Vigneto La Gavina(ヴィニェット・ラ・ガヴィーナ)”などはその名の知られたところ。そんな、一連の華やかなシリーズを飾ろうとしているのが、ここモンタウート城に生まれる"ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャ―ノ・カステッロ・ディ・モンタウート”。
 思えばここモンタウート城は、19世紀初頭のイタリア有数の農業学校を開講した偉大な農地学者イニャツイオ・マレノッティ氏の活動拠点であったといい、今日にまで引き継がれている”ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ”の土台は、その彼”マレノッティ氏”により築き上げられたもの。

 そして"運命の悪戯”か否か、約2世紀後に舞い降りた新たなる所有者こそ、今こそ”ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ”の新時代を築き開かんとばかりにその努力を惜しむことのない、この著名なワイナリーを代表する若き情熱家アンドレア・チェッキ氏である。

 「ワインに必要される嗜好や価値観などは当然、時代によって変化を遂げていくものである。それに加えて、苗樹、栽培、醸造などの全ての過程において、十数年の間に起きた”テクノロジー改革”がもたらした”新時代”に入るに至っては、偉大なる先人”マレノッティ氏”の施した農地整理は実に正しかったとは言え、幾つかの点において不具合が出てくるのは仕方のない事情。」

 ヴェルナッチャ委員会、フィレンツイエ大学との密接な連携により、”ヴェルナッチャ種”の新しいクローンや栽培方式を探る為に様々な実験が繰り返されている葡萄畑を背後に霞め、アンドレア・チェッキ氏は更にこう続けてくれた。

 「”苗樹の浅さ”と"1ヘクタールに対する樹数の少なさ”が改善点として挙げれるだろう。」

 ”苗樹の浅さ”は、イタリアほぼ全域について共通して言える弱点であり、特に連なる昇り下りの斜面に彩られた、ここサン・ジミニャ―ノのような丘陵地帯に関しては尚更のこと。水はけや陽の当たりを計算された傾斜の方角などなど、様々なケースに合わせた再耕地整理が必要とされるが、既に生産状態に入っている葡萄畑に手を入れ直すにはかなりの度胸と辛抱を要することである。そしてもう一つの要因、"1ヘクタールに対する樹数の少なさ”もここ中部トスカーナでは、長年の伝統による風習からくるもの。馬や牛などの動物を利用しての耕作という当時の作業体系にあわせて計算されていた苗樹同士の間隔は、現代の世界マーケットがもたらした多大な需要や、高精度の小型トラクターによる合理的な耕作システムに適さず、結果的にかなりの質量のロスになってしまうということ。抑えられた正しい生産量を守れば"品質の低下”を巻き起こすことこそないが、それが”50ー70年代”の海外マーケットの拡大期には、”少ない本数から量を得る”との自然な反動から、一本の苗樹に最大限の実が成らしてしまう結果に繋がってしまっていた。現在、90年代初頭に植え替えられた、1ヘクタールに対し5000本の新しい苗樹が生産体制の軌道に乗り、僅かに残る1ヘクタールに対し2700本の古い畑も、遂行中の様々な実験の結果待ちとは言え、いずれは植え替えられるだろうとのこと。

 厳格な収穫により得られ選抜された葡萄は、軽い粉砕の後、低音による果皮浸透作業を経て、設備改築の整ったカンティーナ中心部に構える、自然環境にての低温管理を施すように設計された蔵にて、フレンチ・バリックによる発酵・熟成を受ける。こうして生まれる、”ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャ―ノ・カステッロ・ディ・モンタウート”の特徴は、赤ワインに長けたワイナリーの作品らしく、白ワインの世界には比較的稀な、醸造後の”マロラティック発酵効果”を計算されたものであることで、それにより抑えられた酸味が、ヴェルナッチャ種の持つ独特のボディとアーモンドを思わすほろ苦い後味を良い意味で浮き立てていること。ほぼ常温で頂くことにより、見事なエレガントさとビロードのように滑らかなコクを我々に愉しませてくれる、新しいタイプの白ワインの誕生を伺わせてくれます。

 90年代初頭に、話題のマレンマ地区に購入したワイナリー”Val delle Rose(ヴァル・デッレ・ローゼ)”の”Morellino di Scansano(モレッリーノ・ディ・スカンツアーノ)”も順調以上の滑り出しを魅せ、昨年に購入された、ウンブリア州はサグランティーノ種で有名なモンテファルコにても、更なる躍進が予想されている熟練ワイナリー”チェッキ”。ここサン・ジミニャ―ノに新たなる歴史を呼び起こしてくれる”新時代への掛け橋”となってゆくことはもはや必須だと言えるでしょう。







Vernaccia di San Gimignano
      Castello di Montauto`2000

(ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ
 ・カステッロ・ディ・モンタウート)
カテゴリー DOCG
品種 ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ種100%
黄金色に輝く濃い目の麦わら色
香り 繊細なワイン香に熟したフルーツ香
テイスト 豊かで幅広く、緩やかな酸味と独特の後味
サービス適温 14−16℃
コメント 芸術的なまでに熟練した感のある均整の取れたボディには圧巻。冷やさないで頂いて下さい。(評価:89/100)

*:コメントは実際の試飲の基に行われています