ヴェネツィア2日目、晴れ。今日は市場や教会を見て回ることにしました。
サンタ・マリア・グロリオーサ・デイ・フラーリ教会
サン・ポーロ地区にあるフラーリ教会はティツィアーノの『聖母被昇天』で有名です。その他にも聖歌隊の椅子や彫刻家カノーヴァの記念碑、ドナテッロの『洗礼者ヨハネ』の木像などの見どころがあります。
この教会は、聖歌隊席が教会の中央に位置しているという少し変わった構造で、教会に入ってみると、『聖母被昇天』が聖歌隊席の中央にあるアーチ状の入り口から顔を覗かせています。
巨大なフラーリ教会。
目の前にゴンドラ乗り場がありました。
木製の聖歌隊席(1脚1脚の椅子の彫刻が異なっており、素晴らしい!)を通り抜けて祭壇の前に立つと、縦6.68メートル、横3.44メートルの『聖母被昇天』がその姿を現します。
ステンドグラスなどの装飾を控えめにして、視線をこの絵に集中させる演出は、祭壇全体を額縁に仕立てたような印象を与えます。背後の窓から入る柔らかな日差しは、この絵の中央部にある光の部分を立体的に見せたりもします。
優しい雰囲気の作品でありながら、天に導かれるマリアの目には力強い意思も感じられ、私はこの絵がとても気に入っています。今度ヴェネツィアに行く機会があったら、また訪れたい教会です。
また、この教会にはティツィアーノの墓もあり、レリーフ(浮き彫り)の『聖母被昇天』が墓碑になっています。
フラーリ教会は 宿泊したホテルから繁華街に
向かう途中にあったので、何回もその前を
通りました。時には、こんな風景も。
サン・ポーロ教会
サン・ポーロ教会はフラーリ教会のすぐそばにある小さな教会で、内部のつくりも簡素です。
奥の別室にあるティエポロの『十字架の道の14留』は、キリストの受難から磔刑までの様子を14枚の油絵にしたものです。
描かれているキリストや民衆の表情は生々しく、文字の読めない民衆用のバイブルとして使われたのではないでしょうか。
コンタリーニ・デル・ボーヴォロ階段
マニン広場に行くと「ボーヴォロ階段」と書いた手書きの紙切れが壁に貼ってありました。その矢印の方に進むと、狭い路地の奥に異彩を放つ螺旋階段が見えてきます。
コンタリーニ・デル・ボーヴォロ階段とは「コンタリーニさんの家のカタツムリ階段」という意味です。
ルネッサンス様式とゴシック様式が混在しているこの螺旋階段を、哲学者を多く輩出したコンタリーニ家の人々は、時には混沌とした思考を抱えて登り降りしていたのかもしれません。
路地の奥に突然見えてくる
コンタリーニ・デル・ボーヴォロ階段。
夏の間はこの階段を登ることができ(1人2.5ユーロ)、それ程高くない頂上からは、遠くまで続く瓦屋根(瓦の微妙な色の違いも観察できます。)と、そのところどころに顔を出す教会や鐘楼が見えます。
ヴェネツィアの家によくある「アルターナ」という屋上テラスからの眺めは、こんな感じなのかもしれないと思いました。
螺旋階段の途中。
だんだん高くなってきました。
頂上には周囲の景色の説明図が貼ってあります。ヴェネツィアでたまに見かける傾いた鐘楼は、その傾き加減までもが忠実に描かれており、思わず失笑してしまいました。
また、ここから見る景色の中では、小さな宝石箱と呼ばれるミラーコリ教会が、その白い姿を際だたせています。階段の上で出会ったイタリア人の紳士は「ミラーコリ教会は美しいので是非行ったほうがいいよ」と教えてくれました。
ボーヴォロ階段の上からの風景。
鐘楼がニョキニョキ顔を覗かせています。