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L`ACQUA COME FONTE DI VITA(水は命の源なり)
「PHOTO GALLERY"La Costarella"」
Studio d`Arte "La Costarella"(写真中央)
(ストゥーディオ・ディ・アルテ”ラ・コスタレッラ”)
Via della Costarella,3. 53037 San Gimignano SIENA
Tel/Fax : 39(0)577/941858
「PHOTO GALLERY"Sant`Agostino"」
「PHOTO GALLERY"Giardino Sant`Agostino"」
Studio d`Arte "Sant`Agostino"(写真左)
(ストゥーディオ・ディ・アルテ”サンタゴスティーノ”)
Piazza Sant`Agostino,5/6. 53037 San Gimignano SIENA
Tel:39(0)577-907190 E-mail: marcodipiazza@yahoo.com
FESTA DI SANTA FINA にて、中世衣装を纏う
MARCO DI PIAZZA (マルコ・ディ・ピアッツア) 「PHOTO GALLERY"QUADRI(絵画)"」
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ここ、十数に立ち並ぶ中世塔が彩る美しき街並みにて、世界中の観光客に親しまれ、かの現代イタリア語の父、ダンテ・アリギエーリがこよなく愛していたことでも有名なワイン「ヴェルナッチャ・・・・」でも知られている、トスカーナ中部はシエナ県の古都、サン・ジミニャーノ。「CITTA D`ARTE(芸術の街)」としての誉れも古くから高く、その類い稀な「田舎風情と趣き」の美しさから、世界中のアーティストを寄せ付け、いわゆる「現代イタリアン・アート・ルネッサンス」の発祥の地とも名高い丘の夕べに、ひとりの天才アーティストと出逢った。
「マルコ・ディ・ピアッツア」
1961年4月1日、ローマにて、代々継がれたとある芸術家一家の4男として生まれた、物静かなアーティストである。
度々訪れていたという、この街サン・ジミニャーノ郊外のアトリエにてその幼年期の大半を過ごした彼は、右を向けば彫刻家、左を向けば絵描きという、「幸せ」な環境に囲まれ育ち、「年齢」を隠して父親が応募した「街の新人アーティスト・コンテスト」にて、20歳代の他候補を凌ぎ「最優秀賞」を受賞したのが、なんと僅か「9歳」の時であったという。
その後、フィレンツエ大学にて学び、1989年から、街のメイン・タワーである”Torre
Grosso(トッレ・グロッソ)”すぐ裏手の美しきアトリエ、”ラ・コスタレッラ”に拠点をおき活躍、ブロンド、鉄、大理石など多種にわたる彫刻や絵画デザインの分野においての著しい評価を集めるに至るのである。
「”故郷”とも言えるこの美しき街の繁栄に役立つ事が出来るのなら・・・」
こう語った彼の言葉は「実績」として表れる。この街の歴史的遺産「サンタゴスティーノ教会」に寄贈され、かの”ミケランジェロ”の作品と並べられる名誉に授かったオブジェや、一流ホテル「チステルナ」のロビーを彩る作品などを筆頭に、街中ありとあらゆる重要箇所に作品を並べ、総数1000を超えるという「秀作」を、世界20国もの人々に送り届ける「トップ・アーティスト」としての地位を築き上げただけに、その「意志」は見事に貫かれている、と言えるであろう。
昨年、目前に壮大なサンタゴスティーノ教会を控えるのびのびとした広場に、新しいアトリエ”サンタゴスティーノ”をもオープンし、その綺麗に整えられた緑と心地良い太陽光線に包まれた開放的な「庭園」にて、彼の幅広い作品を愉しむ事が出来るようになったことも嬉しいこと。その「楽園のごとき」空間が人々に与えるものの尊大さは計り知れず、知らずに通りかかった多くの観光客のほとんどが足を止め覗き見入ってしまうことにも、ただ作品を「造る」だけではなく「見せる」、もしくは、その作品の「あるべく環境」を知り尽くし、尊重して止まない「巧い」アーティストなのであろう。
「ところで、私の子供達の姿が見えないけど・・・」
ドイツからの最愛の奥さん、バルバラさんとの間に生まれた二人の天使たち、レベッカちゃんとクリストフ君。奥さんが買い物へ出かけ留守中の子守りをしていた彼だが、それこそ「30秒」でも、彼らが視線から離れるとソワソワしてならないひとりの良き父”マルコ”の姿がここにある。
突然後ろから表れたレベッカちゃんがマルコの服の中に花々を投げ込んでは駆け逃げ、いきなり止まった噴水の水の細工の陰には、クリストフ君が何者も知らん顔で口笛を吹いている。
ここはどこ?もしかしたら天国?
