2001年 ヴェネツィア (1)


「水の都・ヴェネツィア」は、ラグーナ(潟)と呼ばれる浅瀬に杭(くい)を打ち込んで作った人工的な街です。ヴェネツィア本島の周りには、たくさんの島が点在しています。
陸続きのメストレからは列車やバス、自動車でリベルタ橋を渡り、10〜15分でヴェネツィア本島に到着します。

ヴェネツィアに行く頃には、私たちも個人旅行に少し慣れてきました。この街は治安が良く、思わずカメラを向けたくなる場所がたくさんあったので、ここからは写真を撮りまくっています。



  ヴェネツィアという街 

四方を海に囲まれたヴェネツィアは、地図で見ると、西に頭、東にしっぽを向けた魚のような形をしており、体の真ん中をカナルグランデ(大運河)が逆S字型に流れています。

ヴェネツィアの地図
自作のヴェネツィア地図…下手すぎ?


街には2つの玄関(鉄道ではサンタルチア駅、バスなどではローマ広場)があります。車と名前のつくものはローマ広場までしか入ることができず、そこから先は水の都の名の通り、船が主な交通手段になります。

最もポピュラーな船は、地元の住民もよく利用する水上バスです。他にも、色とりどりの野菜や果物を積んだ小型の貨物船、観光客を乗せたゴンドラやタクシー(モーターボート)、自家用船(これもモーターボート)などが、大小様々な運河を行き交っています。とてもルールがあるとは思えない動きなのですが(きっと、一応ルールはあるのでしょうが。)不思議と衝突などの事故を見たことはありません。


ヴェネツィアは、117の小さな島で構成されており、その島々を400余の橋がつないでいます。船の往来を妨げないように、橋はすべて太鼓橋になっています。とはいえ、交通の大動脈カナルグランデ(大運河)には橋が3カ所しか架かっていません。それ以外の所で対岸に渡るときには、「トラゲット」という渡し船を利用します。トラゲットはゴンドラを少し大きく乗り物で、リアルト市場前など、数カ所に設けられています。トラゲットには、通常立ったまま乗り込みます。(2003年現在、0.4ユーロ)

この街には自動車は勿論、自転車すら走っていないので(そもそも、自動車が走れるような道路がない。家の軒下を通路として利用しているという感じ。車が走っているのは、リド島、トロンケット島など一部のみ)、街全体が非常にのんびりとした雰囲気です。ただ残念なことに、運河の水はお世辞にもきれいとは言えません。

スカルツィ橋と船
サンタルチア駅前のスカルツィ橋と
様々な船




ヴェネツィアで船と並ぶ重要な交通手段は、自分の足、つまり徒歩です。それほど広い街ではないので、徒歩で観光することもできます。(ただし、ある程度、足に自信のある人のみ)

例えば、リアルト橋からサンマルコ広場まで水上バスに乗ると、約15〜20分。でも近道すれば徒歩の方が早いくらいです。しかしながら、街全体がまるで迷路のようなので、通りを一つ間違えると、とんでもない場所に出てしまうことがあります。街を散策する場合は、小さい通りの名前まで書いてある地図をホテルやお土産屋などで手に入れた方がいいと思います。

リアルト橋の下を歩く人
リアルト橋の下を歩く人
(2002年撮影)



ヴェネツィアは、道路が狭くて建物も密集しています。その中に「カンポ」と呼ばれる広場がいくつもあります。かつては飲み水となる雨水を貯めた場所であり、現在は市民や観光客の憩いの場となっています。

それから、屋上に作られている「アルターナ」という木製のバルコニーでは、最上階に暮らす人々が日光浴をしたり、洗濯物を干したりしており(時にはパーティーもするらしい。)、街のいたるところに狭い土地を有効に利用する工夫があります。 


中世に貿易の街として繁栄したヴェネツィアは、歴史的な建造物が数多く残されており、数百年も前から観光の街としても有名になりました。現在では観光が唯一の産業であり、毎年、世界中から多くの観光客が訪れます。

また、四方を海に囲まれているので魚介類が美味しい街です。但し、物価は全般的に高いようです。

ムード満点のトラットリア
日が落ちると水面に映る光が揺らめきます。
リアルト橋周辺には たくさんの
トラットリアやリストランテがあります。




秋から冬にかけては「アクアアルタ」と呼ばれる高潮が街の一部を水没させます。
アクアアルタが近づくと街には警報が鳴って、あちこちに橋桁のような通路が用意されます。潮が引くまでの何時間かは、市民も観光客もこの通路の上を歩くか、長靴を履かなければなりません。特に海抜の低いサンマルコ広場周辺は真っ先に水没してしまうのですが、水面に映るサンマルコ寺院は非常に美しく、これもヴェネツィア観光の見どころの一つとなっているそうです。

アクアアルタ
アクアアルタのサンマルコ小広場と
ゴンドラ乗り場。
(2002年撮影)




ヴェネツィアに行くと、自動車を閉め出しただけで街はこんなに静かになり、時間がゆったりと流れることに驚かされます。船のポンポンというエンジン音がメトロノームのように聞こえ、観光客のざわめきも心地よく感じます。また、小さな運河では、ゴンドラの上で演奏するアコーディオンの音や軽快なイタリア語がよく響きます。
他のどの街にもないヴェネツィアのゆったりとした雰囲気は、私を惹きつけてつけてやみません。

夕暮れのカナルグランデ
リアルト橋から見た夕暮れのカナルグランデ

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  カナルグランデ(大運河)  地図…カナルグランデ

カナルグランデ(大運河)は街の交通の大動脈です。街の北にあるローマ広場から、南の端にあるサルーテ教会までの約4qの間、カナルグランデは逆S字型に流れて街を二分しています。

カナルグランデには、橋が3カ所(北からサンタルチア駅前のスカルツィ橋、商業の中心・リアルト橋、アカデミア美術館前のアカデミア橋)しか架かっていませんが、「トラゲット」というゴンドラのような渡し船の乗り場が、魚市場前など7カ所(5カ所という情報も)にあります。

カナルグランデの橋

また、両岸には、歴史的な教会や商館などが約200件残されているそうです。もともとは12〜13世紀に東方貿易で成功を収めた商人たちが、リアルト橋の近くに商館を建てたのをきっかけに発展し、カナルグランデ沿いに邸宅を構えることが上流階級のステータスになっていきました。その後、ゴシック、ルネッサンス、バロック、ロマネスクなどの時代を経て邸宅は増え続けたので、両岸には有名な建物が目白押しとなりました。

カナルグランデとサルーテ教会
アカデミア橋からみたカナルグランデ
奥に見えるのはサルーテ教会です


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