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2001年 フィレンツェ (2)

私も夫も交通機関を使わずに自分の足で歩くのが好きです。イタリアには珍しいものがたくさんあったので普段にも増して歩き回る結果となりました。(歩かなかった日でも24,000歩、最高記録は32,000歩!)

そんなに歩いたというのに「個人旅行デビュー」という状況に2人とも緊張しまくり。だからフィレンツェではあまり写真を撮ることができませんでした。(「注意力が散漫になってしまう」というのが当時の心境〜今思うと警戒しすぎだ。)

それから旅行中は急に晴れたり、雨が降ったりと、目まぐるしく天気が変わりました。秋のイタリア観光には傘(かなり激しく降ることがあるので1人1本ずつ)を用意したほうがいいようです。

フィレンツェ2日目は、美術館を中心に見て回りました。



   ウフィッツィ美術館   おすすめ

ゆっくり絵が鑑賞できるようにと、ウフィッツィ美術館の予約は開館時間の8:30にしました。予約した人は15分前までに受付に行かなければなりません。開館前にもかかわらず、一般用の窓口には既に大勢の人が並んでいたので(予約用はアルノ川に近い方、一般用はシニョーリア広場側)、予約して正解だったと思いました。

予約者用の窓口は混雑することなく、私たちはほぼ時間通りに入館できました。ウフッツィ美術館は9年前にツアー旅行で1度訪れているものの、ガイドさんの説明を聞いただけで満足に鑑賞する時間はありませんでした。でも今度は個人旅行なので、飽きるまでじっくり見ることができます。

個人旅行者は1枚の絵をじっくりと見ている人が多く、団体客(不思議なことに日本人かドイツ人ばかり)は簡単な説明を受けるとすぐ移動してしまいます。有名な絵の前にいると日本人ツアーがどんどん通るので、ガイドさんの説明を小耳に挟みながら鑑賞することができました。(これはラッキー、いやセコいかな…)

私たちがラファエロの『ヒワの聖母』を見ていると、慌ただしく日本人の団体が前を通り過ぎて行きました。ガイドさんが「まもなく絵は終わりです、次はお待ちかねの買い物ですから」と言いながら。確かに絵に興味がない人には美術館は退屈な場所なのでしょう。でもこんな名画に一瞥もくれず、素通りとは非常にもったいない気がします。

他にもダ・ヴィンチの『東方三博士の礼拝』、ボッティチェッリの『春』、ミケランジェロの『聖家族』、カラバッチョの『バッカス』、レンブラントの『若き日の自画像』と、世界的な名画がゆったりと飾られています。椅子に腰掛けてじっくり見ることができる作品もあり、また、さほど混雑もしていませんでした。

テッツィアーノの『ウルビーノのビーナス』は、画面の中央に全裸で横たわる若い女性、女性の足元には、うずくまる犬、後ろには衣装を探している2人の召使いを描いた作品で、ベットに横たわる裸婦という題材は、ゴヤやマネなど後生の画家にも影響を与えているそうです。
ビーナスという神話をテーマに描かれているとはいえ、肉付きの良い女性の裸体は官能的。背後に半分だけ引かれている黒いカーテンが彼女の白い肌を際だたせており、誘惑するようなポーズで、くねらせた体や目線に思わず引き込まれてしまいます。




   ピッティ宮殿  

ポンテ・ヴェッキオを渡って、午後からはピッティ宮殿へ行きました。ここはパラティーナ美術館と国王の居住空間に分かれています。

館内の装飾は絢爛豪華。国王の暮らした場所は華美なインテリアで、私には落ち着く空間とは思えませんでした。

パラティーナ美術館は、ウフィッツィ美術館同様、いくつもの部屋に分かれています。でもウフィッツィのように部屋に番号をつけ、年代別に展示しているのではなく、各部屋にギリシャ神話の登場人物の名前が付けられています。これはメディチ家の人たちが住んでいた頃のままにしているためだそうで、決してわかりやすい配置とは言えませんでした。私は館内のガイドブックを持っているのに、自分が何処にいるのかわからなくなり、ちょっとマヌケでした。

本来ラファエロの作品があるはずの「サルトゥヌスの間」は修復中で、美術館の最後の部屋にラファエロの作品は展示されていました。しかし、残念なことに『ヴェールの女』やテッツィアーノの『マグダラのマリア』は東京に貸し出し中、日本におけるイタリア年のためでした。これはマヌケ・パート2です。

生涯たくさんの聖母子像を残したラファエロですが、その初期に描いたといわれているのが、『大公の聖母』です。暗い背景に幼いキリストを抱いたマリアが浮かび上がっているシンプルな構図で、うつむき加減のマリアの目元は、ダ・ヴィンチの影響を感じさせます。
絵の中には余白がないくらい大胆に、聖母子の上半身を配しているので、自然に視線は2人に集中します。また背景を暗くした効果で、ラファエロ独特の柔らかな表情と肌の質感が強調されています。

ピッティ宮殿
ピッティ宮殿からボーボリ庭園に向かうところ




   ボーボリ庭園  

ピッティ宮殿の裏にはボーボリの丘があり、ボーボリ庭園という巨大な公園があります。噴水、たくさんの彫刻、糸杉の並木道などが、広大な敷地の中にゆったりと配置されたイタリア式の庭園で、トスカーナ公国の時代には、珍しい植物の栽培を行うなど農業試験場でもあったそうです。庭園の入り口は丘陵の下にあるので、坂を上りながら見学していきます。

ボーボリ庭園の彫刻と噴水
噴水や彫刻も見事ですが
緑溢れるボーボリ公園
草花や樹木もきれいです。



庭園の一番上には花壇があり(枯れた花ばかりで残念!)、フィレンツェ市内や緑の多い郊外を見下ろすことができます。ミケランジェロ広場のようにフォレンツェの街並みを一望できるのかと、期待して頂上まで行きましたが、そんなに高いという訳ではありませんでした。


とにかく巨大な公園でした。歩いている人もまばらで、緑や噴水を見ていると落ち着く感じです。残念なことに、私が訪れた時は、雨が降ったり、急に晴天になったりと天気の変化が激しかったので、長い時間いられませんでした。天気が良い日に、もう1度じっくり見たい公園です。

ボーボリ庭園からの眺め
ボーボリ庭園から見たフィレンツェの郊外