そう、その「大きな財産」が彼の人生に投げかけた「意味」は大きい。長女が生まれる寸前の作品「Nascita(生誕)」が続く彼の作品に及ぼした影響はすぐさま「結果」となって表れた。
制作に丸々2年もの月日が費やされ、現在もベルギーの大商社のロビーを飾り続けている、1996年の高さ3,5メートルの最高傑作「PASSAGGIO(伝達)」がそれです。その除幕式では、こんな彼のスピーチが発表されました。
Cio che piu conta per me sono le relazioni umane.
L`acqua come simbolo di corrispondenza,
dare e ricevere.
Ma anche simbolo del divenire,
legame tra passato e presente.
私が最も大切と考えるものは、ヒューマン・リレーション。
水は譲与と受容の繋がりの象徴であり、
そして同時に過去と現在を結ぶ、生成の象徴でもあります。
Passaggio,ovvero la storia dell`uomo.
Il titolo dell` opera e infatti Passaggio,
il passaggio che tra le generazioni
si compie nel dare e ricevere:
la collettivita umane come
storia e risultato di infiniti passaggi.
伝達とは、言い換えてみれば人類の歴史であり、
この作品のタイトルも実に「伝達」であります。
譲与と受容により生ずる世代間の伝達
われわれ人類とは、無限の伝達による歴史と結果。
Ma nel nostro secolo non abbiamo assistito,
invece,alla crisi di molti legami?
All`interruzione dei sapori che si trasmettevano
di padre in figlio?
Ad una rottura dell`equilibro uomo natura?
しかし、今世紀において、受益する換わりに得られるものは何でしょう、
多くの絆の難局?
父から子へと伝授されていたテイストの中断?
それとも、分別というものの破断?
Ordine. Disordine. Una ripresa del dialogo tra le generazioni.
秩序、無秩序。世代間における対話の再生
L`acqua come fonte di vita.
水は命の源なり
MARCO DI PIAZZA (マルコ・ディ・ピアッツア)
24.10.1996
彼の作品のは全て、「人物」、付け加えるならば「複数の」が対象となっており、彼の詩に例えられているように、上部から下っていくに従って世代が変わっている事が分かります。人類という、個々たるものが寄り集まった「総体」の成す相互性に観念をおき、手を繋ぎ、肩を抱えあい、そして抱き上げる総和が生み出す柔らかい曲線が語りかける人類愛、そして、「命の源」が彩り清める”母子像”などは、明らかに我々の人生にとって「至極の喜び」であろう瞬間を描き出しているものなのでしょう。
人類において、最も根本的でありながら尚かつ、最も捉えずらいテーマでもある「愛」。それは、誰しもが心の奥底で抱いている「夢」であり、「現実」であります。「それを直視する」ことを恐れるどころか、まさに、「それに包まれている」ひとりの天才アーティスト、マルコ・ディ・ピアッツア。
三度消えうせていたた天使たちが、父の他愛無い「お叱り」の言葉をよそに、泉に水しぶきをあげている光景が微笑ましい。
溢れんばかりの太陽を背に、後にした「サンタゴスティーノ広場」に木霊する妖精たちの囁きが遠ざかっていく頃、ふと、まるで目がさめてしまったような感覚に覆われる。
あれはどこであったの?もしかしたら本当に天国?
2001年6月30日 土居 昇用
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