私は旅行をすると必ずと言っていい程、市場に足を運びます。そこに並んでいる色とりどりの食材からその地方の食生活を想像するのは楽しいものですし、何より活気に溢れる市場の空気に触れているだけで元気になる気がします。イタリアの市場は、日本ではお目にかかれない珍しい野菜や果物が多く、非常にカラフルなのでテレビで紹介される度に絶対に行こうと思っていました。
フィレンツェ3日目は、市場でポルチーニ茸に対面です。
アリエント通りの露店と屋台のトリッパ
メディチ家礼拝堂の北側・アリエント通り(Via Ariento)には露店が出ています。革製品の店が多いので露店の前を通ると革の匂いがします。
露店に沿って歩けば中央市場は目の前です。革製品やお土産品の店に混じって、中央市場の入り口付近に屋台のトリッパ屋がありました。トリッパとは牛の胃袋のことで、イタリア人は好んで食べるようです。このトリッパの屋台は以前本で紹介された店で、威勢の良い若い女性が1人で切り盛りしています。
「牛肉煮込」と漢字で書いているのを発見した時は、ちょっと引きましたが(^^;)、屋台からは食欲をそそる匂いがしてきます。メニューはトマト味の煮込みとトリッパサンドの2種類。早速、「トリッパの煮込み」(1人前300円くらい)を買ってみることにしました。
夜食用に買い求めたフォカッチャと一緒に、その場で頬張ったところ、なかなかの美味。フィレンツェの庶民の味なのでしょうか? アツアツで少し辛みを利かせてあり、柔らかすぎず硬すぎず、絶妙な歯ごたえのトリッパは、後を引くうまさでした。注文してから小さく切ってくれるので、切り口がフレッシュでGOODなのです。仕上げにハーブを散らすところなんて、たとえ屋台といえども手を抜かない、イタリア人の食に対するこだわりを感じました。
中央市場
フィレンツェ市民の台所・中央市場は、観光スポットから近いので観光客も利用します。
1階には、肉製品・チーズ・パスタ・お酒などが売られています。また、地元の買い物客やこの市場で働く人が一休みしに来るバールもあります。
肉屋には、とさかが付いたままのニワトリ、皮を剥いたウサギ、豚の頭などがきれいに並んでおり、プロシュート(生ハム)も吊されていました。プロシュートは肉屋にも並んでいますが、ハム類ばかりを売っている店もあり、ラードの混ざり具合や塩分の違いなどで数種類並んでいることが多かったようです。また、ある店では、スライスしたフランスパンの上に試食とは思えないほど山盛りのプロシュートが載っていました。(と、言いつつ、しっかり全部食べてしまいましたが。)
総菜のお店も何軒かあります。オリーブの酢漬け、タコのマリネ、プロシュート、チーズ、フォッカッチャなどを少量でも売ってくれるので、ホテルの部屋にワインを持ち込んで、食べてみるのも楽しいかもしれません。あらかじめ旅行には、使い捨てのナイフやフォーク、紙皿などを持参した方が良いと思います。
私は夜食にプロシュートを買ってみたのですが、ハーブやニンニク、松の実を練り込み、ラードを加えた個性的な味で激ウマでした! かなり油っぽく塩辛いので、ワインがどんどんすすむ味でした。
実はこのプロシュートの味が忘れられなくなり、翌年フィレンツェを訪れた時、私たちはこれを買いに中央市場に行ったのです。でも件のプロシュートはもう売っておらず、今や幻のプロシュートになってしまいました。
ドライフルーツの店。
杏、バナナ、ココナツ、メロンなどもあります。
日本で食べるものより、少し生に近い感じです。
小さなマスカットのような白いレーズンは
酸味があって美味でした。
2階には、野菜・果物・花など生鮮食料品を売る店が並んでおり、フルーツを1個でも売ってくれる店もあります。キイチゴなどを除いては、山積みで売られており、例えばトマトでもサラダ用、ソース用など数種類並んでいます。
野菜や果物の種類も多く、とにかくカラフルなので見ているだけでも楽しめます。また秋だったので予想通り、生のポルチーニ茸がたくさん売られていました。
ワインはハーフボトルの他に
4分の1リットルがあります。
ホテルの部屋で少量飲みたい
ときには便利です。
ポルチーニ茸 その1
生のポルチーニ茸は、1件の店でも何種類かの値段に分かれています。よく観察すると、笠が開ききっていない中くらいの大きさのものが高価なようでした。大きさは手の平くらいから、直径15センチのツワモノまで、厚さは2〜3センチくらいあります。
見た目は特大で肉厚の椎茸のような感じ。日本の椎茸との違いはチーズのような独特の香りのあることです。
乾燥ポルチーニ茸は日本で売っているのに比べると信じられない程安かったので、私は思わずたくさん買い込みました。旅行から帰って食べてみたところ、輸入ものより半乾燥の状態でした。戻し汁の色は非常に濃く、香りも強いようです。
生ポルチーニの店。
種類が豊富です。
ポルチーニ茸 その2
店の入り口に生ポルチーニを山積みしていたトラットリアで、私は遂に、念願の生ポルチーニを食べることができました! ステーキの付け合わせとして出されたポルチーニ茸は塩味のソテーで、乾燥ポルチーニと同じようにチーズのような香りがしました。肉厚なのでジューシーで、とても美味しかったです。
イタリアに来て感じたことは、ポルチーニは非常にポピュラーなキノコだということです。日本では、ポルチーニは高級食材なのに(言うなれば「イタリアの松茸」)こちらでは、むしろ椎茸やシメジのように一般的に売られています。むしろ、笠の裏が黄色いオーボリというキノコのほうが数も少なく、高価だったようです。
ポルチーニ茸を近くで見ると
ツヤツヤの椎茸みたいですヨ。